director's voice

ヌイトメルさん(皮革)

20日発売の「nid」。
愛用したくなる日本発のファッション、というテーマで、
出展者からふたりの作家が掲載されました。

248 nishiyaさんとヌイトメルさん。
今日はこのおふたりをご紹介しますね。
まずは、ヌイトメルさんです。

Q
ヌイトメルさんは、「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?
A
素材の特徴をいかしたシンプルで使い勝手の良い鞄を中心に、
柿渋などの草木染めを施した一点物の鞄、革小物。

主に使用する革は、本来の傷などを隠さずに仕上げられたタンニン鞣しの鹿革です。

鹿革は軽くて丈夫で柔らかいので古くから生活の中に取り入れられてきました。

ヌイトメルさんが使う質の良い革は、触れるとほんとうに心地よく。
長い時間を共に過ごす鞄、バッグを作られるヌイトメルさん。
シンプルだけれど、どこか素敵なひねりが効いたデザインも魅力です。

Q
ヌイトメルさんにとって、「工房からの風」はどんな風ですか?

A
私は洋裁技術を学ぶ専門学校を卒業し、
靴の生産工場で靴のサンプル製造や縫製、
型紙製作の技術職に従事した後に、
鞄や小物を製造する工房を立ち上げ独立しました。

自分でものを作り始めるまでの十年間は、
質や量は異なれど、依頼された物に携わる、
言わば分業の一部を担う仕事をしていました。

働き始めた頃は自分で商標を立ち上げたいなどという思いはなく、
自分が納得できる職場がみつかればサラリーマン勤めも良し、
と思っていました。

社会の大きな経済活動のなかで合理的に、
折衝しながら依頼されたものを作る職人としての面白さも垣間見つつ、
もっと個人として素材や思いを追求する
コアなものづくりにも憧れるようになりました。

そうした葛藤と、人や素材との出会いを経て
ヌイトメルのものづくりが始まりました。

自分で考え、ものを作り、売る。
すごくシンプルだけど、理解してくださる方々のおかげで
3年目を迎えることができました。
その間、東日本大震災を転機に価値観や足もとを見つめ直したり、
右往左往ありましが、人とのつながりで続けることができています。

たくさんの小さな歩みがいきいきと躍動できる社会に。
その一部であるために、これからも小さな歩みを続けます。

「工房からの風」は、そんなささやかな歩みを後押ししてくれる風。
そのように思っています。

かちっと硬派なメッセージを寄せてくださったヌイトメルさん。
(そう、ヌイトメルさんは、男性です)

たくさんの小さな歩みがいきいきと躍動できる社会って、いいですね。
「工房からの風」に出展する作家の方々も、50のそれぞれの歩み。
ものづくり、という点で近いところにいる方々ですけれど、
それぞれに違うところがありながら、
いきいきと風を奏であえる場でありたいって思います。

Q
ヌイトメルさんは、小学生の頃、どんな夢を持っていましたか?

A
田舎育ちで、生きものと戯れる遊びばかりしていました。

小学校高学年の時に出来た一件の熱帯魚屋さん。
自分たちが釣り上げていた淡水の地味な魚とは違うカラフルで変わった形に一目惚れ、
すぐに虜になりプレコやコリドラス、ネオンテトラの飼育にはまりました。

夢は熱帯魚屋の店員さんでした。

わあ、そうなんですねー。
小学生のころのヌイトメルさんが、すぐ隣にいるように伝わってきますね。

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ヌイトメルさんのホームページはこちら → 
出展場所は、コルトン広場「スペイン階段」前のテントです。
軽やかなポシェットから、じっかりとしたバッグまで。
思いを込めてしっかりと縫いとめられた皮革のバッグが滋賀からやってきます。