director's voice

結城琴乃さん(木・針金)

今回の50人の出展作家の方々は北海道から沖縄まで、
ほんとうに広範囲から、ここ市川に集ってくださいます。
これからご紹介する結城琴乃さんは、四国は高知から。

二回行った全体ミーティングにも、はるばる駆けつけてくださるパワフルな方。
(しかも、日帰り夜行バス!)
双子のお嬢さんを持つおかあさんでもある人は、そんな強行軍を
さらりとやってのけてしまう、たくましい人でもあります。

Q
結城さんは、「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A
せっかくの屋外展示ですので、それを生かした展示をと考えています。
主に木と針金で制作した家、車、舟のオブジェで小さな街並みをメインにおき、
足をとめて下さる方が私の作る小さな世界に入り込んでくだされば嬉しいです。

他に、糸のような細さのワイヤーで作るアネモネや曼珠沙華、百合などの花を展示します。
目をこらさないと見過ごしてしまいそうだけど、
手に触れると確かに咲いている凛とした様子を是非見ていただきたいです。

同じく細いワイヤーで形作った気球、
風船の中にブリザーブドのアジサイを閉じ込め吊るして楽しんでいただくオブジェも作りました。

また、ペンキの上からハンダゴテで焼き焦がしながら描いた鳥や、花、少女のブローチも出品します。
その他、新作も現在制作しておりますので、皆様に見ていただきたいと思います。

結城さんのジャンルをお伝えするのは、なかなかむずかしいのですが、
素材としては、主に木と針金。
けれど、いわゆる趣味の手作り工作とは、あきらかに一線を画した作品群なのです。

どうしてかなぁ、なんでだろう??
その答えは、会場で皆さんがそれぞれに感じて、出されることと思いますが、
私は、確かな世界観があること、そして、その世界観を正確に伝えることができること、
なんじゃないかしら?と思うようになりました。

工芸の作品群の中にあっても、新鮮ではあっても、響きあうものがありますね。
次の質問へのコメントを拝見して、なるほど。。
と思いました。

Q
結城さんにとって、「工房からの風」って、どんな風でしょうか?

A
3月に行われた携わる方々との初顔合わせに、知り合いもなく、とても人見知りなので
随分緊張し会場に向かいました。

そして今回の緊張の根源「自己紹介スピーチ」!
一言一言一生懸命話される方、とてもスマートに話される方、緊張し気絶寸前で倒れそうになりつつの私も含め、それぞれの方が作品の説明、これからの心意気や目標、そして今後の悩みなどを話していきました。
どの方も大きく分けると目標は同じ方向で、同じ悩みのように思えました。

私は制作を始めまだ8年目なのですが、独学と試行錯誤で一人制作をしてきた為、
同じような志しを持つ人と語ったり、知り合う機会に乏しく、この日皆さんのお話を伺い、
こんな風にいっぺんに、同じように思う方々が全国からこの場所に集い、
こうして共にいることに驚き、物凄く嬉しく感じました。
お一人お一人、その方だけの道を進み、それぞれの志しを持ち
「工房からの風」の選考に通りこの場所に集まったんだなぁと。

会場を案内していただいたとき、丘の上に皆さんで立ち、
「始まりますよ」という稲垣さんの声と共に風が吹いた景色を想像しました。
今日は入学式だなと緊張でクラクラしつつも思いました。

それが、私にとっての「工房からの風」に吹いた風です。
その日からずっと風は吹いています。
一人の作業部屋に戻っても、同じ風が皆さんにも吹いている事を思い制作してきました。

いよいよ迫ってきた展示当日、この風の中皆さんと同じ空間を共有し、
最終日を持って卒業になるとしたら、その時吹く新しい風はどんなんだろうと
それが何よりとても楽しみです。

今年はちょうど桜の花が咲いて、雰囲気がちょうど入学式みたいだったんですよねー。
立派な大人が集まって!桜のもとで緊張しつつ、新しい出会いを結ぶって、
なかなかないことかもしれませんね。

Q
結城さんは、小学生のころ、何になりたいと思っていましたか?

A
小学校の時の夢は「歌手」一本でした。
確か物心ついた位の時から思春期を迎える頃までずっと。
モノを作るのはその頃から好きで、紙粘土やフェルトで作ったキーホルダーやマスコットなんかを作っては友達にプレゼントしていましたが、モノ作りをしていきたいとは全く考えず、夢は歌手一本でした。

でもそれを誰に言うでもなく、お風呂の中や、留守番の時間なんかで歌の練習をし、
自作の歌詞をノートやメモ用紙に書いては隠し、メロディーが浮かべばテープに録音し
またそれを隠すという、ひっそりコツコツとした努力をしていました。

あの隠しまくったメモ用紙とテープ、全然内容覚えていませんが
かなり赤面ものだったのだけは確か。
ちょっと見てみたいけど、でもやはりどうかうっかり出てきませんように。

なんだか、聞いてはいけなかったような秘密のお話!
読んでいてちょっとドキドキしてしまいました。
夢に向かって、一生懸命なところ、結城さん、今も変わらない感じがします。
(むしろ、パワーアップ!)

さあ、結城琴乃さんのホームページはこちら → 

出展場所は、ニッケ鎮守の杜、入ってすぐの手仕事の庭。
どんな構成で展示をされるのか、楽しみですね!