director's voice

studio fujinoさん(木工)

studio fujinoを主宰する藤崎均さん。
藤崎さんなのに、工房名が「ふじの」なのは、
工房を開いた地が神奈川県の藤野にあるから。
私は最初のうち何度か間違えてしまいましたが、今はしっかり覚えました!

Q
studio fujinoさんは、「工房からの風」にどのような作品を出品されますか?

A
『箱』を中心としたラインナップで、木の表情を楽しんでもらえる作品を出品します。
「jewelry box」「重箱」「葉書入れ」「小物入れ」など
それぞれ全く違った手法で木の魅力を表現できればと思います。

箱の他にも、木の中の風景を切り取った茶托や、バームクーヘンのような箸置き、
カッティングボードなどの作品も出品します。

藤崎さんはイタリア・ミラノに6年ほど仕事で滞在された方。
かの地では、有名なデザイナーとの仕事を重ね、キャリアを積んで帰国されました。
日本人らしい緻密な技術にも磨きをかけて、それをスタイリッシュなフォルムに作り上げています。
デザイン力に優れた端正なかたちの中に宿った美しさには、
どこか哲学的な趣もありますが、難しい感じではなく、穏やかでナチュラルな印象です。
これはきっと作者のお人柄とつながっているのは。

Q
藤崎さんにとって、「工房からの風」って、どんな風ですか?

A
「工房からの風」に出展が決まってから、自分の今までの作品、
これからの作品について原点に帰ってじっくり考える機会を得る事ができました。
自分の成長過程の準備期間を頂いたように思います。

当日から、新たなスタートを切ることが出来るように、この今の時間を大事に過ごしています。
そして、新学期の新しい出会いのように、少しの不安と、大きな期待で胸を膨らませています。

出展が決まってからのこの数か月で、藤崎さんから気づかされたことがありました。
新人作家の方とも多く出会うこの会では、作り急ぐような感じの作家と出会うこともありました。
ある時期、猛烈に作る時間を持つことも必要なことかと思うのですが、
そのことと「作り急ぐ」、ということは全く違うのでは?と思う場面が多々あったのです。

最初、藤崎さんがとても忙しそうでしたので、つい作り急いでいるのかしら?
なんて、思ってしまったのですね、一瞬。
ところが、お仕事を見せていただいたり、お話を重ねる中で、その真逆で、
ものづくりの着地点を高く、先に置いている人なんだなぁ、と気づかされていきました。
自分の中から出てくるものを、じっくり、よりよく引き出していく、というような。
なので、新作をポコポコ生み出すというのではなくて、
作り出したものは、ずっとパーマネントになるもの。

・・・なーんて、書くと、照れ屋さんの藤崎さんにイヤがられそう(笑)なので、
この辺にしておきますね。
後ほどご案内しますが、パートナーの裕子さんとおふたりで開く
藤野のギャラリーの在り方からも、私自身、気づいたり、学んだりしたことがあったので、
ちょっと書き残しておきました。

Q
藤崎さんは、小学生のころ、何になりたかったのでしょうか?

A
記憶になかったので、実家の母親に聞いたところ、将来の話はしてなかったそうです。
すみません!
いつも、夢中で絵を描いたり、工作していたそうです。
図工ばかりしていた覚えがあります。

すみません!なんて!!
お母様に尋ねてみた、というところが、なんだか微笑ましいですね。

先ほども少し触れましたが、藤崎さんは、イタリアで出会った
デザイナーの裕子さんとともに、長屋門のある古い日本家屋を自ら整え、
ギャラリーも開かれています。(不定休)
おふたりの美意識で磨きつつある空間は、今後豊かな創造の場になっていく予感がします。

studio fujinoさんのホームページはこちらになります。 → 

出展場所は、おりひめ神社の鳥居のふもと。
対面には、デンマーク帰りの大島奈王さん
隣には、ワークショップを展開するデザイナーの井上陽子さんのテントがあります。