director's voice

勢司恵美さん(竹)

凪ぐ浜の宝もの vol.3

いつもいつもたくさんの人が集まっていた竹のブース。
勢司(せいし)恵美さん
開催中も、ずっと元気な笑顔だった恵美さんからも、
ハレの時間の後に綴った、静かなお便りが届きました。

毎日毎日大切に大切にちょっとずつちょっとずつ貯めた水を、
キラキラした天気の中、一気にプシュー!!(キラキラッ)っと飛ばしたような、
それをたくさんの人が笑顔(キラキラッ)で受け取ってくれたような、
なんだかキラキラした二日間でした。

針山やしおりは、小学生ぐらいの子たちが自分のおこずかいで買ってくれていました。
それがまた本当に嬉しかった!

ちょっと落ち着いた瞬間、ちょっと先の籠に目をやると、
木漏れ日で籠がキラキラ輝いて見えました。
その一瞬は静かに時がとまったように感じました。
ただ単純に、「あぁ、きれいだなぁ。。。」と思い、
胸がふわぁっと優しい気持ちになりました。

私は上でプシューっと水をまいていた訳ですが、
サポートしてくれている人たちは、
私たちが輝けるように本当に水をまいていてくれました。

お客様に感謝、イベントを作りあげサポートしてくださった方にも感謝、
一緒に出展した作家さんんたちにも感謝、
素敵なお庭でさせていただいた事に感謝、

天気に感謝、手伝いをしてくれた友人にも感謝、
自由に竹をやらせてくれている両親にも感謝、
たくさんの人や色々な事に「感謝」があふれた二日間でした。

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あれだけの数の作品を、竹伐りからひとりで作り上げたのですから驚きました。
そのことを、「毎日毎日大切に大切にちょっとずつちょっとずつ貯めた水」
と表現されているのが、とっても実感が籠っていますね。
そして、恵美さんの笑顔には、感謝がいっぱい詰まっていることもよく伝わってきますね。

そして、今回出会った異ジャンルの作家との会話から、
こんなことを綴ってくださっていました。

他の作家の方と話をしていてびっくりした事があります。
上手い下手の差はあまりないようです。
デザイン、そして丁寧かどうか。
それで違いがでるようです。

竹細工はそうではありません。
技術力がものを言います。
「一生勉強」
どの職人さんも口をそろえてそう言います。
ある職人さんには
「竹細工は年数どれだけやったかだよ」
と言われました。

まだまだ作りなれていないものがあります。
例えば、ざる。
竹細工といったらざるを思い浮かべますが、実はこれが一番難しい。
途中まで編んだざるを作業場に残したまま来てしまいました。。。
これを胸をはってだせる事が今の私の目標です。

もちろん他のジャンルがすべてではなく、偶々お話しした方のこととは思いますが、
恵美さんが続けること、そしてそのことで高まる技術をとても大切に思っていることが、
よく伝わってくるお便りでした。
途中まで編んだざるを作業場に残したまま会場にやってきた恵美さんの
誠実さ、ひたむきさに感じ入ります。
ぜひ、自信作の笊(ざる)を作って、この場にやってきてくださいね。