director's voice

阿部春弥さんから

出展作家の皆様から、続々とメールをいただいています。
ありがとうございます。

熱い感動の涙、なみだの方。
楽しかったー!という方。
いくばくかの悔しさを整えていらっしゃる方。
さまざまですけれど、言葉、文章に整えてみることは、
ご自身の今後にとってよいものかもしれませんね。

そのような中か、いくつか選ばせていただき、
こうして皆様と共有させていただいております。
もちろん、デリケートな本音も書かれていますが、
公開する性質じゃないものは、私なりに考えて控えていますので、
ご安心くださいね。

そして、私たち主催者、企画者にとっても、
出展作家からのメッセージは、何よりの宝ものです。
感謝の交感は豊かなプラスを育みますし、
気づきはこれからの成長につながりますから。

では、次の作家の方を。
女子二名の熱き涙の話が続きましたので、
次は爽やかなメッセージを。
陶芸の阿部春弥さんから

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半年余りの準備期間がありましたが、ほかの仕事を進めながらも
常に心のどこかに、工房からの風の事があったように思います。

右も左もわからない4月の入学式
(勝手に入学式にしていますが)の不安な気持ちから、
当日、鎮守の杜に向かう道中は楽しみでしょうがない気持ちでいっぱいでした。
雨が降っていても、天気ばかりはしょうがない、
今日までしてきたことに偽りはないんだと思えたら、
結果どうこうより、2日間楽しもう!と。
そう思えたのも、goodなタイミングで届いた
小冊子「風の音」と稲垣さんのお手紙のお陰ですかね。

工房からの風。
僕にとっての風。
どんな風だったのでしょうね。
遠くの方で吹いている風が、自分の周りを吹きまわり、
あっという間に行ってしまいました。
今はまだはっきりとはわかりません。
わかったことは、予想以上に心地の良い風だった事です。
この風を作り手としての成長の糧にしていかなければもったいない!
目に見えない風を、目に見える形で残せていけたらと思います。

また、今回強く感じたことの一つに、
風の向こう側を改めて強く感じました。
作り手の多くの方はそうだと思いますが、
普段はひとりで素材と向き合い、孤独の中で製作しています。
油断すると、作っている向こう側の、
使い手の方のことを感じにくくなってしまうことがあります。

作ったものを、伝えてくれる人がいて、使ってくれる人がいる。
みんながいて、風になるんだな、と。
当たり前のことですが、大切なことを改めて教えてもらいました。

作り手としても、人としても、まだまだ未熟な僕ですが、
うつわ作りに日々精進していきたいと思います。

本当にありがとうございました。

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みんながいて風になるんだ。

って、素敵な感想ですね。
私も今回、ほんとうにそう実感しました。
特に来場者の方々のあたたかさ、熱さの確かさが、
この風の特徴なのだと。

どんなによい作家や仮によい企画であっても、
それを支持してくださる方がいなければ風は起こらない。
しかも、「工房からの風」のお客様は、
一過性の点ではなくて、何年にもわたっての線や、
ここからさまざまな場所でもつながってくださる面のような
つながりを持ってくださる方が多くて、
その想いがあたたかで、熱い風になってるんですね。

爽やかな佇まいの阿部春弥さんの器、
たくさんの方々の風の中で心地よく並んでいましたね。

阿部春弥さんの出展前のメッセージはこちらです。
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