director's voice

chichi

今回、フェルト作家が3人出展くださいます。
それぞれ独自の世界観をもって制作されていますので、
近い素材がどのようなかたちになっていくのか、
ぜひお楽しみいただければと思います。

chichi
シシ
「粋で、派手。凝っていて、トレンディ。おしゃれでいて優雅」
を意味することば chichi をブランド名とされる作者からのメッセージをご紹介します。

Q1
「工房からの風」にはどのような作品を出品しますか?

A1
『遊び心を忘れない、自由に、描くような装い。
ウールの優しさ、温かさに包まれ、秋冬の街歩きを楽しくする装い。』
をテーマにマフラー、ストール、トップス、帽子などを出品します。

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染めた布や羊毛はそれだけでも美しく魅力的。
一つ一つ丁寧にフェルティングすると繊維が絡まりあい、
独特の質感と色の混じりが現れます。

chichiでは主に「布フェルト」で作品をつくっています。
「布フェルト」は羊毛を布と一緒に縮絨したもので、羊毛のみで作ったフェルトに比べ、強くしなやかです。
また、羊毛と布が絡んで一緒に縮むことで、でこぼこした豊かなテクスチャーも生まれます。

羊毛の温かさに、シルク、リネン、コットンなどの布の軽やかさや透明感が入り交じったフェルト。
その魅力を是非感じていただきたいと思っています。

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chichiさんのフェルトは、色彩が鮮やかで心楽しく、
造形からはアートの心が刺激されますね。
心地よいドキっとするような気持ち、会場で出会っていただけたら。

Q2
「工房からの風」への出展が決まった時、どのようなことを思いましたか?

A2
布フェルトの美しさ、纏う心地良さ、
造形の面白さは尽きることがなく、私を魅了し続けています。
試しては考え、考えては試し、その中で自分の思考も変化していく。

繊維素材、とりわけ羊毛に触れ始めると、
感覚が研ぎ澄まされ、心と身体全てが生き生きするのを感じます。
今この瞬間うんと夢中になって、
小さな変化を掴むことで、見えるものも働きかけも変わってくる。
それが何といっても楽しいのです。
緩やかに変化していく暮らしの中で、
フェルトとその仕事を見つめ、育てていきたい。

「工房からの風」で過ごす時間、
様々な立場でその時間に関わる人々の「思い」
そして「言葉」を受け取りたいと思います。

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chichiさんの作品に触れていると、アイデアを浮かべているとき、
実際に手を動かしているとき、いつも作者がわくわくしているのを感じます。
そうして生まれた作品を通して、
他者との豊かな関係に向かって開かれているのも、
chichiさんならではなんですね。

Q3
chichiさんの「工房」のある街の好きなものやところ、
自慢できること大切に思っていることひとつ教えてください。

A3
埼玉県狭山市にスタジオを構えて、6年半が経ちました。

比較的駅に近いエリアの住宅街に建つスタジオ。
少し歩けば茶畑や大きな空が広がり、遠くの富士山まで広く見渡せます。
近くには鬱蒼とした森も残っています。

狭山というとお茶で有名ですが、市内には菜園や果樹園を持つ方も多いです。
つい先日も完熟のイチジクを、目の前で何十個と採っていただきました。
作物をいちばん美味しい瞬間に収穫し、
直ぐにいただいて、その味の違いに日々気付かされています。
野菜も果物もそれが良いと思うけれど、実はなかなか出来ないことです。

どんな人が、どんなところで、どんなふうにつくっているのか。
「食」もつくり、育むことだと思います。
狭山に移り住んだ私たちの周りには、それを教えてくれる人達がいます。
「今の時期美味いよ。でもジャムを作るならもう少しあとがいいな。」
「ずいきって食べたことある?こうして食べるのよ。」
つくる姿勢と育むものに、その人の生き方が表れていて、私の目に強く美しく映ります。

それぞれの「つくる」思いを近くに感じながら、私も自分の「つくる」仕事を続けていきたい。
ゆったりと温かい時間の流れる、この場所が気に入っています。

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暮らす町をこのように大切に想えるっていいですね。
農作物を作る方々の姿勢と、chichiさんのものづくりの姿勢が響きあっているのですね。

chichiさんの出展場所は、おりひめ神社の脇。
ホームページはこちらになります。
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