director's voice

和泉綾子さん(RIRI TEXTILE)(風人)

風人さんからのメッセージ、和泉綾子さんからいただいたものをご紹介いたしましょう。

Q1
和泉綾子さんは、 今年の「工房からの風」でどのようなことを担当くださいますか?

A1
いくつかの企画に関わらせていただきますが、
いずれも “工芸”と“庭”というキーワードを持つ工房からの風
だからこそできることを、みなさんと分かち合うことができたらと思います。

〇お子様向けのワークショップ「素材の学校」では、
「織の時間」を「担当します。

「草木染の糸で織るコースター」
10:30-11:30
定員6名様 参加費1500円

草木染めの糸を使って、卓上織り機でコースターを織ります。
このお庭で育った植物で染めた糸も含め、
植物から生まれる色に、たのしんで触れてもらえるような時間にできたらと思います。

ri素材の学校

〇大人向けのワークショップでは
「コブナグサ色の緯刺し子織コースター」
15:00-16:30(修正しました9/22)
定員6名様 参加費2500円

こちらも卓上織り機で、緯刺し子織という技法を体験していただきます。
平織りをベースに、模様の部分は経糸をすくって刺し子のような模様を織り込んでいきます。
糸はやはり、このお庭で育ったコブナグサで染めた明るい黄色と白の組み合わせです。

riおとなWS

〇一草一木テント
「お庭の恵みと草木染め」
昨年から、らふとのお庭で育った植物を分けていただき、
草木染めの制作に活用させていただいています。

お庭で採れた恵みを自分の手で染めてかたちにし、誰かへ届けることができた時、
豊かな循環の中で自分の仕事を役立てることができるよろこびを感じます。

今回は、お庭の恵みで染めさせていただいたリネンストールを、
その染料となる実際の植物と一緒に展示させていただきます。

ri作品(販売なし)

〇風のケミストリー
今回はフクシマアズサさんの箒の飾り糸に、
お庭の植物で染めた糸を使わせていただいたコラボ作品を制作します。

装飾の部分まで土に還る素材で、
というフクシマさんの思いを出発点に、
ご一緒させていただくことになりました。
風のセレクションブースにて展示販売させていただく予定です。

和泉さんは、今回あちらこちらでフル回転!ですね。
昨年よりこのお庭に通い続けてくださっている中で育まれたものを、
このお庭で発表くださる、って、とてもありがたく、幸せなことなのです。

Q2
和泉綾子さんは、 何年に出展しましたか。
その時の印象に残る体験(感想)をひとつ教えてください。

A2
2016年に出展させていただきました。
工房からの風に出ることになったものの
自分の真ん中にあるものはなにか?
という根本的なことろでつまずいてしまい
半年ほどの準備期間はなかなか前に進むことができず、苦しい時間でした。

工芸全般に言えることだと思いますが、
一言で染織といっても、素材から技法まであらゆる世界が広がっていて
その中で、自分には確固たる背景や特色がないことにコンプレックスを持っていました。

今思えば、むやみにまわりと比べたり、
いずれ誰かが答えを教えてくれるんじゃないかと甘えていたのだと思います。

けれど本番まで時間的に追い込まれた結果、
ようやくやるべきこと、大切なことが浮かび上がってきました。

「今の自分が美しい、かっこいいと思う布をつくること」
というひとつの答えにたどり着いたのです。

工房からの風で出会ったひとたちや
それまでにもずっと励ましたり支えてくれたひとたちのおかげで
残りのハードな制作もがんばりきることができ、
本番は充実した2日間を過ごすことができました。

ずっと自分の作品、仕事、在り方に向き合い続けることも、
あの日、見渡したお庭のかがやく美しさも、
いつまでも忘れずにいたいなと思っています。

実質、9月に入ってからが手の稼働でしたね、和泉さんの場合は。
でも、出展が決まった春からの数か月にあった心の葛藤が、
その養分になったことと思います。
当日の二日間の和泉さんのとびっきりの笑顔!
今も忘れられません。

今年の出展作家の方!
今からでも集中してラストスパートをかけてみたら、
芽吹く寸前までいったものごとが、一気にかたちになっていくかもしれませんよ。
和泉さんの満面の笑顔を想像して、
皆さんにもぜひ実りある二日間を過ごしていただきたいと思っています。

Q3
木を素材として作られたもので、和泉さんの心に残るもの、
または、大切にしているものを教えてください。

A3
一番身近で大切なものといえば、やはり織り機です。
わたしの機は昭和47年に作られた木製のもので、
(譲り受けた時に当時の領収書が添えられていました)
縁あって2005年にわたしの元へやってきました。

古いながらも状態がよくきれいな織り機でした。
そこから10年ちょっと、
幸せなことに少しずつ機を動かす時間が増え、
筬を引くときに掴むところは、次第に深い飴色になり、
シャトルを滑らせる時に当たるところは、すこしずつ角が取れてきました。

部品が擦れたり当たりやすい箇所は無数の傷や跡がついています。
はじめは使いこなすのに苦労しましたが、
ながい時間を経て、いつしかそこかしこにわたしの手の跡が刻まれてきたのだと思い、
今ではとてもいとおしい存在です。

これからもこの織り機とともに時を重ねて、
たくさんの布を織ることができたら、
それはそれはしあわせなことだなあと思います。

織りをはじめ、ものづくりの道具には、木はとても多く使われていますね。
和泉さんのよき相方とも呼べる機。
ますます艶めいていくことでしょう。

和泉さんは、当日は素材の学校テント、オトナのワークショップテント、
そして、本部テントなどを中心に担当くださいます。

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