director's voice

坂本友希さん(染め布)

北海道からは、もうおひとり、出展作家がいらっしゃいます。
坂本友希(ゆうき)さん。
北海道の中央部、富良野に今年、工房を移されたばかりです。
移転してしばらくしての地震には驚かれたことと思いますが、
今は制作をいつも通りに(いつも以上に!)なさっていると、
元気なお声をきかせてくださいました。

Q1
坂本さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?
その中で、特に見ていただきたいものがありましたら、加えて教えてください。

A1
ものとしては、ストールやハンカチ、
包んだり敷いたりかけたりできるようなクロス、
それからスカートも少し出品する予定です。

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色から染めて、そこからふくらんだ想像をもとにつくった、
おはなしの一ページのような作品に、
言葉を添えて展示してみようと考えています。

たとえば夜空から落っこちてきたようなストールなど
来ていただいたみなさんにおはなしのかけらを
持ち帰っていただくようなイメージです。

色とりどりの短編集をながめるような気持ちで、
たのしんでもらえたらうれしいです。

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手捺染を自らの手で行う坂本さん。
布に広がる物語を、ブースいっぱいに広げてくださるのが楽しみです。

Q2
坂本さんが工房でよく聴く音楽、または、
ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心に中で大切にしている映画、
いずれかを教えてくださいますか?

A2
本についてお答えします。

ミヒャエル・エンデの「モモ」、
パウロ・コエーリョの「アルケミスト」、
ニコライ・スラトコフの「北の森の12ヶ月」、
あと絵本で「マシュリカの旅」というチェコの作品。(いっぱいですみません)

おはなしの中にたいせつなことが隠されている宝さがしみたいな本がとても好きです。
「アルケミスト」はとくに読むたびにちがったところに自分の目線が行くので
何度読んでも良いなぁと思います。

ものづくりを進める中で、
というとちょっと的外れな答えになってるのかなぁとも思うのですが、
どれも大切だし、自分のものづくりに影響していると思います。

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いっぱいですみません、なんて、とんでもないです!
きっと、坂本さんの心の本棚にはもっとギッシリ詰まっているのだと思います。

坂本さんの布に描かれている中で、動物が印象的なのは、
これらの本に惹かれる気持ちとつながっているのでしょうか。
作品の背景にあることに触れることができて、
この質問、早くもよかった!と思えてきました。
来場の際には、共通項のある方など、ぜひお声をかけてみてくださいね。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、大切にしているものや、
思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
友だち夫婦が引っ越しする時に譲ってもらった木の机です。
実はその友だちは今回一緒に出展する仲間でもあります。

拾ってきた木の板を鉄の足に付けてつくってあるもので、
なんだか趣のある机で、本州から北海道への引っ越しを経た今も使っています。

私にとっては、二人の整えられた家の中を背景にした机が記憶に焼き付いていて、
机の上を散らかしてしまった時に
「前の家の方が良かった!」
と机に思われてるんじゃないかと時々ヒヤヒヤします(笑)

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譲り受けたものを
「前の家の方が良かった!」
と思われるんじゃないかって思う感性が楽しいですね。

ちなみにどなたなんだろうと伺ってみたら、
染織のHonda Silk Works、
本多祐二さん、さくらさん夫妻からの机なのだそうです。
なんだか見てみたいですね、その机。

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坂本友希さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜にコルトン側から入ってすぐ。
少し高台の気持ちよい空間に、富良野で染められた布がはためくのを楽しみにしています。

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