director's voice

藤原里子さん(陶芸)

茨城県笠間市で作陶する藤原さんからのメッセージをご紹介します。

Q1
藤原さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
この度は、初めて陶器の人形を出展予定にしております。
猫と長く暮らした思い出から作られた「猫と人」
カトリックの幼稚園に通っていた頃の、思い出から作られた「天使」「聖母」
どちらも幸せや愛情を表現し、見る方が幸せに感じていただけたら嬉しく思います。

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藤原さんの応募用紙には、
人形の写真が最後の方に遠慮がちに加えられていました。
そのほかの作品とどこか比重が違う感じがして、
思い切って電話をして尋ねてみたのです。
藤原さん自身は人形を深めていきたいけれど、
陶芸作家としてそれだけでよいのだろうかと、
迷いの中にいらっしゃるようでした。

それならば、人形を中心に構成してみるというのはどうでしょう?
と投げかけたところ、とても控えめながらも、
心がふくらんでいるような、弾むような声で
ぜひに!
と返してくださいました。

なので、今回が藤原さんにとっての初めての人形だけでの展示です。
出来上がってきた作品からは、喜び、伝わってきますね。
きっと今まで秘めていたマグマがじんわり吹き出し始めたのかもしれません。

Q2
藤原さんが工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心に中で大切にしている映画、
いずれかを教えてくださいますか?

A2
ものづくりを進める中で大切にしている本
特に大切にしている本は、名もなき職人さんの生きざまや、
仕事への姿勢が書かれた本です
(いろいろな方なので特定の方ではありません)

淡々と力を入れすぎず、それでいて手を抜かず最善を尽くす、
自分の仕事に照らし合わせ身が引き締まります。
また尊敬できる先輩が身近におりますので、
自分の理想像になっております。

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Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
草や木でつくられたものでは厳密にありませんが、
大学時代に友人から貰った双葉の欅です。
引っ越しの度に連れて行き、今の庭に植栽してあります。

双葉から魚の骨状に枝葉を広げ、
上に伸び幹を回転させながら枝葉を四方に伸ばす
生き物の知恵も驚きです。

今では約6メートル以上の大木になり、
過ぎていった日々に着実に育った植物の生命力に惹かれます。
名前は けやこ です。

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けやこ!

すごい、お話しですね。
双葉から6メートルまで。
藤原さんのじっくり育てる力、大切にする力。
陶人形の制作も、じっくり育まれていくことを感じます。

藤原里子さんの出展場所は、galleryらふと脇、
参道口を入ってすぐの木と石の空間の中のテントです。