director's voice

髙際有希さん(ニット)

「染色、紡ぎ、編み」を手掛ける作品を「高際紡糸製作所」として、
「編む」作品は「chiot.R(シオ.アール)」として活動中の髙際有希さんからのメッセージです。

Q1
髙際さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
ニット帽を中心に、手袋、靴下などの服飾ニットを出品します。

小学生の頃から始めた編み物。
編み物歴が長くなるにつれ「編むこと」が好きになっています。
そこから派生した「手染め」「手紡ぎ」の素材作り。
どれも時間のかかることですが、
時間がかかっていることを忘れるくらい夢中になれます。

この数年、素材作りは夫と共同で手掛けています。
それぞれに作りたいものを表現し、
それらを掛け合わせて一つ一つ手編みで作品に仕上げています。

手紡ぎの毛糸は、原毛の色や手触りの素晴らしさを伝えたいので
基本的には染めておりませんが、
藍染の藍色に魅了されたので一部取り入れています。
原毛と藍色の組み合わせをお楽しみいただきたいです。
藍のものは、特にみていただきたいと思っています。

takagiwa02

takagiwa01

時間のかかるお仕事で今展を構成するのは大変なことと思いますが、
夢中になって編まれた作品の数々、じっくり見ていただきたいですね。

Q2
工房でよく聴く音楽、または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、いずれかを教えてくださいますか?

A2
古本屋でふと見つけた昔の編み物の手芸本。
生まれる前、手編みが盛んだった頃の本です。
何十年も前のものなのに、その編み地は古さを感じないどころか目新しいとさえ思えます。
「奇をてらった新しいものでなくて良い」
その本を手にした時、感じました。
良い意味で、手編みの良さは昔も今もこの先も
それほど変わる事がないのだと思います。

takagiwa03

そうですね、それほど変わることがないけれど、
常に鮮度よくありたいですね。
作家の方々が続けるお仕事には、そういう面があると思います。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、大切にしているものや、
思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
ニュージーランド製の木の紡ぎ車です。

10年ほど前、手紡ぎを始めた頃にちょうど引越しをしました。
故郷の母から
「何か新生活に必要なものをプレゼントするよ」と言われ
家電などでは味気ないと思い、
”一生使えるもの”と考えプレゼントしてもらいました。

ただ欲しくてこじつけだったので、
「新生活に関係ないやん」と笑われましたが、
母が亡くなった今でも、良い思い出です。

この紡ぎ車で色々な糸を作りだしているのを見て、
編み物好きだった母も喜んでくれているだろうと
勝手に思っています。

takagiwa04

髙際さんのとっておきの宝物のお話しをありがとうございます。

髙際有希さんの出展場所は、おりひめ神社のほとり。
ホームページはこちらになります。
→ click