director's voice

三原なぎさん(ガラス)

透明感や彩度、硝子の持っている本来の美しさを大事に
作品を作る三原なぎさんからのメッセージです。

Q1
三原なぎさんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?
その中で、特に見ていただきたいものがありましたら、加えて教えてください。

A1
吹きガラスで制作したグラスやお皿などのテーブルウェアを並べます。
宙吹きという型を使わない技法ですので
同じ作品でもひとつひとつ手の馴染みが違うと思います。
是非手に持って、しっくりくる器と出会ってください。

私自身、人が集う場がとても好きです。
大切な人達と過ごす時間が楽しくなるような、
そんな作品を作りたいと思っています。
ガラスという素材だからできる、
カラフルでほんのちょっぴり遊び心を持たせた
ぐい呑やワイングラスなどの酒器をメインにご覧いただきたいです。

特に『asanoha』というシリーズは今回の出展の為試行錯誤した作品です。
銀箔の内側に色ガラスで麻の葉模様を施した作品になりますが、
絵付けではなくトロトロのガラスに直接文様を写し込むという技術に挑戦しました。

色の組み合わせや発色に頭を悩ませましたが、
その分ぜひ見ていただきたい作品になりました。
飲み物を注いだ時。
飲み干す時。
万華鏡を覗き込むようなドキドキと懐かしさを感じていただければ幸いです。

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万華鏡を覗き込むような!
手の込んだ制作ならではの繊細な表情、光にかざしてみてみたいですね。

Q2
三原さんが工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心に中で大にしている映画、いずれかを教えてくださいますか?

A2
宮崎駿監督の『紅の豚』です。
小さな頃は正直内容を理解できていなかった部分が大半だったと思いますが、
これが『カッコいい大人』かぁ!
と当時は胸が高鳴ったのを覚えています。

加藤登紀子さんの劇中歌も大好きで、
先日念願叶ってライブを拝見して号泣してきました!

登場人物はみんなオシャレで、スタンスが有って、
譲れない大切なものがあるんですよね。
マルコの飛行艇だったり、ジーナのホテルだったり。
素敵な大人って〈良いもの〉が自然と自分の周りに集まってくると思うんです。
もちろんそんな人の周りには同じような素敵な人も集まります。
まだ私はそんな素敵な大人には程遠いので(いつなれることやら…)、
そんな人達の周りを彩れるような作品を作れるようになりたいですね。
吹きガラス歴は周りの作家さんにと比べまだ短いです。
ですのでまだ作品つくりの中で考え過ぎて迷子によくなりますが、
そんな時はこの作品や劇中の音楽を聴き、
余計なものをリセットするようにしています。

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リセットできる映画を心に蔵しているのは幸せですね。
ガラス制作は、瞬時瞬時の緊張感の中から生まれていきますから、
尚更、そういうものが大切ですね。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
つげ櫛です。
柘植の木から作られたヘアコームなのですが、
今でも大切にしている日用品の一つです。

ガラス作家を志す以前は美容師をしていたのですが、
当時の先輩から退職の際にいただいたものです。
初めて使った時は非常に使い辛かったです笑。
使いこなせてなかったんでしょうね。
ですが、使い込んでいくと油分が馴染でいって
驚く程滑らかに櫛が通るようになり艶が出るんです。
静電気も抑える優れものです!

元々ものづくりの世界は興味あったのですが、
『手作りの作品って素敵!』で終わりではなく、
使い手によってその人のものに成るということに感動した事をよく覚えています。
もちろん成るまでにはお手入れや日々の扱いなど、
それも含めた過程が大事と知りました。

今になって気づく事ですが、
ご高名な作家さん程、道具を丁寧に扱うんですね。
高速で日々をこなす毎日になってしまった中で、
本当に好きなものを思い出させてくれた大切な品です。
自分を構成してくれた要素の一つになりました。

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技が優れた方ほど、その繊細な技を生み出してくれる道具は、
わが手、わが身と同等なのでしょうね。
つげの櫛を通して、道具のすばらしさに気付いた三原さん。
作り続ける中で、ガラスの道具にも一層愛着が湧いていくのではないでしょうか。

三原なぎさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜の入ってすぐのテント。
梅の木の隣です。
ホームページはこちらになります。
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