2017年9月の記事一覧

「出展作家紹介/工房からの風」New

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田澤祐介さん

木にまつわる仕事で出展くださる作家は8名。
その中で複数回の出展者は2名いらっしゃいます。

「工房からの風」では、出展するとその後二年は応募がいただけません。
けれど、ぜひ、ふたたび、みたび、出展してほしいと願っています。
工藝の仕事は、ぱっと世に出る瞬発力よりも、
継続する力が大切だと思っています。
継続力って、瞬発力より地味ですものね。
でも、その地味なところを丁寧に行い、
ちゃんとそこに目を向けられるような
「工房からの風」でありたいと思っています。

と、いうことで、今回から、応募を二回方式にしたのでした。
継続中の作家は、作品展の予定も早く決まっていきますから。
一次は年内に来年度の出展を決定いたしますから、
複数回での出展をご検討の方、ぜひご検討くださいね。
(詳細は、今展終了後にこのブログに掲載します)

:::

と、複数回出展も歓迎!の記事が長くなってすみません。
確かな技術のある田澤祐介さんからのメッセージをご紹介します。

Q1
田澤さんは「工房からの風」に、どのような作品を出品くださいますか?

A1
私は木工をしていて、
最近は小物、特にうつわ関係の仕事が多いですが、
守備範囲としては道具や家具まで広く手掛けています。
今回は道具的な物を見て頂けたらと考えて、
木製の自在鉤とそこへ掛ける花器や、
分解可能なタオルラック、
A4サイズが納められる内箱付きの文箱や、
底板に彫りを施した角盆などを形にしたので、
そういった物を中心に見て頂けたらと思っています。

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また、最近よく手掛けているうつわ関係も、
トレーや漆を塗った丸盆や鉢、それに片口などの酒器を用意したので、
そういった物も見て頂けたらと思っています。

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凛とした美しい佇まいですね。
写真もとってもきれいで、周辺の空気が清らかになるような。

Q2
田澤さんは「工房からの風」への出展が決まった時、
どのようなことを思いましたか?

A2
今回が2回目の出展なのですが、
自分の中でついこの間と思っていた前回は、
2010年でもう7年も前になります。
1回目の時とはまた違う緊張感を感じながらの応募でしたので、
結果を聞いてかなりホッとしました。

というのも、前回、一緒だった仲間の何人かからは、
「2回目だからといってなかなか容易ではないよ、」
ということも聞いていたので。

1回目を踏まえた上で2回目としてどんなことが出来るのか?
という事を考えながら応募した結果として今回の出展が叶ったので、
今できる範囲で出来るだけを形にして、
それを見て頂けたらと思っています。

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わ、そうだったんですね、すみません、、
というか、ありがとうございます。

出展経験のある方からの選考も毎回まっさらな気持ちで行います。
どのような進化があるのか、再度出展する意味がどこにあるのか、
そして、展覧会全体のバランスももちろん考えます。
同様なお仕事に感じられた場合は、
初めての応募の方にチャンスの扉を開きたいという想いもあります。
けれど、もし選考不通過の結果をお出ししても、
それはタイミングでのことが多いと思いますので、
ご縁が切れたように思われず、
機が熟した時にぜひあらためてご応募いただきたいと思います。

田澤さんは今回、機が熟されたんですね!

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Q3
あなたの「工房」のある街の好きなものやところ、
自慢できること大切に思っていることひとつ教えてください。

工房は神奈川県の海老名という所にあります。
ここ数年、
駅周辺は開発が進んでいて、
大きなショッピングセンターやマンションが出来ていますが、
工房の周りには田畑も残っています。
空気が澄んでいると、
その田畑と東名高速道路越しにみえる東丹沢の大山、
そしてその横に見える富士山が好きです。
富士山の方へ向かって落ちていく夕日を見たり、
富士山に雪が積もって増えていったり、
溶けて減っていく様子を見ながら季節を感じています。

田澤さんの工房名は「Think!Forest森想木工舎」。
富士山を仰ぐ海老名の工房で、
森を想いながらのものづくりが続けられていくのですね。

田澤祐介さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜。

ホームページはこちらになります。
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フレル

引き続き木工作家の方からのメッセージをご紹介します。
岡山県の最北東端、兵庫県・鳥取県に隣接する西粟倉村から出展くださる山田哲也さん。
フレル、という工房名で出展くださいます。

Q1
「工房からの風」にはどのような作品を出品しますか?

A1
木製のカトラリー、器を中心としたテーブルウェアを出品いたします。

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日々の料理と、食卓に並ぶ他の器たちを下支えするような道具。
素材である「樹」と同様に、日々の生活に根を張り、常に使い手と共にあるものを
目指して制作した作品にふれていただければと思います。

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Q2
「工房からの風」への出展が決まった時、どのようなことを思いましたか?

A1
作ることを「仕事」としている以上、作る機会を得ないことには作り続けることはできません。
今回、出展が決まったことで、新たに作る機会をいただけたことを素直に喜ぶことができました。

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Q3
「工房」のある街の好きなものやところ、
自慢できること大切に思っていることひとつ教えてくださいますか。

A2
私が住んでいる岡山県西粟倉村は、人口約1,500人の小さな村です。
この中国山脈の山あいでは、ものづくりを生業とするために移り住む人、
この村で育ち大工や林業に携わる人など、高い技術を持った作り手が、
それぞれ刺激しあいながら、日々仕事をしています。

周囲にあるのは、山、川、田畑。
一見するとのんびりした田舎の風景ですが、作り手同士が刺激を与え合い、
時には共にもの作りを行う日常があるこの地は、より良いものを産み出す
ためにとても適した環境だと感じています。

フレル3

「フレル」とは、山田さんとパートナーの西原貴美の仕事の名前。
西原さんは 「素晴らしい生産者さんたちの美味しい素材たちを、
野山を駆け回ってい た鹿や猪たちを、一番美味しいと思える形で、
心を込めて紹介していきます。」と、フレル食堂を西粟倉村に開いています。

山田さんが作り出す木の生活道具も、
手ごたえ豊かな日々の暮らしと共にあるものなのですね。
それはきっと静かで、躍動感があって、五感が喜ぶいきいきとした暮らしなのだと思います。

そして「フレル」も、前号の「nice things」に掲載されていましたね。
お手元にある方、ぜひご一読ください。

フレル の出展場所は、ニッケ鎮守の杜。
ゲートを入って右手の桜の木の下です。

ホームページはこちらになります。
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DOUBLE=DOUBLE FURNITURE

今年の「工房からの風」。
特に木工の優れた作家が揃いました。
木の仕事は色合いにそう違いはないので
一見違いが伝わりにくいかもしれませんが、
それぞれの作家ごとに、目指しているものが異なり、
技法や制作アイテムもいろいろです。
じっくり巡回してみていただけたらと思います。

まず、おひとり目はDOUBLE=DOUBLE FURNITUREさん。
酒井航さんが展開している工房名です。

Q1
DOUBLE=DOUBLE FURNITUREさんは、
「工房からの風」に、どのような作品を出品しますか?

A1
・縞黒檀という硬質な木材から削り出したカトラリーを。

とても硬い縞黒檀という黒い木材を削り出したスプーン、フォーク、ナイフです。
いわゆる木工のカトラリーとはまた佇まいが異なる上質な雰囲気に仕上がっています。

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・セラミックの佇まいを感じるような繊細なディテールの器

メープルという白い材を削りだして作る器です。
細かくディテールを表現し、ガッシリ、ほっこりした木製器とは違う、
華奢感のようなことを表現した器です。
磁器の器をイメージしながらデザインしています。

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・染を施した、親しみやすい形ですが木では新感覚な新作ウッドカップ

どこか見たことのあるとても親しみやすい形を木で表現しました。
木製のコップは軽く、飲み物の口当たりがとても柔らかく感じることができます。
水、お酒、珈琲など様々な飲料はもちろんですが、
蕎麦ちょこのような器としての使用もご提案したいです。

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・アンティークのアイロン台からインスピレーションを受けデザイン制作した新作折り畳みテーブル

もともと自身の遠方での展示用にと考えだしたのが
きっかけで生まれた折り畳みテーブルです。
アンティークのアイロン台の佇まいがとても魅力的で、
その雰囲気をとても意識してデザイン制作しました。

遠方に送ることが展示什器としての課題だったことから、
折りたたむと通常宅配の160サイズ以内に収まり
遠方へも通常便で送れるサイズです。

室内の飾り台としてや、アウトドアでの活用等にぜひ一般のお客様に見ていただきたいとともに、
さらにはギャラリーの方、ショップの方などいわゆる展示のプロの方にもお店の什器としても観ていただきたいです。

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・ほかにもバリエーションを準備予定です。

DOUBLE=DOUBLE FURNITUREさん、とても丁寧に作品紹介ありがとうございます。
どれもが作者の明確なコンセプトに基づいていて、
それを実現させるために、素材や技術と真剣に向き合った実りを感じさせますね。

特に、折り畳みテーブルは、
今年度の高岡クラフトコンペティションで入賞(高橋俊宏賞)を受賞したばかりの逸品。
click

このテーブル、お持ち帰りもコンパクトな梱包をご用意くださっていますから、
お車の方はその日に。
宅配便をご希望の方は、当日ブースで手続きいただけます。

:::

Q2
DOUBLE=DOUBLE FURNITUREさん、
「工房からの風」への出展が決まった時、どのようなことを思いましたか?

A2
一人で黙々と作業しているときに通知を受け取ったのですが、
思わず「よっしゃー!!」って叫んでしまいました。

福岡の田舎で普段は製作しているので、
本展のような全国から選ばれて集う展示会に出展できることに喜びと期待が大きく、
この機会を大切に大きく成長したいと思いました。
他の出展者のレベルの高い仕事を身近で拝見できることもとても楽しみにしています。

ちょうど、自分の中でも自身の仕事に対し新たな気持ち
(デザイン的なことや、作り方も含めた表現)が
感じ始めていたタイミングでの本展への応募でした。

今まで製作してきたモノとはいろいろな視点で見つめ直し、
あらたな表現をこれからの自分の軸となるようにしていきたいを思っていたので、
この機会を生かし自信をもって進んでいきたいと思います。

:::

Q3
DOUBLE=DOUBLE FURNITUREさんの「工房」のある街の好きなものやところ、
自慢できること大切に思っていることひとつ教えてください。

A3
私が製作をしている工房がある町は、
福岡の西方にある「糸島」という町です。
近年、いろいろなメディア等にも着目していただいているようです。

福岡はもともと町と、山と、海とが立地的にもとても近い存在にある県です。
その中で、糸島は福岡の中央部まで電車で40分くらいという距離でありながら、
自然が豊かな環境があり、その中で日々製作できることがとても心地よいのです。

さらに、環境からか人の繋がりもとても濃く、
ネットワークとして横のつながりがたくさん出来、
自分と同じようなクラフトなどの作り手や、
農産、畜産、海産などの生産者とのつながりもありとても刺激があります。

自分と同じようにこの環境、立地に惹かれて集まったクラフトマンは恐らく100を超え、
その点もお互い刺激し合いいい館系なのではないかと感じています。

福岡は食がとてもおいしいとご評判いただいており、
糸島も食の生産者によりとてもおいしいものがたくさんあります。
近年は関東など全国から訪ねてくださる方が多くとても誇らしく思います。

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:::

福岡から市川へ。
距離は遠く離れていても、「工房からの風」という展覧会を励みに思ってくださり、
こうしてはるばるやってきてくださること。
ほんとうにうれしいことですし、
こういうことのためにこの野外展を続けてきたのだとあらためて思ったのでした。

そうそう、DOUBLE=DOUBLE FURNITUREさん、
「&Premium」 と「nice things」という私も必ず読む雑誌の最新号に作品掲載もされています。
まさに風に乗っているお仕事ぶりですね。

DOUBLE=DOUBLE FURNITUREさんの出展場所は、手仕事の庭、花壇のほとり。
トキニワカフェの脇になります。

ホームページはこちらです。
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デモンストレーション

ものづくりの制作公開、今年も行います。

民具の扉・コルトン広場
◆ 吉田慎司 10:30~11:30 『らふと産ほうき制作中!』 
 ♪ニッケ鎮守の杜、手仕事の庭で育てた「ほうききび」。
  5年分以上をためて、ようやくほうきに!
  この会場で吉田さんに編んでもらえてうれしいのです♪

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◆ 勢司恵美 10:00~10:45 『真竹のひご作り』
かっこいいですよー、職人技もくもくと。
  時々、にかっと面白いこと言ってくれますし。

男たちの仕事場・ニッケ鎮守の杜 おりひめ神社奥
◆ 服部謙二郎 11:00~16:00の間 随時 『織りなす響き』

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実はここに公開用ではなかったのですが、素敵なスケッチ送っていただいていました。

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おりひめ神社の周りの木立で、こんな光景が出現する予定。
ひめ、じゃないんですけど。
男たちの仕事場、なんですけど。

◆ 羽生直記  11:00~15:00の間 随時 『いちにちでひとつのフライパンづくり』

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一日かけて、ひとつのフライパンを作る工程を公開してくれます。
かぶりつきの方、きっと現れますね!

◆ 藤武秀幸  12:30~14:30の間 随時 『古い事務椅子を張替える』

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張替前
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張替後

椅子張り職人の技、今年も公開です。

*表記時間内にも一時休止の場合があります。
詳しくは該当ブースでお尋ねください。

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ワークショップ・素材の学校

今年もやってきました、「素材の学校」
お子様向けに継続しているワークショッププログラムです。
未来の作り手、よき使い手へ。
好評につき!今年は2クラス(2テント)に増えました。

対象:小学生以上のお子様
中学生未満のお子様は、必ず保護者同伴でのご参加をお願いいたします。
○お並びいただく場合は、お一人につきご参加もお一人分とさせていただきます。
(例:お母様1名につき、お子様1名)
○お申し込みは、それぞれ実施するテントで30分前から受け付けます。

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1組(テント1)
○ 革の時間
  TETOTE 『革のレモンチャーム』  
10:00~11:00 定員各15名様 ¥800

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○ 金属の時間
  Anima uni 『銅と真鍮の型押し小皿を作ろう』
11:30~12:30 定員各10名様 ¥1,000

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○ 綿の時間
  磯敦子 『綿の実を作ろう』
13:00~14:00 定員各10名様 ¥1,200

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○ 竹の時間
  勢司恵美 『竹を切ってペン立てを作ろう』
14:30~15:30 定員各20名様 ¥800

2組(テント2)
○ 綿の時間
  磯 敦子 『綿の実を作ろう』
  10:30~11:30 定員各10名様 ¥1,200

○ 箒 の時間 
  吉田慎司 『ミニほうきを作ろう』
12:00~13:00 定員各5名様 ¥2,000

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○ 木の時間
菅原わかこ 『鉄媒染で描く組立式の家』
13:30~14:30 定員各10名様 ¥1,000

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○ 紙の時間
森 友見子 『再生紙で作るカラフルモビール』
15:00~16:00 定員各10名様 ¥1,500

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studio fujinoさん(木工)

出展作家ご紹介のトリは、studio fujinoさんです。
神奈川県藤野町制作をされています。

Q
studio fujinoさんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
2013年に出展させていただいた際には、
箱や花器など比較的小さな作品を出させて頂きましたが、
今回は家具を中心に持って行きたいと思っています。

展示会に家具を出す機会はほとんどないので、
初めての試みで楽しみです。

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樹木特有の表情をこよなく愛するstudio fujinoの藤崎均さん。
日本の伝統的な技術と7年間を過ごしたミラノで培ったセンスを響かせて、
独自のものづくりをなさいます。

期間限定で開いている藤野町にある
藤崎さんのgallery&cafeで出会ったテーブル。
シンプルながら独特のライン、存在感に圧倒されて、
藤崎さんの作る家具の美しさを想いました。

今回はその家具が中心ということで、とても楽しみにしているのです。

Q
studio fujinoさんにとって「工房からの風」は、
どのような風でしょうか?

A
長年、木工に携わって来て、新しい道に促してくれる春風のような。

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日本の建具、木工芸の基本を身に付けられた後、
2001年にイタリアに渡られ、ミラノに工房を構えた藤崎さん。
特注家具を製作する傍らエンツォ・マーリ氏をはじめとする
力のあるデザイナーたちのプロトタイプの製作も手がけてこられました。
デザインと技術ともに豊かな力をもつ藤崎さんに、
ますます新鮮な木工の世界を見せてほしいと思っています。

Q
studio fujinoさんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?


2007年に帰国する際に、移住地として選んだ藤野町。
多くの作家やアーティストが移住して来る町です。

2010年に合併して「藤野町」の名前はなくなってしまいました。
ちょうど、その少し前に屋号を考えていたタイミングだったので、
町の名前が残ると良いなとと、名前を拝借させていただいています。

今でも、旧藤野町では、多くの作家さんが元気に活動しています。

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優秀なグラフィックデザイナーでもある裕子夫人とともに、
新たな地元となった旧藤野町での活動も精力的に展開する
studio fujinoさん。
これからの作家活動と共に、ギャラリーなどでの活動からも目が離せません。

studio fujinoさんの出展場所は、おりひめ神社の奥。
陶芸の瀬川辰馬さんの隣になります。

ホームページはこちらになります。
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今野恵さん(フェルト)

2012年に出展くださったフェルトの今野恵さん。
二回目の工房からの風です。

(「工房からの風」を初めて知って、
このブログを読んでくださっている方もいらっしゃいますよね。

「工房からの風」では、出展作家が固まらないように、
そして、複数回の出展の時も新鮮な作品構成で臨んでいただけるように、
一度出ると最低二年は応募いただけないようになっているのです)

Q
今野恵さん、今回の「工房からの風」には、
どのような作品をお持ちくださいますか?

A
様々な羊種の天然色の羊毛を使い、
帽子・マフラー・ショールを主軸に
冬の装いに寄り添うアイテムを展示予定です。

マフラーとショールは布フェルトの技法で肌触りと柔らかさを、
帽子やバックは従来のフェルトの技法で作り、
強くたくましい生地に仕上げました。

くつろぎのひとときに温もりを添えてくれるラグやクッションも
従来のフェルトの技法でしっかりと密な生地に仕上げました。

細くしなやかな毛のメリノはマフラーやショールに、
山岳系や原種に近い羊はバックや敷物にと、
目的に合った羊毛を選び、
技法の選択により羊毛の個性が生きるように作っています。
ぜひお手に取って羊毛の個性を感じていただけましたら嬉しいです。

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限界フェルト。
今野恵さんの前回の作品はその名の通り、限界まで縮絨させた丈夫な丈夫なフェルト。
動物の息吹がダイレクトに感じられるようなフェルトの質感と、
それをモダンなセンスで統合させた独特の世界が印象的でした。

今回は、そこに幅が広がって、表情がぐんと柔らかく、華やいできました。
この二年間の制作の充実が感じられますね。

帽子や巻き物。
インテリアのもの。
ぜひお手に触れて、そのたっぷりとした素材感、
造形の素晴らしさを体感してみてくださいね。

Q
今野恵さんにとって「工房からの風」はどのような風でしょうか

A
実りの風。

今年2回目の出展となります。
4年ぶりの工房からの風です。

前回の出展の後、たくさんの「実り」が私の中に収穫されました。
制作と向き合う精神力、体力、
お立ち寄りいただいたお客様との出会いとご縁、
出展作家さんたちとの繋がり。
大切なものをたくさんいただきました。

そして、4年前の実りの展示から、
また再び土を耕し種まきして育て、
ゆっくりとじっくりと新しいアイデアを作品にしてきました。

今年も実りの風、吹きますように。

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ええ、ほんとうに広がっていかれましたね。
今回は、きっとより客観的に工房からの風を感じられて、
実りが豊かになるのでは。

ところで今野さん。
この私からの問いかけに、二通のメッセージをくださったのでした。
もう一つには、八風吹不動(はっぷう吹けども動じず)という禅語
について書かれてあって、とっても豊かなメッセージだったのですが、
こちらのほうを掲載くださいと。
どうしてなのかしら???
ブースでぜひお尋ねになってみてくださいね、八風吹不動。

Q
今野恵さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてください。

A
結婚を機に夫の姓になり、活動名を今野恵にしました。
それまで続けてきたフェルト作家としての在り方を見直し、
第二ステージへ進む決意とともに屋号も「KONNO FELT WORKS」に。
羊毛の個性がわかる、堅実でシンプルなフェルトを作ろうと思い
屋号もわかりやすい名前にしました。

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羊毛の個性がわかる、堅実でシンプルなフェルト。

今野さんがそう思えば思うほど、今野さんらしさがふんわりにじみ出ていくようで。
矛盾しているようなことを書きましたが、
ほんとうの個性ってそういうものかもしれません。

今野恵さんの出展場所は、おりひめ神社の鳥居のふもと。

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鈴木有紀子さん(ろうそく)

今回の最多出展作家?3回目の鈴木有紀子さん。
ろうそくの作家です。
静岡県富士市から出展くださいます。

Q
鈴木有紀子さんは、「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
定番として作り続けている灯して造形を愉しむ灯り、
デザインを透けさせてコトバのないストーリーを楽しむような灯り、
これからの季節に愉しみたい仕掛けのある灯り、
を連れて行きます。

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ろうそく。
私が渡航を重ねてきた北欧では、ろうそくのない暮らしは考えられません。
それは何も照度としての役割ではもちろんないのです。
ゆっくりと寛ぐとき、家族や友人と過ごす和やかな時間、
ろうそくを灯すことで、その時間が初めて色づいていくかのようです。
ちょうど花を飾る気持ちや、
おいしいものを食べたり飲んだりするような気持ちでしょうか。
どちらも消えものであります。

鈴木有紀子さんのろうそくは、灯すためのもの。
手作りろうそくは、灯していない状態のアート性を感じることが多いのですが、
鈴木さんのろうそくは、灯した時の美しを求めて作られています。

周りのろうと、芯のあたりのろう(wax)の
性質を変えることで溶ける速度を変えてみる。
そのことで浮かび上がる文様の影絵のような美しさ。
ゆらぐ炎の描き出す時間の豊かさを、ぜひ味わっていただきたいのです。

Q
鈴木有紀子さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
いつでも「工房からの風」をとりまく『風』は、
大らかで和やかな風だと感じていますが、
出展の扉が開かれてから両当日、
再び工房に戻り静けさに身を置いた時、
その後ふと思い出す時、その時々で
『風』は、細やかに表情が変わる経験もしました。

みたび。

その『風』はやはり大きくて、
見守られているような-そんな『風』の表情を感じています。

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鈴木さんのろうそくはお花のよう。
と先に記しましたが、贈り物としてもお花のようにお使いになるのをおすすめします。
お誕生日や新居のお祝いに祝花として。

また、お悔やみの時には白にうっすら文様の仕込まれたものを、
お忍びの品として。

上質なエッセンシャルオイルがかすかに香るのも、
鈴木さんのろうそくならではです。

Q
鈴木有紀子さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
下の名前の「有紀子」は、富士宮浅間大社で
幾つか戴いた候補の中から両親が選んだそうです。

一説には、当時とても素敵な俳優さんにこの漢字の方がいたからと。
(ミーハー。)

・・・

工房名の『kaltio . (カルティオ)』は、
ろうそくの文化が生活に馴染んだ国(フィンランド)の言葉が
素敵だったので名づけました。

kaltio.=湧き水のでる場所
独学で始めたこのものづくり、
いつでも灯りとの対話(考え方)やデザインが湧き水のように滾々と
鮮度・純度をもって心や頭、そして手に湧き出ますように
そんな願いを込めています。

・・・

そうそう余談ですが、私の名前を戴いた浅間大社の敷地内に
「湧玉池(わくたまいけ)」という富士山の湧水が
滾々と湧くそれはきれいな水の場所があります。

時折、誘われるように足を運ぶのですが、
この質問が投げかけられて返答しながら、
そういうコト(繋がっているような気持ち)か、
と妙に腑に落ちた気がしました。

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湧玉池とkaltio

運命的ですね。

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こちらの画像は、先日galleryらふとでひらいた、
ろうそくの夕べのときのもの。
実際に灯したろうそくのある時間がどんなに心にあたたかいか、
ご体験いただきました。

工房からの風は日中ですのでなかなかそれを味わってはいただけませんが、
今回は少し光が差し込みにくい場所で実際に火を灯してもいただこうと思っています。
ニッケ鎮守の杜、galleryらふとの正面奥の方。
ぜひほっこり和んでみてくださいね。

鈴木有紀子さんのブログはこちらになります。
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梅田かん子さん(陶磁)

2009年、今から7年前に出展くださった方が、
「工房からの風」に帰ってきてくださいました。
梅田かん子さん。
当時は小杉かん子さんというお名前でした。
その後ご結婚されて、二児の母となられての再登場!です。

Q
梅田かん子さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
白磁にいきものや植物を上絵付けで描いています。

7年前の初出展の時はロクロ成形のものが主だったのですが、
今回は「タタラ成形」という、
薄く伸ばして板状にした土を切り取り
成形する方法を主として制作しています。

「タタラ成形」では板状のものを組み立てる事になるので背が高く
くびれのあるものは作りにくいのですが、
試行錯誤の末、ピッチャーや徳利など
コロンとした形のものが作れる様になりました。

いきものと植物を描いたカップ&ソーサーや
水族館をモチーフに描いたピッチャーもタタラ成形で作っています。
最近ようやく自分の絵付けに合う形が作れる様になってきたと感じています。

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かん子さんの絵付けは、一目見たら忘れられないような個性的なもの。
モチーフ自体が花鳥風月というよりは、生きとし生けるもの、といった感じで、
バッタやキリンなど通常器には描かれないものが登場します。
また、そのタッチが所謂愛らしいばかりではないところがぐっときます。

前回の出展以降、お客様から再登場のご期待もいただき、
工房からの風としてもお待ちしていたのですが、
作家からはそれ以降連絡が途絶え、
謎の?小杉かん子さんとして存在していたのでした。

その間、結婚、出産を経て、新たな人生を開きながら、
ご自身の制作の在り方との葛藤を重ねてこられたのでしょう。
7年ぶりに名字が変わっての応募用紙には、
進化した作品の写真に、静かな決意が綴られたものが添えてありました。

Q
梅田かん子さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
2回目の出展という事もあり、
前回の出展時には見えなっかた風が見えています。

まだまだ見えてない風も感じていて、
この先見えるのか見えないのか果たして見たいのか。
多くの事を考えさせてくれる風です。

今の私にとっては暴風。
吹き飛ばされない様に自分の足元を
しっかり確認しながらここまで取り組んできました。

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富山県在住のかん子さんとは、準備期間、
お目にかかったのは二回でしたが、
電話やメールで何度も言葉を交わしました。

「自己ベストは更新したい」
かん子さんの言葉の中で印象的なフレーズです。
ふたりの幼い男の子との時間は、大変ながらも
愛おしくて過ぎていくのが惜しいばかりのことでしょう。
けれど、自分の作りたい、描きたいものがある。
そのふたつの想いに身をちぎられそうな中、
だからこそ、やるからには上を目指そう、
それこそが自分への、そして家族への本物の愛だと信じて。
かん子さんはこんなふうに思っていたのではないでしょうか。

今回、たたらでの立ちもの(皿ではなく高さのある器)への挑戦をはじめ、
一歩ずつ前進させた成果がまもなく庭にやってきますね。

Q
梅田かん子さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
7年前の初出展の時は「小杉かん子」という名で出展していました。
その後結婚、出産を機に「梅田かん子」と改めました。
旧姓のまま作家名として続けるという選択肢もあったのですが
「梅田かん子」に変える決断をしました。
決断なんて大袈裟な言葉かもしれませんが、
やはり独立してから8年間、
頑張って育ててきた名前を捨てる事に当時は抵抗がありました。

今は6歳と4歳の男の子を育てながらの制作で、
続けていくのは難しいと感じる時もあります。
そんな中でも作ることを続けさせてくれる主人に感謝しています。

「梅田かん子」は私一人の名前ではなくて、
支えてくれる主人や子供たちと共にある名前だと最近感じる様になりました。
今は家族と共に「梅田かん子」という名前を育てていきたいと思っています。

変わった名前のせいか「かん子さんは本名ですか?」
とよく聞かれるのですが、
実は「かん子」は作家名で本名ではありません。
なぜ「かん子」なのか?本名は??
気になられた方はぜひ「工房からの風」で
直接私に問いかけてみて下さい。
お答え致します!
ヒントは「かんは音読み」です。

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作家名を家族とともにある名前だと想い抱けるひとの幸福。
かん子さんの描く器は幸福の器ですね。

『自分にとって、正直、当日の結果はたいして重要ではないんです。
当日まで、どんなふうに仕事に取り組めたか、
その過程こそが自分にとっての「工房からの風」なんです。』

ある日届いたメールにはこのように綴られてありました。
そう取り組める人の心の姿の眩しさと、
「工房からの風」が成熟してきた喜びを感じさせてもらったのでした。

と、いささか長くなりましたね。
かん子さん、7年も音信不通で、まったく素っ気ない?(笑)ようでしたが、
こうして再び2016年の工房からの風で共に仕事ができたことがうれしいのです。

梅田かん子さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入ってすぐのところ。
金属のRenさんや、とりもと硝子店さんと対面の緑の空間です。

ホームページはこちらになります。
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qan:savi さん(革)

2012年に出展くださったqan:savi さんからのメッセージをお届けします。

Q
qan:savi さんは、「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
手縫いで製作しました革のバッグやポーチ、財布、
ペンケース、メガネケース、カメラストラップなどの身の回りで使えるものです。

自分が実際にこういうものがあれば良いなと思って探すと
ちょうど良いものがなかなか見つからなかったり、
あっても質感や造りや色などに満足できなかったり、
逆に自分にとってはこれは本当に必要なのだろうかと過剰に感じる部分があったりします。
そういうことが反映された作品になっているのではと思います。

お使いいただく方ご自身が使うことで気分が上がったり、
「そうそうこういうの」と共感してもらえたり、
「それいいね」と周りの人から褒めてもらって嬉しくなったりなど、
誰かにとってそんな存在になれる作品であれば僕も嬉しいです。

じっくりと手間と時間をかけて植物のタンニンで鞣された
イタリア製バケッタレザーの手触り、香り、色合いが
とても素晴らしいのでお手に取って感じていただけば幸いです。

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すっきりスタイリッシュなqan:savi さんのバッグや革小物。
qan:savi さんのセンスに統一されていて
作品群としても心地よいブースになりそうですね。

Q
qan:savi さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
「常に前を向く勇気をくれる風」かなと思います。

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二回目の出展の方のこのようなフレーズは実感に重みがありますね。
前を向いて制作された作品が愛媛からたくさんやってきます!

Q
qan:savi さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
qan:savi … 「かんさび」と読むのですが、
古語の「神さびる」からいただきました。
「古くなったものから滲み出る神々しい様」という意味があります。

祖父の遺品の中から「昭和12年上海にて」(すみません。年号はうろ覚えです。)
と裏書きされた革製のカメラケースとストラップと
ドイツ製の蛇腹式カメラが出てきたのですが、
それがとてもカッコよかったんです。
造りや素材自体は今から考えると本当にこれで大丈夫なのと
心配になるほどの簡素なものでしたが、
半世紀以上経った今でも壊れずに存在していたことに対する
驚きとその味わいに惹きつけられました。

もともとアンティークの家具や道具の
時間を得たものが持つ佇まいが好きだったので
名前をつけた当初はそういう古いものに対する憧れと
自分の作品も何十年かして祖父のカメラケースと
ストラップの様なものになれればという想いでつけさせてもらいました。
今では完全に名前負けしていまして正直少し気恥ずかしいです(笑)。

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音としてもきれいですね。
かんさび

ところで、qan:savi さんにお願いがひとつあります。
僕、雨男なんで、っていうのやめてもらえませんか!
言われるたびに、まわりの空気フリーズしますから(笑

でも、祈願祭のとき、愛媛から市川まではいけないけれど、
近くの石手寺というお遍路の51番札所にお祓いに行きますね、
とメールもくださった優しいqan:savi さん。
お陰様で、この週末、お天気に恵まれそうです。

qan:savi さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜。
広場側入り口から入って、
木工のhyakkaさん、帆布バッグのgra..さん、
陶磁器の山下透さんに続いてになります。

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