2015年10月の記事一覧

「凪ぐ浜の宝物/工房からの風」New

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morinosuさんから

金属装身具のmorinosuさんからもメッセージをいただきました。
ニッケ鎮守の杜に入って花壇のある空間。
周囲の植え込みを背中に小さなテントで展開されていました。

猫(ブローチ&ペンダント)

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工房からの風に全力を出し尽くすことができたと、
達成感を今とても感じています。
実は途中で、もう間に合わない、とキャンセルの文字が頭を
よぎったことがありました。
どうやって、乗り切ったのか覚えていないほど、
身体と心、限界を感じていました。
でも、三越での経験や、稲垣さんをはじめ、
皆さんからのアドバイスのおかげで、
痛いほどやるべきことはわかっていたので、
『やれ。やるんだ私』!と
必死に言い聞かせていたと思います。

新作の樹脂なしの作品へのお客様の反応もとてもよかったんです。
背中を押してくださって、本当にありがとうございました。
この度、参加させていただいたことで、
ものづくりで生きていきたいと、再度強く感じました。
あきらめずに、頑張ってまいりたいとおもいます。
この度は、工房からの風へ参加させていただき、本当によかったです。

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銅版画を続けていく中から、装身具の制作に入って行かれたmorinosuさん。
応募時は、金属の上にすべて樹脂を載せた作品でした。
樹脂が必要なのだろうか?
なぜその加工をしているのだろう?
という疑問を持ちつつ、コンサルタントではないし、
ジャッジしてしまわないように気を付けながら、
「金属のままの表情の作品作りもされてみては?」
という投げかけをもって、8月の三越展へのお誘いをしてみたのでした。

風人さんたちベテラン作家に混ざっての三越展では、正直しんどかったと思います。
展示や接客すべて、風人さんたちのレベルに驚いていたmorinosuさん。
結果もなかなか厳しいものに。
そのような中でも、金属の表面のままのものに手ごたえがあったのですね。
風人さんたち、私もmorinosuさんの秘めた可能性にとても惹かれていました。
同業でもあるAnima uniさんなど、惜しみなく技術的なアドバイスもされたりと、
数名の方が、こまやかに意見を伝えてもいました。

どうして、そういうことが可能だったんだろう、って思います。
それは、morinosuさんの人としての素直さ。
多くの人は、他者の意見を受け付けないガードやバリアを作ってしまいます。
伝える方も、そういうガードやバリアを感じれば、それを破ろうとはしませんね。
おせっかいや踏み込み過ぎになりますもの。

今回のmorinosuさんの進化は、
ひとえにmorinosuさんの人としての素直さが、
みんなの前向きな意見を引き寄せていったからだと思います。

しかし、残り二か月を切った中での制作はどんなに大変だったことでしょう。
『やれ。やるんだ私』!
は、あまりに実感がこもったフレーズですね。

鳥(ブローチ&ペンダント)

こうして生まれたこれらの作品は、その写真の美しさもあいまって、
全国に旅立っていきました。
水面下での葛藤はわからずとも、伝わる方には伝わるのですね。
会場でご夫婦おふたりでお客様と向かい合う姿は、
8月の三越展のときのmorinosuさんとは別人のように晴れやかなものでした。

たとえば、日持ちをよくするために保存料を入れたり、
万人に受け入れられるように甘さを上げたりすること。
ちょっとたとえが変かもしれませんが、
広く作品を発表し、他者へ伝えるためには、そうしなければ、、
と思う新人作家がいるかもしれません。
でも果たしてそうでしょうか。

そうはいっても、それには理解のあるお客様があってのことですね。
「工房からの風」のお客様はそういうことこそ本質を捉えて受け止めてくださるので、
私も自信をもって真ん中のことをしようよ!と言えるのだと思います。
とってもありがたいことです。

最後にお伝えしたいのは、夫君の東影智裕さん。
制作時から当日ブースでもmorinosuさんを支えて来られました。

ご自身は立体作品を制作されています。
いつもニコニコ笑顔の東影さんですが、作品はまったく笑っていません!(笑

近く関西で展示もありますので、こちらからもリンクさせていただきますね。
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morinosuさんの開催前のメッセージはこちらです。
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阿部春弥さんから

出展作家の皆様から、続々とメールをいただいています。
ありがとうございます。

熱い感動の涙、なみだの方。
楽しかったー!という方。
いくばくかの悔しさを整えていらっしゃる方。
さまざまですけれど、言葉、文章に整えてみることは、
ご自身の今後にとってよいものかもしれませんね。

そのような中か、いくつか選ばせていただき、
こうして皆様と共有させていただいております。
もちろん、デリケートな本音も書かれていますが、
公開する性質じゃないものは、私なりに考えて控えていますので、
ご安心くださいね。

そして、私たち主催者、企画者にとっても、
出展作家からのメッセージは、何よりの宝ものです。
感謝の交感は豊かなプラスを育みますし、
気づきはこれからの成長につながりますから。

では、次の作家の方を。
女子二名の熱き涙の話が続きましたので、
次は爽やかなメッセージを。
陶芸の阿部春弥さんから

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・・・
・・・

半年余りの準備期間がありましたが、ほかの仕事を進めながらも
常に心のどこかに、工房からの風の事があったように思います。

右も左もわからない4月の入学式
(勝手に入学式にしていますが)の不安な気持ちから、
当日、鎮守の杜に向かう道中は楽しみでしょうがない気持ちでいっぱいでした。
雨が降っていても、天気ばかりはしょうがない、
今日までしてきたことに偽りはないんだと思えたら、
結果どうこうより、2日間楽しもう!と。
そう思えたのも、goodなタイミングで届いた
小冊子「風の音」と稲垣さんのお手紙のお陰ですかね。

工房からの風。
僕にとっての風。
どんな風だったのでしょうね。
遠くの方で吹いている風が、自分の周りを吹きまわり、
あっという間に行ってしまいました。
今はまだはっきりとはわかりません。
わかったことは、予想以上に心地の良い風だった事です。
この風を作り手としての成長の糧にしていかなければもったいない!
目に見えない風を、目に見える形で残せていけたらと思います。

また、今回強く感じたことの一つに、
風の向こう側を改めて強く感じました。
作り手の多くの方はそうだと思いますが、
普段はひとりで素材と向き合い、孤独の中で製作しています。
油断すると、作っている向こう側の、
使い手の方のことを感じにくくなってしまうことがあります。

作ったものを、伝えてくれる人がいて、使ってくれる人がいる。
みんながいて、風になるんだな、と。
当たり前のことですが、大切なことを改めて教えてもらいました。

作り手としても、人としても、まだまだ未熟な僕ですが、
うつわ作りに日々精進していきたいと思います。

本当にありがとうございました。

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みんながいて風になるんだ。

って、素敵な感想ですね。
私も今回、ほんとうにそう実感しました。
特に来場者の方々のあたたかさ、熱さの確かさが、
この風の特徴なのだと。

どんなによい作家や仮によい企画であっても、
それを支持してくださる方がいなければ風は起こらない。
しかも、「工房からの風」のお客様は、
一過性の点ではなくて、何年にもわたっての線や、
ここからさまざまな場所でもつながってくださる面のような
つながりを持ってくださる方が多くて、
その想いがあたたかで、熱い風になってるんですね。

爽やかな佇まいの阿部春弥さんの器、
たくさんの方々の風の中で心地よく並んでいましたね。

阿部春弥さんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click

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大野七実さんから

市川市で作陶する大野七実さんからも、
さっそくメッセージをいただきました。

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私の風が終わりました。

ただただ涙が止まりません…
うれしいのか?哀しいのか?満たされてるのか?
それすらもまだよくわからない、いろんな色の涙です。
今、全部を出しきって、抜け殻のようにガランとしています。
自分のいとおしく永く続いた時間が終わってしまったように思います。

2日間ほんとうに楽しかった。
いちにちひとつのうつわのことを興味深く聞いてくださるお客さま。
楽布陶時代にうつわを選んでくださったお客さまとの再会。
はじめて私のうつわを手にとってくださるお客さまとの会話。

ひとり仕事場でひとつの光だけを頼りに進んできた時間が、
こうして誰かの手に渡る瞬間、すべてが救われたような気がします。
キラキラ輝く仲間たち。
その手からつくりだされる真心の作品。
風のあの場所が何か大きくあたたかなものに包まれているようで…、
自分がその一粒になれたしあわせ。
見るのと出るのではまったく違うんだ。
そう風人さんのひとりに言われたことがこのことなんだと、今実感しています。

いよいよ準備が整い、搬入を目前に私が感じたことがひとつあります。
それは、だんだんと集まってくる磁力みたいなもの。
みんながここへ向かって、
それまで独りそれぞれの素材と向き合っていた時間を両手いっぱいにかかえ、
だんだん近づいてくるものすごいパワー。
怖いくらいに強く感じました。

そのことを懇親会の席で話した時。
それは私がここに住んでるから。
俺らは集まる側だよ。って、そう言われた時。
もしかして、あー、わたしは土の人なのか?そんなふうに思ったのです。
土の人として、これからも工房からの風を大切にしたい。
こんなにも清々しく真っ直ぐな想いが集まるこの場所をもっと深いものにしたい。
そう思うのです。

自分たちの生きる場所へとそれぞれ帰っていったつくり手たちと
こころを通わせた2日間、一生の宝になりました。
そしてわたしもまたひとりのつくる時間に戻ります。
これからも自分の真ん中を信じて…

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七実さんと知り合って26年くらいになりますが、
野外の工房からの風に出展いただいたのは、今回が初めて。
26年間に土とあった様々な時間すべてが、
今の七実さんを形作っているのですね。

取り組まれた「いちにちひとつのカタチをつくる」。
全国様々な地にタンポポの綿毛のように飛んでいきましたね。

ご自身の作品を一層深められて、
一方で「土の人」として、この場に集う作家たちとともにぐんぐん伸びっていってくださいね。

大野七実さんの展示前のメッセージはっこちらです。
→ click

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aeiさんから

このブログには「凪ぐ浜の宝もの」というカテゴリーがあります。

これは 工房からの風という大波が去ったあと、
砂浜に打ち上げられ、散りばめられた、宝ものようなきらめきを
毎回綴っているものです。

出展作家から送られてきた私あてのメッセージから抜粋してのお届けです。

いの一番に送られてきたのは、金属装身具のaeiさんでした。

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稲垣さま

おはようございます。aei の桑山明美です。
昨晩、無事に愛知の自宅に帰ってきました。

今日は、少し朝寝坊をして
いつもの3倍の時間をかけて朝ご飯を食べました。
いつもと変わらない日常に戻りましたが、
確実に違う何かを手に入れた空気を感じています。

皆さんおっしゃるように、
長いようで短いこの半年はあっという間に過ぎて行きました。
昨日、周りの作家さんと
“帰りたくないね”
“もう一日でいいから出展していたいね”
と話しながら片付けの作業を行っていました。
風人さんのお手も借り、
いつもになくスムーズに片付けが済んでしまい、
会場を後にする時間がきました。

最後、皆さんから見送っていただいたその瞬間は、
卒業式に似ている感覚でした。
そして私は、また新しい朝を迎えています。

私は、作家という職業で生きて行く事にずっと自信が持てずにいました。
区切りをつけるため、30歳までに“芽”を出すぞ!
っとラインをひいて活動してきたここ4年間。
明日、私は29歳になります。

工房からの風に出展が決まり、
絶対なんとか芽がでると気持ちが舞い上がった春。
初夏のミーティングを終え、
そんな芽はとっくに生えていたと気づかされたあの日。

私にとって “芽” とは、それで食べていけることになることでした。
でも、違いました。

私は “つくる” ことが好きなので一生手放すことはしたくない。
“つくる” ことと向き合って生きる覚悟が出来ました。

これが、今回の出展で一番の財産です。

その他にもお話したいことがたくさんありますが、
かなりの長文になってしまうので、
割愛してひとつだけ書かせて下さい。

昨日のチャリティーの素材の果実で
私の作品を当ててくれた方がブースにお礼を言いにきてくれました。
こんなに素敵なりんごがいただけてうれしい!
ということ、
そして、その方の親戚が被災者なので、
チャリティーをしていただきありがとうございます。と。
私は、企画があればとりあえず手を出すタイプなので、
あまり深いことを考えずに参加しましたが、
彼女の本当に喜んでくれている姿を見て、
私も本当に心が熱くなりました。

悔いはやはりいくつもありますが、
私はそれ以上のものを手に入れました。

この先、また立ち止まることも何度もあるかと思います。
その時は、あの日に書いたメモを開き、
“腹をくくる”の言葉を読み返します。

この度は、工房からの風に参加させていただきありがとうございました。

aei 桑山明美

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5月の終わり、私を訪ねてこられた桑山さん。
たぶん、伝えたい思いがいっぱいいっぱいで、こんがらがって、
最初、私には何を言いたいのかがわからなかったのです。
でも、言いたかったことは、きっとひとつだったのですね。
これで食べていけるかどうか、ということ。
その不安に絡まれてしまっていたのでしょうか。

「そんなことは、誰にもわからないよ、
腹をくくるかどうかじゃないの」
と、私は応えるしかなかったのですね。

ハラハラと大粒の涙をこぼしだした人を前に、
正直参ったなぁ、と思ったことでした。

8月。
第二回目のミーティングで3か月ぶりにお会いした桑山さんは、
憑き物が落ちたように、すっきり爽やかな笑顔の人になっていました。
それは若いからだけではなくて、
桑山さん自身の心の素直さからの変化だったのだと思います。

展覧会の二日間、渾身の新作を素敵なディスプレイに配置して、
訪れるお客様と、自然体の素敵な笑顔で会話を続けていた桑山さん。
授かった宝物は、やりきった果ての自信なのだと思います。

そうそう!
お誕生日、おめでとうございます!!
よい20代最後の年が始まりますね。

開催前に届いたaeiさんからのメッセージはこちらです。
→ click

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加藤キナさんより

「工房からの風」が終わって2週間。
なんだかもっと時間が経ったような気がします。

出展作家の方々も、それぞれの日常、お仕事に戻られている頃ですね。
私の方はといえば、いつになく今年は終了後から来年に向けて、
さまざまな方たちとお会いする日々が続き、気持ちが次に向かっています。
来年の要綱なども整えて、遠からずご案内したいと思います。

「風の余韻」。
出展作家からのお便りをご紹介する「凪ぐ浜の宝もの」。
たくさんのお便りを寄せていただいていますが、
どれも公開前提ではなく私信ですので、
掲載確認をいただきながらこちらにお載せしています。

ゆっくり、皆さんに風の余韻を味わっていただければ、、、
そのような想いもありますが、
余韻というだけではなくて、凪ぐ浜の宝ものが、
これからの作り手にとっても何か心の栄養になったなら、、、
そんなことも思いながら、もうしばらく続けたいと思います。

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おりひめ神社の後方で展示されていた加藤キナさん。
ご夫婦でバッグづくりをされています。
少し時間をおいて、丁寧なメールをいただきました。

わたしは、物をつくることともうひとつ、同じくらいに好きな事があります。

それは、文字を書くということ。

わたしにとって言葉は、芸術であり、美しさ。
その人そのものを表すものだから、矯正されたような文字には魅力を感じません。
その人となりが表れた文字を見ると、心が弾む。

だから、自分でも文字を書くときは心を込めます。
一文字ひと文字、呪文のように、おどるように・・・

でもこの何年か、文字は書いていても 言葉を書いてはいなかった。
自分のことばで歌うのを、やめてしまっていたのです。
人の前で、素直なこころの歌をうたうのが、こわくなっていたのです。

きっかけもあり、自分という人間に自信を持てなくなっていたのだと思います。

それから何年か、私も人並みに色々と経験することになり、
口はひとつで、耳はふたつ。
話すよりも、まず人の話を聞こう・・・と感じるようになっていきました。
謙虚さに、うつくしさを見いだしはじめたのかもしれません。
実際、自分の話よりも、人の話を聞いている方が数段楽しく過ごせました。

そんなある日、ある舞踊家の踊りを見にいく機会がありました。
深い静かな湖のようなその人は、還暦がすぎてふと思ったそうです。
「自分はダンスですべてを伝えられると思っていたけれど、はたしてそうなのであろうか。
コトバも時には必要なのではないだろうか・・・」

はっとなりました。
ことばの葉が、ひらりと1枚 わたしの心に落ちてきたようでした。

数ヶ月後、工房からの風に出展が決まった私は、
封印していた自分のことばと向き合うことになったのです。

多くの作家さんが、自分の持つ歌声で、見事な音色を奏でていました。
作家さんだけではありません。
この展覧会にたずさわる人それぞれが、自分のことばで歌っていました。

私も、自分のこころの中、深く深くに湧いていることばの泉を、覗いてみてもいいのかもしれない・・・
そんな風に思えるようになった頃、1通のハガキが届きました。

よく滑るブルーブラックのインクで書かれたその文字は、
羽根のように軽やかに・・・

風とともに歩んできたその人は、羽根のような文字をもつ、風を宿した人でした。

ただ、生きるのではない。
どう生きるのか。

私たち夫婦が作り出せるモノの数は、限られている。
だとしたら、いったい何がつくりたいのか・・・
どんな歌を紡いでいきたいのか・・・

工房からの風で、数をつくるのではなく、自分たちが納得のいくものを作り並べました。
そして、その想いは、多くの方につたわりました。

「欲張らない」
これは、工房からの風が毎年50組の限られた出展者しか参加できないことにもつながっています。
あれだけ密に、作家ひとり一人と向き合っているのだから。

「欲を張らない」
自分の置かれた場所をよく見て、自分のできる範囲で充分な仕事をする。

この先、この学びを忘れないように。
吹いてきた風を クルクルと少しちいさくコンパクトにして、いつでも心から取り出せるように。

風はこれからも密やかに、私と一緒に歩んでくれそうな気がします。

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やっと、こころにあった言葉をすくいあげることができました。

工房からの風は、私の中でほんとうに大きな学びの場となりました。
ありがとうございました。

キナさんたちとは、今年初めてお会いしましたが、
「工房からの風」には、数年前から来場くださっていたとのこと。
満を持して?応募くださったようですね。

言葉とものづくり。

言葉はものづくりになくてはならない、
とは思っていませんが、
と、同時に、言葉がものづくりに必要ない、
とも思っていないのです。

ものを作る人の中に、たしかに生きた言葉を綴る人がいる。
という事実があって、そのことを大切にしたい、
ただ、そう思っています。

キナさんたちが、今展を通して上記のような熟した言葉、文章を綴られたのは、
想いが豊かに実って、自然に言葉となって弾けだしたのですね。

言葉とものづくり、が、どちらかを補うためのものではなくて、
どちらをも豊かに育むものであるように。

加藤キナさんからのお便りは、そんなことを伝えてくれました。

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叶谷真一郎さんより

おりひめ神社のまうしろで、使い心地のよさそうな器が
さりげなく風景に溶け込んでいましたね。
叶谷真一郎さん。
神戸から来られた陶芸作家の方からもお便りをいただきました。

こんにちは、叶谷です。

無事帰りました!
疲れと余韻とが重なり、まだぼ~っとしております。

今年初めから、この日の為に考え、
目標にしてきたと言っても過言ではありませんでした。
頭の中に常に”工房からの風”の文字がありましたから・・・。

前日の準備の段階から終わるのが怖かったくらいです。

本当にあの場所は良かったです。
木漏れ日が器と花を照らしてくれて・・・
日々の器を作っている僕にとって、
皆さんがじ~っと器を見て、
食卓に思いを馳せていらっしゃる姿を拝見していると、とても嬉しくなりました。
季節を感じながら、器を選ぶこと、素敵だなとしみじみ感じた時間でした。

個人的には、今までと違った器も展示してみようと試みました。
改善点等、考える余地も生まれ、今後の指針となりました。

今回の展示で、結果が伴った人
(どういうことを結果が出たというのかは人それぞれだとは思いますが)、
思ったような展示にはならなかった人。
思いはさまざまだっただろうなと思いました。

売れたか売れなかったかとか、次の仕事が来たとか。
そういうことではなくて、こぼれ種が自分の中で芽生え、
それがどこへ向かうかだと思っています。

この2日間だけではないと思うのです。
そこからいつかどこかで何かに繋がっていく。
だから、この出展者の誰もが、これからの活動の糧になるはずだと。

若い人が多いこの工房からの風の中で、
おそらく年長者の方ではないかと思われる僕の経験を踏まえた実感でした。

同じ作り手の仲間と出会えたこと、有意義な1年間でした。
自分だけでなく、この仲間達の種が風に乗って、どこかでまた会えるように・・・
そう思ってやみません。

このような場を作って下さった、スタッフの皆様、
そして何より「工房からの風」にお越し下さるお客様に、感謝の一言です。
ありがとうございました。
また、ご一緒できるのを、楽しみにしております!

叶谷真一郎

叶谷さんとの会話やメールには、必ずなおこ夫人が登場して、
その恐妻ぶり!がおふたりの仲の良さを表しているのだと
今回お二人にお会いして気づきました。
でも、今回は妻話!(掲載はできませんが(笑))の他にも
しっとりとした文章を寄せてくださったのでした。

目まぐるしく進む時間軸の中で、数か月をかけて取り組んだ展覧会。
そこでの結果は これからの時間の中に。
ほんとうにそうですね。
出展年次も超えて、この風に吹かれた作家同士、
これからさまざまな地で、よき交流が生まれることを願っています。

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堀内亜理子さんより

スペイン階段前のテントで、ひときわ人の山ができていたブースがありました。
堀内亜理子さん。
北海道は旭川から来られた、漆の作家です。

戻ってくると、山は真っ白、紅葉は葉を落とし、街行く人は冬装備。
会場で送った自分の荷物が少しずつ戻ってきました。
いよいよ旅も終わりです。

この度は本当にお世話になりました、ありがとうございました。

「工房からの風」は「愛」なんだなあと思いました。
そこには作家への見返りや押し付けはなく、
ひたすらに希望や光を与える「愛」そのものです。
産み出すのはいつも「女性」なのですね。
だから続くのかなあと思いました。
12回…干支をひとつ巡ったのですね。

毎日「工房からの風」という言葉を頭にのせながら向き合った半年でした。
今年の大きな目標が終わりました。
こんなに創ったのも、人の手に渡ったのも初めてでした。
自分が生きている感じがしました。

終わったら、始まりです。
充実したし、楽しかったけれど、個人的には大きな課題を抱えています。
これからがっちり向き合わないと…。

私の工房に新しい言葉が増えました
稲垣さんのブログにあった
「取り組むことにケチにならない、出会いにケチにならない」
これ、名言ですね!!真理です!!
ケチらなかったらちゃんと得られるモノなのですね。

この切り捨ての時代にアーティストを惜しみなく支援して下さるニッケの方々、
スタッフの風人さん、庭人さん、サポート戴いた皆さんに…
心から、心から感謝を込めて。

堀内亜理子

北海道はいきなり冬支度の季節なのですね。

「自分が生きている気がしました」
という、ありこさんの言葉は、決して軽口ではないのだと思います。
産地ではない地方で、黙々と制作をしながら、
横のつながりもまだ豊かではない若い作家は、
作ってもそれに応えてくれる人と出会える機会があまりになくて、
きっと心を細くしていたのだと思います。
今回、思い切って出展されたことで、大きな反応を得たこと、
そのこと自体が、ありこさんの宝ものになり、
生きている実感につながったのですね。

懇親会で、笑い話のようにしてくださったこと。
大きな大きなお重箱をぜひみてほしくて作ったけれど、
きっと売れることはないだろうな、
と思ったというありこさん。
そのお重が売れたときにいれる大きな紙袋を買おうか買うまいか、
かなり悩んだそうなのです。
(作家の方々、きっと共感していますよねー)
けれど、やっぱり買おう!
と北海道から携えてきました。

そのお重、お選びいただけたのですね!
その瞬間、こみあげてきてしまい、涙がこぼれてしまったというありこさん。
心優しいお客様は
「いろいろ買い物はしたけれど、もの買って泣かれたのは初めてだよ」
と、励ますように言ってくださったとのこと。

「取り組むことにケチにならない、出会いにケチにならない」
は、紙袋を買うか買わぬかで迷ったありこさんの実感!だったのでしょうね。

ちょっと、おかしみをもって書きましたけれど、
実は私も最初その話を聞いた時には、目頭熱くなってしまったのでした。

「工房からの風」は、ハレの日であって、また日常、ケの日々となるのですが、
手ごたえという宝ものが心にあれば、きっと 日々の制作も心潤うはず。
ありこさん、時々は関東にもいらして、
今回の出会いの糸を豊かにつなげてくださいね。

oldtonew1
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OLD TO NEWさんより

第十二回「工房からの風」から、早くも1週間が経ちましたね。
なんだか、すでにずーーと前のことのよう、、
出展作家の方々から届くお便り、メールにも、夢の中の出来事だったのでは??
という言葉がなぜか共通に書かれていました。

:::

「凪ぐ浜の宝もの」

いつも「工房からの風」が終わった後に、
作家から届くお便りを一部ご紹介しています。
大波の去った後に、静かな浜辺に転がる美しい貝殻やガラスのかけらのように、
作家の心の浜辺に宿った輝く言葉を綴らせていただいています。

どれも、稲垣宛の私信ですので、作家に確認して、一部を掲載しています。
今年は、あまりにディープなものが多くて、なかなかすぐに掲載ができませんでした!
穏やかな秋晴れのもと、心豊かな時間を得た今年度の「工房からの風」
でしたけれど、その日に向けた作家たちの熱い思いは、そのまま転載するには、
ためらいもありました。

けれど、ご許可をいただき、これから数日、ご案内していきますね。
思いを共有したり、共感したり、ハテナ?と思ってみたり。
また、これから出展を検討される方にも、参考になれば、
と思います。

:::

まずは、まっさきに届いた(日曜日の夜!)OLD TO NEWさん。
おりひめ神社の脇で、金属の装身具を出品していた女性です。

:::

1月からお世話になりました!
準備期間を振り返ってもあっという間、
当日の二日間はもっとあっという間に過ぎました。
何からお伝えしたらいいのかわからないほどの経験をさせていただいたこと、
本当にありがとうございました。

出産などで少しスローペースだったわたしの制作の中に、
迷いや不安が沢山ありました。

それは当日を迎える日々の中でどんどん小さくなって行き、
出展を終えた今日は作っていていいんだと思える大きな大きな転機となりました。

それは度々の折衝だったり、
他の作家さんとのお話や作品に直接触れられることだったり、
風人さんのお話だったりの眩しいことや
お客様とのやり取りだったりの奇跡のような出会いの積み重ねからです。

もちろん自分に足りないこともまた明確に分かり、
それもまた大きな収穫でした。
うまく言えませんが本当に色んな風が色んなことや感動を運んでくれました。
改めて、この仕事が出来て幸せだと思います。
他の展示会ではここまで思えることはなかったと、
「工房からの風」に今年参加出来た幸運にとても感謝しています。

終わってしまったことでぽっかり寂しい気持ちになりましたが、
ぜひこれからもずっと「工房からの風」の皆様と
繋がって行きたいと心から願っています。
その為にもどんどん力をつけて良い作品を作り続けて行きたいです。
言いたいことの半分も言えていないような気がしますが、
どうか今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
本当に、本当にありがとうございました!

 

:::

京都の彫金工房でしっかりと働いていた史さん。
結婚、出産を経て独立後の不安の中での応募だったのですね。
けれど私にはそんなそぶりはちっとも見せずに、
いつもニコニコ前向きに訪ねてきてくださいました。
きっとご家族の協力や、ご自身のやりくりなど大変だったと思いますが、
秋の日の実りに向けて取り組んだ時間は、見事に生りましたね。
そして、ぽっかりの穴は、作りたい意欲!で満たされているようです。

これからのOLD TO NEWさんの作品、とても楽しみですね。

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uiny by nakamurayuiさん(アクセサリー・服)

ニッケ鎮守の杜の一番西側。
岩の配置されたゾーンでお手製フィッテングルーム?まで拵えてくださった
uiny by nakamurayuiさん
一度お便りをくださったあと、先日の「小骨」のブログを読んで再びメッセージをくださいました。

まず、最初のお便りから一部を。

・・・
一日目の帰り道、皆でもう終わっちゃうね、さみしいねーと帰ったり、
朝に挨拶しあったり、ブースをみて回りあったり、
搬出の時に、また!と。

『このばかぎり』で終わらせたくないね、という気持ちが皆にあって、
沢山の人と人の両想いがあって、それがとてもうれしかったです。
色々な場所でこの出会いをいかしたいし、
また成長して大きな風になって戻ってきたいな、と思いました。

それから、「小骨」のあとにいただいたメッセージ。
少し長いですけれど、転載させていただきますね。

・・・
こんなに沢山の作家がいて、更にターニングポイントになるような場所で、
自分の人生の立ち方をわからずにいる方もいたり、
色んな場所を通り心を傷つけたまま、「工房からの風」に参加する方もいたんだろうな、
と思いました。
全てのエネルギーを先頭で受け入れていくことは、
とてもエネルギーを使うことだろうと感じました。

私は自分で自分が立ってからこそ、人と関われると思っていて、
あの場所はそれを実現してこそ素晴らしい場所になるな。と思い、準備をしてきました。
自分で自分を立たせるということはひとりで頑張るんじゃなく、
自己というものへの認識をもってから人に頼れる。
と経験からも信じていて、それを最大限実現したかったんです。

不特定多数の人が集まる場所でイベントをやると、心ないことを言われたりしますし、
要らない傷を受けたりします。
そういう事が無い場所で自分の作品を真正面からみて貰える、ということは、
これからの制作人生の根幹で支えになるな、と思いました。
自信を貰える、得られる。
私にとっては全てではないですが、そういう場所でした。

常に様々な視点で疑問を持ちながら毎年進化させていこうとしているあの場所で、
今年作品を発表出来たことはとても素晴らしい体験でした。

ありがとうございました。
さらなる成長をしていきます。

この「凪ぐ浜の宝もの」では、作家が感じた生々しい感想の中から、
共有出来たり、次につながっていけたらいいな、と思うものをご紹介してきました。

企画者としては、参加くださった全員がよかった!と感じてほしいところですが、
実際そんなことになったら、ファッショですよね。
中には、思うようにいかなかった、とか、もっとこうすればよかった、とか、
今回は、いらっしゃらなかったけれど、以前には、
自分には何の変化もなかった、というようなメッセージをいただいたこともあります。
もちろん、この場でお名前を出して負の要素のあるメッセージをお伝えすることはないと思いますので、
どうしてもポジティブなメッセージが多くなってしまいますが、
先日、思い切って「小骨」のブログを書いたところ、数人の作家の方から(過去出展者も含めて)
好意的な長文のメールをいただきました。

そして、その根っこには、やっぱり、よいものを作りたい。
そのことがあるんですね。
だからこそ、いろいろと感じるし、考える。
このブログでそのことを整理するのは難しいですが、
いつかそういった生身の思いを冷静に書ける日を迎えたいと思っています。

あと数人の方からのメッセージをご紹介して、浜辺から一度退いていこうと思います。
(作家の方々、お返事が滞っていて申し訳ありません。
お一人ずつ、書かせていただいてますので、しばしお時間をくださいね)

長い文をお読みいただいて、ありがとうございます!

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Noraglassさん(ガラス) 

おりひめ神社の鳥居のほとり。
きらきらと木漏れ日を受けて輝くガラスのNoraglassさんからも
メッセージをいただきました。

・・・

天候、ロケーション、 空気感。
全てが思い描いていた通りの環境で出展させていただきました。
運営の皆さん、風人の皆さん、庭人さん。
たくさんの方達に見守られているような安心感は格別でした。

そして周りを見渡せば幾度も言葉を交わした同期たちが。
なにか共通のテーマを与えられているわけではないのに、同じものを共有している感覚は
とても心地よく、また、たくさんの刺激を受けました。
この経験、出会いはこれからも大切に育んでいければと思います。
運営の方々、作家同士のコミュニケーションの豊かさは唯一無二のものだと思います。
そこから生まれているであろう当日の会場の緩やかな統一感も。

そしてもう一つ感じたのはお客様の選ぶ作品の違いです。
Noraglassでは通常、食器よりも花器を選んでいただける場合が多いのですが
今回はそれが逆転したのです。
多くのお客様が手仕事の器を生活に取り入れることにより積極的で慣れている、
という感じを受けました。
「工房からの風」がこの地にしっかりと根付き、そのような文化を育んでいるのだとすれば、
そしてそれが端的に現れた結果であるならそれはとても素敵なことで、尊いことだと思います。
求められることは年々変わっていくとは思いますが
どうかいつまでも作り手、使い手とともにある「工房からの風」であってほしいと願います。

若くて誠実な前嶋さんらしいメッセージ。
これから、もっともっとご自身が求める美しいかたちに向かって、
制作を進めていかれることと思います。

このブログへの一部掲載のご許可をいただくためのメールをしましたら、
そのお返事の最後に

憧れていた「工房からの風」。
これで本当に終わったのだな、とメールを拝見しながら少しの寂しさを感じています。

と、綴ってくださいました。
ええ、ほんとうに。私もなんだか寂しいです。
でも、この寂しさは、次の出会いの始まりですね。
お互いに仕事を深めて、ぜひ、またお会いいたしましょう!