2015年11月の記事一覧

「凪ぐ浜の宝物/工房からの風」New

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大住潤さんから

「工房からの風」出展を終えて、工房へ戻った作家から届いたメッセージ。
一部を皆さんと共有させていただくことで、次への実りにつなげていきたいと
綴ってきました。
「凪ぐ浜のたからもの」

ご紹介したい宝物は、まだまだあるのですが、そろそろ幕を引きましょう。
最後は、木彫の大住潤さんからのメッセージです。

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会場となったニッケコルトンプラザに初めて訪れたのは、
5、6年前に開催された星野道夫さんの写真展でした。

写真展で感動をいっぱいもらった帰りに見かけたギャラリーらふと。
あの建物の佇まいが、ずっと心に残っていました。

「いつかあんなところでできたらいいな」と思ったこと覚えています。

そのギャラリーらふとのことから、「工房からの風」のことを知りました。
その頃は、自分自身の作品と言えるものがなく、いつか、いつかと思っていました。

そして、何を作っていきたいのか模索する日々の中、
木彫りの羽根を作り、
やっと僕も「工房からの風」に応募することができると喜んだこと鮮明に覚えています。

星野さんの生まれ故郷で出展が決まったことで、
「このまま進みなさい」と言われたようで励まされました。

風の予感展当日、自宅出発直前、持っていくつもりのなかった熊を、
なぜなのか持っていこうと思いました。
人に見せるつもりも全くなかったのです。
それが何のきっかけなのか見てもらうことになりました。
稲垣さんに熊を見てもらった時は、ものすごく恥ずかしかったです。
デッサンができなくて随分悩んでいたこともあり、
熊のプロポーションも何となくおかしいとわかるのですが、
どこがおかしいのかもわからない状態。
そんなところが気にかかって落ち着きませんでした。

けれど、その熊をいいと言って下さった稲垣さんの言葉に、
僕はものすごく衝撃を受けました。
デッサンができる、できないかは問題ではなかったのですね。
おかしいもので、そう言われると蓋をした自分の気持ちがわっと出てきました。

特別なこの場所で、まさか熊を彫ることになるなんて思いもしなかったです。

本当に夢のような時間でした。

第2回のミーティング、三越でのプレ展示を踏まえて
どのようにしていこうかと迷っていた時、
心の向かう方に、全ては僕の心次第だと言って下さったのが、
熊をもうひと段階成長させるパワーになりました。
本当に大切な気持ちで熊を彫ることができました。
とにかく人の心に真っ直ぐに届くものを彫ろうと、
余計なものは削ぎ落としました。

稲垣さんの紹介文、人に伝えようとする情熱が言葉から溢れていて、
僕もそんなふうに木を彫れたらいいなと思いました。
ものすごく感動しました。

そして、この2日間、熊を見て下さった方たちのたくさんの笑顔に出会いました。
励まされ続けてきた僕がずっと探していた人の心に届けられる形、
これからも出会いを重ねて見つけて届けていきたいです。

とても幸せな時間でした。

大住 潤

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工芸、クラフト、手仕事・・・・
と呼ばれる世界の仕事に携ってやがて30年になりますが、
未だにどの言葉が自分の仕事なのかと言い切ることができません。

「工房からの風」の中で赤木明登さんとのトークイベントの中で
こんなやりとりがありました。

工芸30年説というものがあって、
民藝の時代、自己表現の時代、生活工芸の時代ときて、
稲垣さんはこれからどのような時代になると思いますか?
と投げかけられました。
そこで私はこう答えました。

「お尋ねの答えにはならないかもしれないけれど、私は絶対的な何か、
に向かって仕事をしてきてなくって、相対的な何かに向き合ってきた気がします。
それは、先にこちらにこうあるべきというものがあるのではなくて、
作家に向かって、その作家が何を作るべきかをみるやり方。
男の人は定義づけが好きだからなぁ(笑)。
今まで意識したことはなかったけれど、私は女性だから?
母性とかと関係があるのかしら?
なーんて柄にもなく思ったりしますけれど・・・」
と、会話なので和やかに。

・・・それは学問にたとえれば、歴史学ではなく、社会学のようなものかもしれません。
揺るがない、確固とした姿が私自身にあるのではなくて、
対象に向かったとき、いかにその対象を正確に見て、感じることができるか、
そのことに心を注いできたのだとようやく思えるようになりました。

言葉や歴史学的な捉え方もとても大切だと思いますし、
そのことに注視してこの仕事を進める方々がいることも豊かなことだと思います。
一方、今何々の時代、とか、これからは何々の時代、というのを考えるよりも、
出会った作家のまんなかを見ることを深めたい、
そんなことをあらためて思った年でした。

人の暮らし、営みと結びついたもの、
素材の恵みとの関わり、
その作り手ならではの何か、
完成度・・・
「工房からの風」という展覧会としての
コンセプトやクォリティーはもちろん大切にしていますが、
先に枠を作ってしまうことで出会うべきものを
こぼしてしまわないようにありたいと思っています。

クマであってクマだけではない姿。
そこには大住潤というひとの中の真実があって、
その真実が幾ばくかの他者の心に芯から沁みていく。
そういうきらりと輝くものの意味を味わいながら確認できるのも、
凪ぐ浜で出会えた宝ものなのだと思うのです。

大住潤さんの出展前のメッセージはこちらになります。
→ click

-次年度応募に向けての記事など、しばらくブログ更新続けます-

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三浦侑子さんから

スペイン階段前で吹きガラスの作品を出品していた三浦侑子さん。
岡山に戻られて早々にメッセージをいただきました。

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まだ、頭がぼんやりしている状態ですが、
工房からの風が終わってみて私の中に吹いている風は、とても穏やかで心地良い風でした。

4月から始まり2日間終わるまで、本当に手厚いサポートをありがとうございました。
作品の梱包が驚くほど丁寧だったり、
広告に1人1人の作家名をちゃんとのせていただいたり、
「風の音」に温かいお手紙を添えていただいたり、
私自身まだまだ未熟な名もない作家なのに、こんなにも応援していただいて
頑張らないわけにはいかないという気持ちで、駆け抜けた半年でした。

そして、ステキな宝物をたくさんいただきました。
素材や技法は違っても同世代で頑張っている作家さんや、
自分よりもずっとずっと進んでいて深いところで
素晴らしい作品をつくっている先輩作家さんや風人さんとの出会いは、
これからも大切にしたい宝物です。

工房からの風当日、ずらっと並ぶたくさんの作家さんの展示を見て、
客観的に自分がまだまだとても浅いところに立っているのがよく分かったのですが、
同時に深いところに行くための光も見えた気がしていて、
自分でも驚くことに、今は早く制作をしたくてなんだかワクワクしています。

お客様には、不慣れでご迷惑かけてしまったところもあったのですが、
本当に端から端までしっかり見ていただけて、感激しました。
私の展示場所は入り口の方だったのですが、
わざわざ戻って来て下さった方がたくさんおられて嬉しかったです。

まだまだ頭の整理ができておらず、書ききれていないことも多分ありますが、
稲垣さんをはじめ、スタッフの皆様、風人さん、全ての方に感謝しています。
今の私は、家族や周りの協力がないと制作できない状況ですが、
そんな中、全力で悔いなく工房からの風を終えることができたのは、
工房からの風に携わる皆様のおかげです。
本当にありがとうございました!!

また、いつかお会いできるように頑張ります。

三浦侑子

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初夏の風の予感展にも参加くださった三浦さん。
その時の「企画会議!」で収穫祭をしましょう!
と盛り上がって、かぼちゃなどをたくさん制作くださいました。
お庭の草花とあいまって、実り豊かな収穫祭がキラキラ輝いていましたね。

50人の作家が共に出展する二日間。
けれども作家間の仕事の成熟度は、もちろんさまざまです。
これからいよいよ本格的にスタート!という三浦さんから、
このような素直をメッセージが寄せられたこと、
すばらしく感じました。

『・・・自分がまだまだとても浅いところに立っているのがよく分かったのですが、
同時に深いところに行くための光も見えた気がしていて、
自分でも驚くことに、今は早く制作をしたくてなんだかワクワクしています。』

こんな風に思える鮮らしき人は、ぐんぐん伸びてゆかれますね。
じっくりご自身の実りに向かって制作に励まれて、
収穫祭第二弾をぜひ見せてくださいね。

出展前の三浦侑子さんからのメッセージはこちらです。
→ click

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にしむらあきこさんから

高見由香さんと隣、おりひめ神社のほとりで展開していた
和紙造形、絵本のにしむらあきこさんからもメッセージをいただきました。

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(画像、只今整理中です。
いろいろ差し替えていきますね。
もし、イナガキのメルアドご存知の方で、
素敵な画像をお持ちの方、ご一報くださーい!)

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皆様の胸を借り、思う存分自由に表現することができたことをありがたく思っています。

絵本を読むために、と木の下に設置した小さな椅子は、
ときどき親子がそこに腰かけて、
おやつを食べたり遊んだりするちょっとした休憩スペース になっていました。

明るい日差しにまぶしい顔をして木を見上げている親子と、
空に踊る「おとのかたち」はひとつの風景となって、
絵本の1ページみたいだ、とこっそり感動したり。

ちいさな女の子が、かわいいお財布から
お金を出して選んでくれたポストカードは
特別な一枚のような気持ちになったり。

お子様れのお客さんが多いなか、
お子さんが作品を触りたがり、
ハラハラしながら作品を見てくださっているお母さんたち。

売り物じゃない子どもの好きそうな作品を置いておいてあげたら良かった。
自分だっていつも同じ気持ちでいるのに、
どうして気がついてあげられ なかったのかな、と反省したり。

2回目だというのに、やっぱり余裕がなく
作家のみなさんのブースを見て歩くことが叶いませんでした。
でも、お向かいの高見さんの美しい作品が、
風に揺れるさまを眺めたり
(沢山のショールがかかった円形のディスプレイがくるくると、
それはまる でダンスを見ているようでした
お隣の木のナカヤマサトシさんの
すてきなインスタレーションを
ほんのりと良い香りとともに何度も楽しめることが出来て幸せでした。

今回も反省点は多々あり、
あげだしたらきりがないくらいですが、
その反省は次へ進む宝物のように光っています。

この二日間、お客様と言葉をかわしながら、
絵本を読んでくださる顔を見ながら、
包装しながら、疲れてぼんやりしながらも、
チカチカと響いてくる瞬間がありました。
それらは泉のように湧いてくる制作への衝動のようなものでした。

反省という宝物と、制作への衝動を、力を、
あの場所で手に入れました。
なんて贅沢な二日間だったのでしょうか。

ただただ、感謝の気持ちで胸いっぱいです。
ありがとうございました。

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ああ、なんで撮らなかったんだろう、あきこさんの笑顔。
ブースをのぞくたびに、たくさんのお客様に囲まれて、
忙しいはずなのに、お顔はなんともふんわり柔和なままで。
あんまり幸せそうなその表情を、カメラを向けてほどいてしまうのが、
無意識のうちにはばかれていたのかもしれません。  

いただいた文章にも書かれてあるように、
小椅子に腰かけた大きなひと、
小さなひとの笑顔。
そして、思わず読みだしたあきこさんの本に目頭が熱くなってしまって、
困った表情のひとたち。

鎮守の杜の一角で、手と心に豊かな感触を与えてくれた時間が繰り広げられたこと。
今となっては夢の一幕のように思えてきます。

でも、やっぱり、夢、ではないのですよね。
あきこさんは、ここでこれだけのことを成し遂げたことで、
すでに次の地平に向かっているのだと思います。
あきこさんの見て、感じて、創りだしていくこれからのお仕事、
ぜひ、皆さんと一緒に見続けていきたいと思います。

にしむらあきこさんの出展前のメッセージはこちらです。
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高見由香さんから

おりひめ神社のほとりで手織り布を展示していた
高見由香さんからもメッセージをいただきました。

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風が終わって4日経ちました。
戻った日常の中で風の中にいた2日間をずっと考えています。

自信がもてず不安で一杯だった1回目の出展から6年
あの日悔しさの中に立っていました。
次、この場所に立つ時は背筋を伸ばし
自信を持ってこの時間を楽しめるようになってから立とうと
未来の自分に喝を入れるような気持ちになった事を覚えています。
今、2回目の風が吹き終わり
充実の先に次の場所をしっかり見据えて立つ自分がいます。

つくる中でいつも良いものが生まれるわけではなく
もがき、幾度も回り道をし、生み出すことはとても苦しいです。
その上で生まれた良いものが
お客様や自分以外の誰かに確実に届いていると
この2日間実感していました。
自分の中の「良い」が誰かに伝染する
あぁこれでいいんだなとすっと何かが落ちた感覚がありました。

つくり手にはいろんな時代があり私もその途中です。
その道中で吹く風が「工房からの風」。
風ある豊かな土壌で育まれ道を歩くつくり手
大きく広げた手で受け入れてくれるお客様
風は起こせるんだと広く深い眼差しを注いでくれる人
その全てが風 になって前へ連れ出してくれる
それが私の「工房からの風」でした。

感じた事を書きとめようと思っても
湧き上がるものでまとまらずにいたここ数日。
yossyのリリックを目にした時、
6行で綴られた言葉にズキュンと胸を打たれ
そういうことなんだよねーと私の涙腺は崩壊したのです。
ここだったかー。

そして今日も息をするように織る時間が流れています。

エプロン

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どこかクールな表情の高見さんからの熱いメッセージ。
初出展の作家の方々にぜひお読みいただきたいと思いました。

6年も前になったのですね。
高見さんが悔しい想いを抱えて一回目の展示を終えられたということ。
初めてお聞きしました。

その間、お仕事でのやりとりも続き、
母となり、子育てに勤しみながらも糸から離れなかった高見さん。
初出展の時の想いを火種のひとつとして、
二回目の出展の日に、豊かな実りを得られたこと。
こういうお仕事の熟し方があること、
皆さんと共有できたら、と思います。

それにしても、yossyのリリック、多くの人の心を射抜いてしまいましたねー。

高見由香さんの出展前のメッセージはこちらです。
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AC CRAFTさんから

ニッケ鎮守の杜に入ってすぐの右手奥。
ヒノキの良い香りにくるまれるブースがありました。
AC CRAFTさん。
石井学さんからもメッセージをいただきました。

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帰りの車中「ああすればよかったかなあ…」
「こうすればよかったかなあ…」
「これで良かったのかなあ…」
という思いが次々に浮かんできたのも正直なところで、
課題がたくさんではありますが、
今回新しいことにトライして、
「2015年の今の等身大の自分」が出せたのではないか、
とすっきりした気持ちでいます。

当日はたくさんのお客様とお話することができ、
8年前出展させていただいた際のお客様からも
何人かお声をかけていただいたり、
家具のご感想を伺うことができ嬉しい機会となりました。

出展者の方々と交流ができたことも本当に貴重な嬉しい機会でした。
『「収穫」ではなく「種をまく」気持ちで取り組んでほしい』
という一貫した姿勢に、救われることがしばしばありました。
準備期間から今まで、皆様に本当にあたたかくサポートしていただき本当に有難うございました。

出展が決まってからこの半年間に感じていた
「心のぐるぐる感」をこれからも常設させながら、
ものをつくっていけるように取り組みたい…そんな気持ちでいます。

8年ぶりに皆様と関わらせていただき、
「変わらぬ思い」と
「より一層高められた質、細やかさ、やさしさ」
に感動してしまいました。
制作をつづけ、いづれ3回目も挑戦し、
また何かの形で関わらせていただけたら… と思っております。

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AC CRAFT3

8年ぶりの出展、とてもうれしかったです。
AC CRAFTさんのブース周辺に漂っていたヒノキのよい香りは、
実際の香りとともに、石井さんご夫妻の
ものづくりの姿勢が放つよい香りでもありました。

よき循環の中で生かされるべき素材に目を向け続けるお仕事は、
継続の中で、一層確かなものに育ってきましたね。

年月を経て、お仕事を覚えて、気にかけてくださる
お客様がいらっしゃることも、励みになられたことと思います。
美濃市の美しい「うだつのある町」にある工房。
「工房からの風」がご縁で訪ねる方が増えるといいですね。

AC CRAFTさんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click

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Honda Silk Worksさんから

秩父のHonda Silk Worksさんからもメッセージをいただきました。
一部を共有させていただきますね。

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今回、私達は出展するに当たり一つ決めたことがあります。
それは、自分たちが本当に作りたい布だけを出すということです。
とは言え、技術も知識もまだまだ未熟な私達ですので’今’の時点での事ですが。

カラフルでもなく華やかでもない布、
でもお蚕さんの吐いた糸をたっぷりと使った気持ちの良い布。
纏ってもらいたい 巻いて身につけてもらいたいという思いで制作しました。
結果、あえて小品(コースター等)は制作せずストールだけの展示をしました。

それは私達にとって勇気のいる事でしたので、
お客様に受け入れて頂けるか不安な気持ちがありました。
しかし当日は、何度も足を運んで悩んだ末にご購入して下さった方や、
連日来場して頂き纏ったり巻いたりして下さったり、
ふらりと立ち寄りお話を通して布を手に取って下さったり….と
たくさんの方々に興味をもって頂けました。
お蚕さんの仕事の話も素直に伝えられたと思います。

そして、今回ご縁があり京都へ染織の勉強をしに行くことに決めました。
その背景には、出展が決まってから
半年の間の制作と考えを深め自分たちと向き合う日々、
他の作家の方々との交流があったからだと思います。

これから私達が向いていきたい方向、
私達は布を通して何を伝えられるかと考えました。
そのための技術を身に付けたいと思っていたので
すぐに決めることができました。

今振り返ると、この半年は次のステップへ行くための大切な期間でした。
工房からの風に出展させて頂き得られた手ごたえを大切に、
新しい風を取り入れに、たくさん見て勉強して、
体と手を動かして私達らしい布を制作していきます。
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小鮒草×藍 (800x600)

ニッケ鎮守の杜の奥の方、岩のある空間で
本多祐二さん、さくらさん夫妻が展開したブース。
養蚕から糸づくり、染め、織りと手掛けられたその空間にも、
いつもたくさんの人がじっくりと布に触れていましたね。

野外展で、新人作家が
小物を出さずに展開することは勇気のいることだったと思います。
それでも企画者や出展経験者との会話を重ねるうちに、
たとえそれで負の結果が出ようとも、自分たちのよいと思う方向で進もう!
そう思われたのですね。
そして、その成果をしっかりと感じられたことは、
これからの制作を続ける中での宝ものになりましたね。

お蚕さんのお仕事から注目されることも多いことでしょうが、
その特異性、ニュース性だけでは本当の仕事に育っていかないと感じたおふたり。
若い作家でそのことを見分ける力は、なかなかないものだと思います。
けれどおふたりは、注目に浮かれず、自らの足元を見つめなおして、
あらためて織を学ぶ道を選ばれました。
京都では優れた師の下で学ばれますから、きっと素直なお二人は、
めきめき腕を上げられていきますね。

「工房からの風」を単に世に出るきっかけにするのではなく、
準備期間からの体験を通して、歩を戻して学ぶ道を進む人が現れたこと、
眩しく、うれしく思います。
おふたりの糸との時間は始まったばかり。
洋々と広がるその世界で伸びやかにあるために選んだ道を
心から応援したいと思います。

Honda Silk Worksさんの開催前のメッセージはこちらです。
→ click

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morinosuさんから

金属装身具のmorinosuさんからもメッセージをいただきました。
ニッケ鎮守の杜に入って花壇のある空間。
周囲の植え込みを背中に小さなテントで展開されていました。

猫(ブローチ&ペンダント)

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工房からの風に全力を出し尽くすことができたと、
達成感を今とても感じています。
実は途中で、もう間に合わない、とキャンセルの文字が頭を
よぎったことがありました。
どうやって、乗り切ったのか覚えていないほど、
身体と心、限界を感じていました。
でも、三越での経験や、稲垣さんをはじめ、
皆さんからのアドバイスのおかげで、
痛いほどやるべきことはわかっていたので、
『やれ。やるんだ私』!と
必死に言い聞かせていたと思います。

新作の樹脂なしの作品へのお客様の反応もとてもよかったんです。
背中を押してくださって、本当にありがとうございました。
この度、参加させていただいたことで、
ものづくりで生きていきたいと、再度強く感じました。
あきらめずに、頑張ってまいりたいとおもいます。
この度は、工房からの風へ参加させていただき、本当によかったです。

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銅版画を続けていく中から、装身具の制作に入って行かれたmorinosuさん。
応募時は、金属の上にすべて樹脂を載せた作品でした。
樹脂が必要なのだろうか?
なぜその加工をしているのだろう?
という疑問を持ちつつ、コンサルタントではないし、
ジャッジしてしまわないように気を付けながら、
「金属のままの表情の作品作りもされてみては?」
という投げかけをもって、8月の三越展へのお誘いをしてみたのでした。

風人さんたちベテラン作家に混ざっての三越展では、正直しんどかったと思います。
展示や接客すべて、風人さんたちのレベルに驚いていたmorinosuさん。
結果もなかなか厳しいものに。
そのような中でも、金属の表面のままのものに手ごたえがあったのですね。
風人さんたち、私もmorinosuさんの秘めた可能性にとても惹かれていました。
同業でもあるAnima uniさんなど、惜しみなく技術的なアドバイスもされたりと、
数名の方が、こまやかに意見を伝えてもいました。

どうして、そういうことが可能だったんだろう、って思います。
それは、morinosuさんの人としての素直さ。
多くの人は、他者の意見を受け付けないガードやバリアを作ってしまいます。
伝える方も、そういうガードやバリアを感じれば、それを破ろうとはしませんね。
おせっかいや踏み込み過ぎになりますもの。

今回のmorinosuさんの進化は、
ひとえにmorinosuさんの人としての素直さが、
みんなの前向きな意見を引き寄せていったからだと思います。

しかし、残り二か月を切った中での制作はどんなに大変だったことでしょう。
『やれ。やるんだ私』!
は、あまりに実感がこもったフレーズですね。

鳥(ブローチ&ペンダント)

こうして生まれたこれらの作品は、その写真の美しさもあいまって、
全国に旅立っていきました。
水面下での葛藤はわからずとも、伝わる方には伝わるのですね。
会場でご夫婦おふたりでお客様と向かい合う姿は、
8月の三越展のときのmorinosuさんとは別人のように晴れやかなものでした。

たとえば、日持ちをよくするために保存料を入れたり、
万人に受け入れられるように甘さを上げたりすること。
ちょっとたとえが変かもしれませんが、
広く作品を発表し、他者へ伝えるためには、そうしなければ、、
と思う新人作家がいるかもしれません。
でも果たしてそうでしょうか。

そうはいっても、それには理解のあるお客様があってのことですね。
「工房からの風」のお客様はそういうことこそ本質を捉えて受け止めてくださるので、
私も自信をもって真ん中のことをしようよ!と言えるのだと思います。
とってもありがたいことです。

最後にお伝えしたいのは、夫君の東影智裕さん。
制作時から当日ブースでもmorinosuさんを支えて来られました。

ご自身は立体作品を制作されています。
いつもニコニコ笑顔の東影さんですが、作品はまったく笑っていません!(笑

近く関西で展示もありますので、こちらからもリンクさせていただきますね。
→ click

morinosuさんの開催前のメッセージはこちらです。
→ click

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阿部春弥さんから

出展作家の皆様から、続々とメールをいただいています。
ありがとうございます。

熱い感動の涙、なみだの方。
楽しかったー!という方。
いくばくかの悔しさを整えていらっしゃる方。
さまざまですけれど、言葉、文章に整えてみることは、
ご自身の今後にとってよいものかもしれませんね。

そのような中か、いくつか選ばせていただき、
こうして皆様と共有させていただいております。
もちろん、デリケートな本音も書かれていますが、
公開する性質じゃないものは、私なりに考えて控えていますので、
ご安心くださいね。

そして、私たち主催者、企画者にとっても、
出展作家からのメッセージは、何よりの宝ものです。
感謝の交感は豊かなプラスを育みますし、
気づきはこれからの成長につながりますから。

では、次の作家の方を。
女子二名の熱き涙の話が続きましたので、
次は爽やかなメッセージを。
陶芸の阿部春弥さんから

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半年余りの準備期間がありましたが、ほかの仕事を進めながらも
常に心のどこかに、工房からの風の事があったように思います。

右も左もわからない4月の入学式
(勝手に入学式にしていますが)の不安な気持ちから、
当日、鎮守の杜に向かう道中は楽しみでしょうがない気持ちでいっぱいでした。
雨が降っていても、天気ばかりはしょうがない、
今日までしてきたことに偽りはないんだと思えたら、
結果どうこうより、2日間楽しもう!と。
そう思えたのも、goodなタイミングで届いた
小冊子「風の音」と稲垣さんのお手紙のお陰ですかね。

工房からの風。
僕にとっての風。
どんな風だったのでしょうね。
遠くの方で吹いている風が、自分の周りを吹きまわり、
あっという間に行ってしまいました。
今はまだはっきりとはわかりません。
わかったことは、予想以上に心地の良い風だった事です。
この風を作り手としての成長の糧にしていかなければもったいない!
目に見えない風を、目に見える形で残せていけたらと思います。

また、今回強く感じたことの一つに、
風の向こう側を改めて強く感じました。
作り手の多くの方はそうだと思いますが、
普段はひとりで素材と向き合い、孤独の中で製作しています。
油断すると、作っている向こう側の、
使い手の方のことを感じにくくなってしまうことがあります。

作ったものを、伝えてくれる人がいて、使ってくれる人がいる。
みんながいて、風になるんだな、と。
当たり前のことですが、大切なことを改めて教えてもらいました。

作り手としても、人としても、まだまだ未熟な僕ですが、
うつわ作りに日々精進していきたいと思います。

本当にありがとうございました。

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みんながいて風になるんだ。

って、素敵な感想ですね。
私も今回、ほんとうにそう実感しました。
特に来場者の方々のあたたかさ、熱さの確かさが、
この風の特徴なのだと。

どんなによい作家や仮によい企画であっても、
それを支持してくださる方がいなければ風は起こらない。
しかも、「工房からの風」のお客様は、
一過性の点ではなくて、何年にもわたっての線や、
ここからさまざまな場所でもつながってくださる面のような
つながりを持ってくださる方が多くて、
その想いがあたたかで、熱い風になってるんですね。

爽やかな佇まいの阿部春弥さんの器、
たくさんの方々の風の中で心地よく並んでいましたね。

阿部春弥さんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click

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大野七実さんから

市川市で作陶する大野七実さんからも、
さっそくメッセージをいただきました。

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私の風が終わりました。

ただただ涙が止まりません…
うれしいのか?哀しいのか?満たされてるのか?
それすらもまだよくわからない、いろんな色の涙です。
今、全部を出しきって、抜け殻のようにガランとしています。
自分のいとおしく永く続いた時間が終わってしまったように思います。

2日間ほんとうに楽しかった。
いちにちひとつのうつわのことを興味深く聞いてくださるお客さま。
楽布陶時代にうつわを選んでくださったお客さまとの再会。
はじめて私のうつわを手にとってくださるお客さまとの会話。

ひとり仕事場でひとつの光だけを頼りに進んできた時間が、
こうして誰かの手に渡る瞬間、すべてが救われたような気がします。
キラキラ輝く仲間たち。
その手からつくりだされる真心の作品。
風のあの場所が何か大きくあたたかなものに包まれているようで…、
自分がその一粒になれたしあわせ。
見るのと出るのではまったく違うんだ。
そう風人さんのひとりに言われたことがこのことなんだと、今実感しています。

いよいよ準備が整い、搬入を目前に私が感じたことがひとつあります。
それは、だんだんと集まってくる磁力みたいなもの。
みんながここへ向かって、
それまで独りそれぞれの素材と向き合っていた時間を両手いっぱいにかかえ、
だんだん近づいてくるものすごいパワー。
怖いくらいに強く感じました。

そのことを懇親会の席で話した時。
それは私がここに住んでるから。
俺らは集まる側だよ。って、そう言われた時。
もしかして、あー、わたしは土の人なのか?そんなふうに思ったのです。
土の人として、これからも工房からの風を大切にしたい。
こんなにも清々しく真っ直ぐな想いが集まるこの場所をもっと深いものにしたい。
そう思うのです。

自分たちの生きる場所へとそれぞれ帰っていったつくり手たちと
こころを通わせた2日間、一生の宝になりました。
そしてわたしもまたひとりのつくる時間に戻ります。
これからも自分の真ん中を信じて…

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七実さんと知り合って26年くらいになりますが、
野外の工房からの風に出展いただいたのは、今回が初めて。
26年間に土とあった様々な時間すべてが、
今の七実さんを形作っているのですね。

取り組まれた「いちにちひとつのカタチをつくる」。
全国様々な地にタンポポの綿毛のように飛んでいきましたね。

ご自身の作品を一層深められて、
一方で「土の人」として、この場に集う作家たちとともにぐんぐん伸びっていってくださいね。

大野七実さんの展示前のメッセージはっこちらです。
→ click

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aeiさんから

このブログには「凪ぐ浜の宝もの」というカテゴリーがあります。

これは 工房からの風という大波が去ったあと、
砂浜に打ち上げられ、散りばめられた、宝ものようなきらめきを
毎回綴っているものです。

出展作家から送られてきた私あてのメッセージから抜粋してのお届けです。

いの一番に送られてきたのは、金属装身具のaeiさんでした。

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稲垣さま

おはようございます。aei の桑山明美です。
昨晩、無事に愛知の自宅に帰ってきました。

今日は、少し朝寝坊をして
いつもの3倍の時間をかけて朝ご飯を食べました。
いつもと変わらない日常に戻りましたが、
確実に違う何かを手に入れた空気を感じています。

皆さんおっしゃるように、
長いようで短いこの半年はあっという間に過ぎて行きました。
昨日、周りの作家さんと
“帰りたくないね”
“もう一日でいいから出展していたいね”
と話しながら片付けの作業を行っていました。
風人さんのお手も借り、
いつもになくスムーズに片付けが済んでしまい、
会場を後にする時間がきました。

最後、皆さんから見送っていただいたその瞬間は、
卒業式に似ている感覚でした。
そして私は、また新しい朝を迎えています。

私は、作家という職業で生きて行く事にずっと自信が持てずにいました。
区切りをつけるため、30歳までに“芽”を出すぞ!
っとラインをひいて活動してきたここ4年間。
明日、私は29歳になります。

工房からの風に出展が決まり、
絶対なんとか芽がでると気持ちが舞い上がった春。
初夏のミーティングを終え、
そんな芽はとっくに生えていたと気づかされたあの日。

私にとって “芽” とは、それで食べていけることになることでした。
でも、違いました。

私は “つくる” ことが好きなので一生手放すことはしたくない。
“つくる” ことと向き合って生きる覚悟が出来ました。

これが、今回の出展で一番の財産です。

その他にもお話したいことがたくさんありますが、
かなりの長文になってしまうので、
割愛してひとつだけ書かせて下さい。

昨日のチャリティーの素材の果実で
私の作品を当ててくれた方がブースにお礼を言いにきてくれました。
こんなに素敵なりんごがいただけてうれしい!
ということ、
そして、その方の親戚が被災者なので、
チャリティーをしていただきありがとうございます。と。
私は、企画があればとりあえず手を出すタイプなので、
あまり深いことを考えずに参加しましたが、
彼女の本当に喜んでくれている姿を見て、
私も本当に心が熱くなりました。

悔いはやはりいくつもありますが、
私はそれ以上のものを手に入れました。

この先、また立ち止まることも何度もあるかと思います。
その時は、あの日に書いたメモを開き、
“腹をくくる”の言葉を読み返します。

この度は、工房からの風に参加させていただきありがとうございました。

aei 桑山明美

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5月の終わり、私を訪ねてこられた桑山さん。
たぶん、伝えたい思いがいっぱいいっぱいで、こんがらがって、
最初、私には何を言いたいのかがわからなかったのです。
でも、言いたかったことは、きっとひとつだったのですね。
これで食べていけるかどうか、ということ。
その不安に絡まれてしまっていたのでしょうか。

「そんなことは、誰にもわからないよ、
腹をくくるかどうかじゃないの」
と、私は応えるしかなかったのですね。

ハラハラと大粒の涙をこぼしだした人を前に、
正直参ったなぁ、と思ったことでした。

8月。
第二回目のミーティングで3か月ぶりにお会いした桑山さんは、
憑き物が落ちたように、すっきり爽やかな笑顔の人になっていました。
それは若いからだけではなくて、
桑山さん自身の心の素直さからの変化だったのだと思います。

展覧会の二日間、渾身の新作を素敵なディスプレイに配置して、
訪れるお客様と、自然体の素敵な笑顔で会話を続けていた桑山さん。
授かった宝物は、やりきった果ての自信なのだと思います。

そうそう!
お誕生日、おめでとうございます!!
よい20代最後の年が始まりますね。

開催前に届いたaeiさんからのメッセージはこちらです。
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