月別アーカイブ: 10月 2016

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柳 弘之さん(木工)

今回、木工は8名(木の装身具の方も含めると9名)いらっしゃいます。
毎年、木工の方々のブースには特にたくさんの方が見にこられますね。
野外、木立の中での木の器や生活具を選ぶ時間、
楽しんでいただいているのかと思います。
今年も個性豊かな新鮮な作家が集まってくださいました。

まずは、都内で fremont という工房名で
制作をされている柳弘之さんからのメッセージをご紹介します。

Q
柳さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
暮らすことと、木の役割について考え、学び製作しています。
器として、道具として、家具として、
実用性のあるものを。

用途を持たないものとして、
形としてそこに在るという事、佇むということ、見つめるということ。
全ては日常のかけらの様なものでありたいと思います。

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柳さんのお仕事は、表面的なかたちというよりは、
作者の内側から立ち上がってきたものをかたちにしたように感じています。

って、抽象的な言い方になってしまうのですが、
奇をてらっていない、キャッチ―な造形ばかりではないものこそ、
長く使うほどに作者の精神性のようなものが現れてくるように思っています。
精神性、なんていうと、これまた難しなってしまいますが、
柳さんの作品の場合、上品なスープのような澄んだもののよう、
と言ったら近いかしら。

Q
柳さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
ものをつくるということは、生きること。
自分と世界との呼応と調和をはかること。

風はやむことはなく世界を循環していて、
自分の中にも工房の中にも、絶えず様々な風が吹いています。

10月までの約半年の間、毎日のように考えていたと思います。
風は何かを運ぶもの。

当日は、静かで穏やかな風が吹いてくれることを願っています。

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柳さんとは、もっと機会を持ってお話しがしたかったです。
きっと風人さんたちもそう思っているのでは。
柳さんご自身が静かで穏やかな方ですが、
滋味深い風を奏でてくださいますね、きっと。

Q
柳さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
普段の活動は柳弘之で活動しています。

工房の名前はFremont (フリーモント)という名前です。
数年前、暮らしについて色々考える様になった時に
アメリカのバークレーという町に行く機会がありました。
そこから少し離れた場所にフリーモントという町がありまして、
訪れたわけではないのですが、名前を気に入って工房の名前にしました。

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柳弘之さんの出展場所は、
ニッケ鎮守の杜のgalleryらふとや、花壇の近く。
su-nao homeさんのお隣です。
お二方でcool and smart、
そして、穏やかなゾーンを作ってくださることと思います。

柳さんのホームページはこちらです。
→ click

written by sanae inagaki

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松本郁美さん(陶芸)

今年の陶芸には絵付けもされる作家が4人います。
それぞれに素材や技法、テーマが違ってユニークなお仕事。
ぜひ、会場で行ったり来たり!してみてくださいね。

では、その絵付けでは先日の長野の竹村聡子さんに続き、
京都で作陶される松本郁美さんからのメッセージをご紹介しましょう。

Q
松本郁美さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
磁器に掻き落とし
(化粧土を陶磁器表面に塗り、
模様だけを残して周りを削る技法)
という技法を用いた器を出品します。

私は古いものが好きで、
特に中国の古陶器の持つ独特の形や、
絵柄に強く影響を受け、陶芸を始めました。

その中で、自然の草花、動物、小紋、
その時々に感じたものをモチーフに、
どこかアンティークだけどあたらしい
今の暮らしに寄り添う、日々の器を出品します。

1つ1つ手描き手彫りで作るため、
デザインは同じでも絵の表情が少しずつ違い、
特別な1つを選んでいただきたい気持ちで作っています。
鉢やお皿、茶器、ティーポット、花器を出品します。

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中国の古陶器の持つ独特の形や絵柄に惹かれたという、
ものづくりへの原点のような感覚、想い。
制作を続け、職業として発表するなうちに、
その原点からはぐれてしまうこともありますね。

松本さんと春の終わりにゆっくりお話しをさせていただいたとき、
やりたいことと、望まれることの溝に迷い込んでいるように感じました。

そんな時は、原点、です!
原点のままにいることはありませんが、
そこから発展、進化成長しているのならよいけれど、
無理に蓋をしてしまったり、見えなくなってしまっていたら、
振り出しに戻ってみたら。
そんなことをお話ししました。

そもそも、望まれることって、
そんなに大事じゃなかったりすることもあります。
まじめなひとほど、望まれることに応えようとしてしまう。
けれど、そこで苦しくなってしまうなら、
望まれなくってもやってみたいことをやってみては。

なーんて、この日も、わははと笑い飛ばしながら
ふたりでお話をしたのでした。

松本さん、来られた時とは打って変わった表情になられて、
まさに憑き物が落ちたよう!に爽やかに。
そして、夏から現在、焼きあがってくる作品も、
まさに爽やかに伸びやか。
松本さんならではの器になっています。
よっかた!
ぜひ、皆様にもご覧いただきたいです。

Q
松本さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
忘れもしない、思いがけぬ時に
春一番が音を立てて通り過ぎたような風。
そこからが始まりでした。

初回ミーティングから時が経ち、稲垣さんとお話をさせていただき、
今は余計なものや不安が削ぎ落とされ、
この風を身体と心で感じ、
しっかり両手を広げて捕まえることができる予感がしています。

心から届けたい器、なりたい自分へ向かわせてくれる
追い風になってくれることと思います。

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もうすでに、松本さんに風は届き、吹きこんできたんですね。
二日間は完成、終わりではなくって、ここからが始まり!
さまざまな感想や結果のひとつひとつが、次への恵みなのだと思います。

Q
松本郁美さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
私は工房名はないため、名前の由来をお話しします。
今まで深く自分の名前について考えたことはありませんでした。
昔漠然と聞いた事がありましたが、実家の母へ改めて連絡をしてみました。

「郁美」
始めは生きる、生命力の「生」という一文字を入れて
「生美」にしたかったようですが、
同時に母がさまざまな文化、日本の文化、ことばの持つ美しさ、
深さを大切にできる人に育って欲しいという願いもあり、
最終的に「郁美」と名付けたそうです。

文化というのは、芸術も含まれると思うのです。
陶芸が芸術と言えるかどうかは分かりませんが、
今こうして陶芸という手しごとを仕事にして生きているという事は、
名前の力もあるのかな、としみじみ考えました。

大学を機に、いつの間にか故郷になってしまった実家。
自分の名前で生きるということは、
大切な家族と離れて暮らしていてもいつも一緒に生きている
ということだと改めて感じることができました。

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かおる、という意味の美しい文字ですね。
今回の質問がきっかけとなって、お母様とこのようなお話をしていただけたのも、
なんだかうれしいことでした。

松本郁美さんの出展ブースは、コルトン広場、スペイン階段前です。
手彫り、手描きのこまやかに手のこんだ器。
ぜひお手に取ってご覧ください。

written by sanae inagaki

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su-nao homeさん(陶芸)

華やかな前川わとさんの器の次は、
シックな渋い器づくりに特化している
su-nao homeさんからのメッセージをご紹介します。
大阪高槻からやってきてくださいます。

Q
su-nao homeさんは「工房からの風」に、
どのような作品をお持ちくださいますか?

A
2015年に個人の手作りの陶器ブランドとして「su-nao home」を立ち上げました。
「普段使い」をコンセプトに、軽く、重なり良く、食材の色の映える、
金属と陶器の中間のような肌感のマットな黒一色の器を展示いたします。

su-nao homeの器が暮らしの中にで毎日使われ、
使い手の暮らしの一部になれると幸いです。

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マットな黒一色という潔さの作品展開をされていますが、
緊張感を求めた黒というよりも、
食卓、暮らしになじむ穏やかな黒い器ですね。
黒だけれど生成り、みたいな印象。
まさに、素直な暮らしの器です。

Q
su-nao homeさんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
作家たちがそれぞれ吹く違った風。
強く猛々しい風、季節の匂いを運ぶさわやかな風、
静かに流れる優しく柔らかな風、
感覚を研ぎ澄まさないと気づけないような綺麗な微風・・・

それぞれ別々の場所で吹いていた風が1カ所に集まり、
そして大きな風となる野外展示会が「工房からの風」だと感じています。

su-nao homeが、誰かにとって心地よい風であれるように、と願っています。

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ほんとうにそうですね。
個性がいろいろ。
でも重なり合って響きあう。
2016年の工房からの風のオーケストラが間もなく開演といったところです。

Q
su-nao homeさんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
「simple」

余計なものを削げるだけ削ぎ落とした後に残る、
シンプルなものに美しさがあると思います。

以前「simple」を日本語にすると、
「素直」だということを読んだことがあり、
ずっと心に留まっています。

自分自身の考え方、在り方、生き方も
「simple=素直」でありたいと思っています。

ごく個人的なことですが、
2人の子供の名前に「素」と「直」の文字をそれぞれ入れています。

そして「home=家・家庭」。

使い手の方々の食卓で、毎日のお料理の相方のような器として、
日々の暮らしで使ってもらいたいという思いを込めて名付けました。

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素も直も、とても素敵な言葉。
お子さんのお名前、伺ってみたいです。

su-nao homeさんの出展場所はニッケ鎮守の杜の中。
galleryらふとと花壇の近くです。

ホームページはこちらになります。
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前川わとさん(陶芸)

富山県で白磁に清らかな加飾を施した作品作りを進める
前川わとさんからのメッセージをご紹介します。

Q
前川わとさんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
私は石膏型を使った泥漿鋳込みという技法を
発展させた制作方法で主な作品を制作しています。

「工房からの風」には、暮らしの中の器と
ブローチやピアスなどの装身具を持っていきます。

明るい色味が特徴ですが、磁器のサラサラした手触りと軽さを
手にとって感じていただければと思います。

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磁土の眩しい白さに、彫りの文様と
爽やかな色調が独特のハーモニーを奏でています。
作者とお会いした時、ああ、作品にぴったりの方だ、
と思いました。
皆さんもそう思われるのでは。

Q
前川わとさんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
工房からの風に参加が決まった頃は
何処か見たことのない遠いところに
連れて行ってくれる強い風をイメージしていました。

今は少し違うような気がします。
追い風ではあるけれど、
ものづくりの過程の中にいて
優しく背中を押していてくれている感じです。

当日、私は風を吹かすことが出来るのか。
それはどのような風なのか
まだわからないけど、ワクワクしています。

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こういう渋い作風も展開されたのですね。

彫りのヴォリューム、色調の濃淡は、バランスいかんで印象が変わります。
少し抑えた余白が感じられるものもどうでしょう、
とお伝えしてみましたが、当日、どんな展開を見せてくださるでしょうか。

Q
前川わとさんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
『わと』という名前は本名ですか?
とよく聞かれます。

驚かれるのですが本名なんです。
手塚治虫先生の『三つ目がとおる』という漫画の登場人物に
『わとさん』というヒロインがいて、
そこから取られているそうです。

面倒見が良くしっかりしたそのキャラクターとは
まるで違う性格に育ちましたが・・。

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とても個性的なお名前ですよね。
一度聞いたら忘れないような。
作家名としても素敵ですね。

前川わとさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入ってすぐ。
広場側から入ってレンガ道の一番手前です。

ホームページはこちらになります。
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10月の庭フレンズ

 庭人OGの方々による庭フレンズの皆様へ

◆10月のお庭
毎週月曜、木曜、土曜  10時~お昼ごろまで
上記日程で、私たちはお庭にいます。
*10/10(月祝)と15(土)はお休みです
*10/6(木)と11(火)は終日庭作業となります

庭フレンズさんのご参加をお待ちしております

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ハイビスカスローゼルの収穫はじまりました

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山下透さん(陶芸)

染織の方が続きましたので、陶芸の方を。
京都から出展くださる山下透さんです。

Q
山下さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
2種類のシリーズの器を作っています。
シンプルな形に成形して5種類の釉薬を施釉したものと、
昭和の頃の生活食器や、
東欧の国々のプロダクトなどをイメージした装飾をしたもの。
今回の展示に向けて新しく作った装飾の器や、
大きめサイズの皿を見て頂きたいと思っています。

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昭和や東欧の国々!
どこかノスタルジックな雰囲気のある器ですね。
きれいに整った形は使いやすく、
ほっとするようでいて、現代のセンスが響いている器。
揃えたくなりますね。

Q
山下さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
4月のミーティングから始まり、
半年間「工房からの風」当日に向けた準備と制作を続けて来ましたが、
その間ずっと風に吹き揺らされていました。

展示への心配、制作の試行錯誤でのもどかしさという向かい風。
一方、展示当日への期待感や新しい試みでの充実感という追い風。
それは今までにない心地よい緊張感でした。
展示の日、どんな風が何を運んでくるのか楽しみです。

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山下さんて、かわいいものへの感度がよくって、
女子力高い男子!なのです。
なので、お話しも楽しいのですが、
実は頭のスマートな方なんだなぁというのが、
私の山下さんの印象です。

デザイン力のある器とそれを束ねる構成力。
コンセプトをちゃんと立てて、そこに到達する道筋の考え方。
所謂陶芸家というよりは、プロデューサー的だったり、
デザイナー的だったりする力のあるひと。

今生まれてきている山下さんの作品ライン。
「工房からの風」では、きっと様々な方々からの風を受け取って、
それが、今後の制作に豊かな影響を与えていくのではないでしょうか。
今も、そしてこれからも楽しみな山下さんのお仕事です。

Q
山下さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
器の裏に印を押しています。
一見すると四つ葉のかたちに見えますが、その中に「山下」が隠れています。
「山下」
シンプルなかたちの漢字に少しだけあそびがあるのは、
自分の作る器にも似たところがあるかも知れません。

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山下透さんの出展場所は、
ニッケ鎮守の杜に入った桜の木の下に4つ並んだテントのひとつ。
ぜひ、器の裏のかわいい印を見てみてくださいね。

そして、当日本部テントで配布する「風の音」にも、
山下さんからの文章も掲載しています。
こちらもぜひご入手ください。

山下さんのサイトはこちらになります。
写真もとってもきれいです。
→ click

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藤野華子さん(染織) 

続いても織り手をご紹介しましょう。
藤野華子さんです。

Q
藤野さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
コットンやリネンを使用したブランケットや、
ランチョンマットやランナーなどのテーブルウェアやハンカチ。
カシミヤのネックウェアなど。

出展が決まってから、新たに構成を見直して織った新作を持って行きます。

ここ数年、二重組織に熱中しており、
今回持って行く作品のほとんどはリバーシブルで楽しめるアイテムとなっています。
表も裏も無く、2枚の布がくっついたり離れたりして1枚の布になる、
両面楽しめる二重織りは、織れば織る程奥が深くて興味が尽きません。

秋の展示ですが、にぎやかな色合いの物が多いかと思います。

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綿麻(綿糸とリネン糸のコンビ)のハンカチタオル

藤野さんはスウェーデンの
セーテルグランタン手工芸学校で2年間学んだ方。
Sätergläntan hemslöjdens går
私は6年ほど前にダーラナ地方に向かったときに立ち寄ったことがあるのですが、
とても美しい環境で手工芸が充実した学びの場だと感じました。

心が華やぐ色使い、明快な文様など、
藤野さんもこの場でよき学びを得られたことと思います。

そして「工房からの風」では、二重織の布がたくさん!
ぜひ、その風合いと裏表の妙、触れてみてくださいね。

Q
藤野さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
毎年この質問に答える作家さんの記事を読みながら、
どんな風なんだろう〜と想像していましたが、
自分がその立場になると、ふむふむこんな感じなのかぁ、
と気持ちがあふれて上手く言葉に出来ないものですね。

今はほんとに、この風の渦中にいて、
日々夢中で織っているので、どんな風か分かるのは、
終わってからかもしれません。

沢山の方に見ていただくのも、野外展示も初めてですので、
とにかく今出来る事を精一杯やろうと、
出展が決まってから制作に専念してきました。

「北欧の〜、スウェーデンの〜、
も良いけれど ”藤野さんの織物”を」

という稲垣さんの言葉が胸に響き、
作業で悩むたび今日まで何度も思い出しました。
周りの支えてくださる方々のおかげで、
今日も織る事が出来ると感謝しています。

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綿麻(綿糸/がら紡糸と綿麻糸のコンビ)のブランケット

爽やかな色合い、風合いの布ですね!

藤野さんとゆっくりふたりでお話ができたのは一度だけでしたけれど、
そんな風に響いてくださってうれしく思います。
学んだこと、影響を受けたことは大切な宝物。
その宝ものを基にふくらませた、藤野さんならではの布。
「工房からの風」で出会えそうですね。

Q
藤野さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
結婚をした時に、さっきまで名乗っていた姓が旧姓となり、
あっという間に使わなくなってしまうのは
なんだかもったいないなぁーと思い、
ワーキングネームとして使う事にしました。
どちらも大切なものですし、仕事をする自分と、
普段の自分と、気持ちが切り替えられて気に入っています。

でも屋号に憧れもあるので、
もし今後なにか新しい展開がある時には屋号を付けてみたいです。

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両面ともカシミヤのネックウェア

ふわふわとしていて、肌にうれしい感触ですね!

藤野華子さんて素敵なお名前ですものね。
そして、これからの布づくりの時間の中で、
わくわくするような新展開が生まれますように。

藤野華子さんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。
サイトはこちらになります。
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堀江悦子さん(染織)

7人の織り手がいます。
とご紹介しましたので、続いても布づくりの方をご紹介しましょう。
棉の布ここいと
として活動されている堀江悦子さんです。

Q
堀江さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
手紡ぎ和綿のストールや、細めのマフラーなどを持って行きます。

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堀江さんの布に初めて触れたとき、
織りの組織を新鮮に感じました。

織り物はご存知のように、
経糸と緯糸の組み方でさまざまな組織が生まれ、
それによって織模様が現れてきます。

棉での布づくりを進める方には、
糸そのものの魅力をストレートに活かした
平織りの方を多く見てきたので、
棉の組織織のさまざまな表情に驚いたのでした。

聞けば堀江さんは「織る」こと、その行為が大好きなのだと。
けれど、棉糸を使ってその大好きなさまざまな組織を
織りあげていくことが喜びながら、
そのこまやかな仕事、時間のかかることに対する理解が、
使い手から得られるものだろうかというのが、悩みのようでありました。

夏の日本橋三越展。
堀江さんにチャレンジしてもらいました。
組織の布で大ぶりなものを出展してみましょうと。

結果は大成功。
日本橋三越のお客様に、きちんと布の魅力が伝わっていました。
素材の魅力と織りの魅力。
そのどちらもを大切にしている作者ならではの布は、
お客様にも新鮮に映っていたのでした。

堀江さん、背中を押されるようにその結果に励まされて、
「工房からの風」に向けて制作を深めてくださっています。
とはいえ、何分にも数がたくさん織りあげられるものではないのですが、
きっと夏からまた数歩進化した布と出会えそうなのです。

Q
堀江さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
お客さんとしてではなく、出展予定者として過ごした半年間。
「風」に対する認識も大きく変わりました。

この半年、とても幸せで心地よい風に吹かれてきました。
それは手仕事に懸命に携わっている人たちが興す風です。
自分がやっていることに不安を感じながらの日々の中、
このまま進んでもいいんだと優しく背中を押してくれる風でした。

でも、まだ私は風に吹かれている身です。
いずれは私も風を興す側に立てるように、、、
実りある二日間を過ごせたらと思います。

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『まだ私は風に吹かれている身です。
いずれは私も風を興す側に立てるように』

直前のこのタイミングで、
こんな風にメッセージをくださる方ってなかなかいらっしゃらないように思います。
読んだとき、はっとしました。
そうですよね。
ひとりひとりがよき仕事を果たして、その力が循環していく。
そんな機会にしていきたいなぁとあらためて思ったのでした。

Q
堀江さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
「棉の布ここいと」という工房名でも活動しています。
心地、此処で、此処から、愛おしい、営み、糸、、、
制作上、常に頭の隅に置いている断片的なことをひとまとめにした造語です。
また、植物であるワタの布を織る意識で、
糸偏でなく木偏の「棉」という文字を使っています。

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綿ではなくて棉。
はい、堀江さんの出展場所は、棉を植えた花壇の近くにしました!
「工房からの風」の日、まだ棉が弾けているかもしれませんね。
ぜひ布と合わせて楽しんでいただきたいと思います。

堀江悦子さんのサイトはこちらになります。
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色葉工房さん(染織)

布関係の出展作家、今年は11組。
先日ご紹介したVANILLAさんは服づくり。
ほかに、フェルトがふたり、帆布のバッグづくりの方がひとり。
そして7名の作家が織りでの布づくりの方々。
充実しています。
そして、それぞれに素材、技法、目指すものがさまざまなのです。

表面的に、これが好き!あれが好み!
という見方もアリですが、
7人が何をもって布づくりの道に進んでいるのか、
その根っこの違いに触れてみるのも、
「工房からの風」ならではの深い楽しみ方だと思います。

もっとも、当の7人の作家たちにしたら、楽しいというよりも、
それはある意味厳しく、
自分の仕事が晒される緊張感があることでしょう。
でも、たくさんの目と心ある方々に
自分の仕事を晒してこそ進化成長できるはず。
そして、未来の真の作る喜びに続く航路を
見出していけることと思います。

なーんて、かなり、まじめに書きましたが、
今さっきまで、色葉工房の庄子葉子さんと電話でそんなこんなを、
わははと笑いながら真剣に話していたので。

皆さん、最終段階で何をどのように見ていただくか、
迷いもうまれることでしょう。
でも作家の皆さんには信じてほしいのです。
「工房からの風」にやってきてくださるお客様方を。
ちゃんと見てくださいますから。
キビシクもあたたかい。
選ぶ人と作る人のよき交流から、次の実りが育まれる。
そう願い、信じて、私は企画を進めています。

Q
色葉工房さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
手紡ぎのウールで織ったマフラーや
シルクのストールなどの巻き物を中心に
リネンのポーチ、袱紗、カードケース、
ブックカバー、ポットマット、コースター、ブローチなどを出品します。

身近な植物で染色した糸や生地を使って作ったものが多いです。
ふんわりと草木の色が薫るような布を お届けできればと思っています。

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まあ、なんてふんわり輝く大判のストール。
思いっきり素のまま、織りあげられたのですね。

「庄子さん、桜のひこばえで染めてみる?」
初夏のgalleryらふとでの「風の予感展」のとき、
ふと、投げかけてみました。
木の根元から生えてくる若芽、ひこばえ。
庄子さん喜んで受け取ってくださいました。

秋の日、花びらのかたちをしたコースターが、
庄子さんから届きました。
「私はそういうことがしたかったのだと、
改めてじわじわ気がつきました」
そう言葉が添えられて。

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上のストール。
いただいたコースターと同じひこばえから染めた糸からのもの。
糸や色といった素材の力をまるごと信じ、
素材に恋していないと織りあげられないでしょうね、こういう布は。
頬がぽっと染まりそうな想いのこめられた布。
展示でぜひ見てみたいですね。

(コースターのお礼にとお送りしたコブナ草で、
今度はレモン色を染めましたと庄子さん。
工房からの風では、今年のレモンにちなんで、
レモンイエローのコースターも出品くださるそうですよ)

Q
色葉工房さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
春に選考通知を受け取った時、
私の心に吹いた風は 無色透明の風でした。

それから半年間、立ち止まって考えることも多かったのですが、
想像していたよりもずっと力強い風に背中を押されるようにして
なんとか制作の手を止めずに過ごすうちに、
ぽつりぽつりと温かい色が灯ってきたような感じです。

当日の二日間は、みんなの風が集まって
会場全体でどんなふうに響き合うのか、

とてもワクワクしています。

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Q
お名前、あるいは工房名についての由来、またはエピソードを教えてくださいますか?

A
庄子葉子と申します。
とても単純ですが、8月8日(葉っぱの日)生まれなので
葉子という名前になりました。

色葉工房(いろはこうぼう)という工房名も そこからきています。
もみじの葉が紅く染まる頃に始まった工房です。
紡ぐ 染める 織る
一枚の布ができるまでの行程を できるだけ自らの手で との想いも込めました。

葉子と名付けてくれた祖父は、
農業の傍ら 自ら育てたほうきの草でほうきを作っていました。
祖父が亡くなり30年が経ちますが、
祖父の作ったほうきは 今でも大切に使っています。
そのほうきを手にする時、
もしかしたら私が将来こういう仕事をするということを
祖父は知っていてこの名前をくれたのかもしれないと、
ふと そんなことを思ったりします。

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美しいお名前に、素敵なストーリーですね。

色葉工房さんがある仙台は、
8月8日が七夕まつりの最終日。
織姫と彦星の七夕。
今、こうして庄子さんが機織りをなさっているのも、
きっと自然な巡りあわせなのかもしれませんね。

そして、色葉工房さんが出店する場所は「おりひめ神社」!の脇。
正面の右手側の樹々に囲まれた空間です。

色葉工房さんのブログはこちらになります。
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