マイニチのフク・マイニチのゴハン
2004年11月20日(土)~28(日)
吉多三菜(衣)・中本理詠(穴窯陶器)
吉多三菜作品画像

吉多三菜さんを初めて見かけたのは、金沢のコンサート会場でのこと。
くたっとした臙脂の着物を楽しげにまとい、髪には大振りのビーズを留め、古裂でこしらえた袋を提げた姿は周りに光を集めていた。

その後ご縁は熟し、共に俳句を詠み、山歩きをし、畑仕事の成果を堪能させてもらった。
金沢も郊外の山育ちの人は、兎や狸を捌き、野菜を丹精する手を持つ。その手で家族の幸せをつなぎ、日々の望みを叶えている。

マイニチの服。
花摘みに行くとき、本屋へ寄るとき、掃除をするとき。ハレの日、フツウの日。
三菜さんの装いはいつの時も軽やかで華やか。どんな時でも自分らしくいられる服を作っていたら、それが仕事となっていったと微笑む。

古今東西の心惹かれる布に出会い、針を運び、糸をめぐらす。
三菜さんのマイニチのフクは、
野に咲く鮮やかな花に似ている。

text : sanae inagaki

中本理詠作品画像

薪を探し、割っては積む。
土を掘り、陶土にならす。
轆轤をひく。 釉を施す。
窯を築いて器を詰め、8昼夜をかけて焚く。
熱を鎮めそして窯出し。
ほんの少し前まであたり前だった焼き物作りを、今もあたり前のように続ける若い作り手。
粉引と焼〆。食と花の器。
作るものは暮らしの中で使うものばかり。

コロンビア、フランスの農村と、陶の仕事を求めて辿り着いた龍神の地。
ここで始めたのは、理詠さんにとって巡り巡って見つけた原点のような焼き物。
朗らかな表情には気取りも気負いも感じないけれど、求めているものの深さは覗くこともできない。
この先どんな焼き物を作っていくのだろう。日々繰り返される、平凡でかけがえのない過程から生まれた器は遠くの光を予感させる。

text : sanae inagaki

共に時を過ごすほど、新鮮な思いが満ちてくるもの。
日々を喜び、丁寧に時を重ねる人の手の仕事。

※作家在廊日
  吉田三菜 11/20(土)・21(日)
  中本理詠 11/21(日)・23(火・祝)