2013年10月の記事一覧

「凪ぐ浜の宝物/工房からの風」New

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大濱由惠さん(皮革)

凪ぐ浜の宝もの vol.4 大濱由惠さん

二回目の出展となった大濱さん。
初回とはまた一味違った感想があったことと思います。

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今回、一番心に残ったのは、お客様とたくさんお話しできたことです。
3年前初めて出展した際にお選びいただいた作品を
今も使っているとお伝えくださる方が
たくさんいらっしゃり懐かしく、また嬉しい気持ちになりました。

その中でも特に印象に残ったお客様
前回出展の際ヘアゴムを選んくれた小学校生の女の子
今展ではチョコ色のペンケースを選んでくれました。

来年中学校に入学したら使ってくれるそうです。
照れ屋さんな彼女は多くを語りませんが
純粋な眼差しは言葉よりも心に響き、背筋が伸びる気持ちなるのです。

またいつか会えますように。
澄んだ気持ちのおすそ分けを、作品に込めて作り続けます。

大きな展示、野外展に初めて出展した二年前。
そこから、お客様である「使い手」の方々との出会いが始まったのですね。
その出会いが積み重なって、 大濱さんに作る力を与えてくれているのでしょうか。


(画像 大濱由惠さんより)

「工房からの風」は、出展作家に対する、お客様の期待度が高いクラフトフェアだと感じます。
そして、その期待度は企画・運営して下さる方々の経験と、
イベントを成功させること
だけでなく、育てていこうという思いが
ご来場くださるお客様にも伝わって
高まっているように感じます。

作家同士の交流が深まる全体ミーティング、
作品展開や展示イメージを明確にして当日を迎えられるよう導いて下さる個人ミーティング。

らふとの庭のハーブを使ったお茶と一緒に美味しいものをいただける
トキニワカフェの
メニューやワークショップの内容も含め、
個々を大切にしつつ”一体感”が
あるのが、他のクラフトフェアには無い魅力だと感じます。

そして、作り手の種を春から丁寧に水を撒き、
すくすく育て秋に
花を咲かせて下さる”生きている”このクラフトフェアを、
今後も末永く続けて下さることを切に願います。

大濱さん、ありがとうございます。
出展者同士が心地よい緊張感をもって、高めあっていくことが、
何よりの成果につながっているように思います。
また、じっくり進化したお仕事をもって、ご参加くださいね。

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勢司恵美さん(竹)

凪ぐ浜の宝もの vol.3

いつもいつもたくさんの人が集まっていた竹のブース。
勢司(せいし)恵美さん
開催中も、ずっと元気な笑顔だった恵美さんからも、
ハレの時間の後に綴った、静かなお便りが届きました。

毎日毎日大切に大切にちょっとずつちょっとずつ貯めた水を、
キラキラした天気の中、一気にプシュー!!(キラキラッ)っと飛ばしたような、
それをたくさんの人が笑顔(キラキラッ)で受け取ってくれたような、
なんだかキラキラした二日間でした。

針山やしおりは、小学生ぐらいの子たちが自分のおこずかいで買ってくれていました。
それがまた本当に嬉しかった!

ちょっと落ち着いた瞬間、ちょっと先の籠に目をやると、
木漏れ日で籠がキラキラ輝いて見えました。
その一瞬は静かに時がとまったように感じました。
ただ単純に、「あぁ、きれいだなぁ。。。」と思い、
胸がふわぁっと優しい気持ちになりました。

私は上でプシューっと水をまいていた訳ですが、
サポートしてくれている人たちは、
私たちが輝けるように本当に水をまいていてくれました。

お客様に感謝、イベントを作りあげサポートしてくださった方にも感謝、
一緒に出展した作家さんんたちにも感謝、
素敵なお庭でさせていただいた事に感謝、

天気に感謝、手伝いをしてくれた友人にも感謝、
自由に竹をやらせてくれている両親にも感謝、
たくさんの人や色々な事に「感謝」があふれた二日間でした。

:::

あれだけの数の作品を、竹伐りからひとりで作り上げたのですから驚きました。
そのことを、「毎日毎日大切に大切にちょっとずつちょっとずつ貯めた水」
と表現されているのが、とっても実感が籠っていますね。
そして、恵美さんの笑顔には、感謝がいっぱい詰まっていることもよく伝わってきますね。

そして、今回出会った異ジャンルの作家との会話から、
こんなことを綴ってくださっていました。

他の作家の方と話をしていてびっくりした事があります。
上手い下手の差はあまりないようです。
デザイン、そして丁寧かどうか。
それで違いがでるようです。

竹細工はそうではありません。
技術力がものを言います。
「一生勉強」
どの職人さんも口をそろえてそう言います。
ある職人さんには
「竹細工は年数どれだけやったかだよ」
と言われました。

まだまだ作りなれていないものがあります。
例えば、ざる。
竹細工といったらざるを思い浮かべますが、実はこれが一番難しい。
途中まで編んだざるを作業場に残したまま来てしまいました。。。
これを胸をはってだせる事が今の私の目標です。

もちろん他のジャンルがすべてではなく、偶々お話しした方のこととは思いますが、
恵美さんが続けること、そしてそのことで高まる技術をとても大切に思っていることが、
よく伝わってくるお便りでした。
途中まで編んだざるを作業場に残したまま会場にやってきた恵美さんの
誠実さ、ひたむきさに感じ入ります。
ぜひ、自信作の笊(ざる)を作って、この場にやってきてくださいね。

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earthwormさん(染織)

凪ぐ浜の宝もの vol.2

galleryらふとの正面奥の方で、
ストイックなまでにモノトーンのみの、潔い空間がありましたね。
earthwormさん
「工房からの風」には、初出展でしたが、さっそくお便りをいただきました。
その中から、一部をご紹介させていただきますね。

2日間を終えて、まだ頭も体もフラフラとしているのですが、
言える事は「手応えのある時間」だったという事。

じっくり。ゆっくり。
野外だというのに、時間をかけて見ていただけた。
2日目に再度いらして選んで下さった方もいました。
素材や肌触り、色合い、織り方。細かな質問も多くいただきました。
男性の、それも年配の方に選んでいただいたのは嬉しかった。

沢山の方に見てもらえたとか、購入いただけたとか。
正直嬉しい。
でも、そういう尺度だけではなくて、

本当にいいと響いてもらえる。
そんな時間をもらえたような気がしています。

・・・
・・・

これまでは見る側でした。
飛び込むには勇気の入る場と感じていました。
場所と環境だけを準備する展ではない。
もっと入り込んでくる感じ。そして巻き込まれる感じ。
というのか・・・。(言葉が悪くてすいません。。)

自分の制作、姿勢、方向性。
どう表現して、周りと関わるのか。
誤魔化せない。
色々な事に向き合わされるように思ったのです。

実際に飛び込んでみて。
作家がそう感じるのは、この展がそれだけのエネルギーをかけて、
一人一人の作家を大切にしているからなのだと。
心配りや発信の仕方。
一方で厳しさ。

色々な面を含め、そう感じました。

他の作家の方からも、展示の好感度が高かったearthwormさん。
なかなか潔く絞って作品構成することは勇気がいりますね。
潔く絞れば必ず成功するわけでもありませんから。

やり取りを通して、穏やかだけれどいつもきっぱりご自身で決めていく
eartwormさんらしい作品と構成。
この展開から、じっくり次のステップが開かれていくことを、
皆さんと一緒に楽しみにしたいと思います。

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橋村野美知さん(ガラス)

片づけに勤しんだ月曜日が終わり、今宵火曜日の夜は嵐の始まり。
明日の午前中まで荒れるようですね。
全国からこのブログをご覧くださる皆様、どうぞくれぐれもご注意くださいませ。

嵐はとても怖いですけれど、その後の海が好きです。
特に浜辺。
さまざまなものが動き回り、埋もれていたものが顔を出したり、流されるものは流されていったり。
鎮まった浜辺を歩くと、思わぬきらめきに出会うことがあります。

凪ぐ浜の宝もの。
「工房からの風」が過ぎ去ったあとに、作家たちの心が見つけた宝もの。
私宛に届いた私信から、ご許可をいただいてその一部をご紹介していきます。

凪ぐ浜の宝もの vol.1

ニッケ鎮守の杜の花壇の奥、藤棚のほとりでガラスを展示していた
橋村野美知さんからいただいたメッセージの一部です。

ハーブを摘む人たち、水を撒く人たち、
一つの目的を持って、黙々と植物に向かう人たちを見て、
独立した小さな国に来たような、不思議な気持ちになりました。

・・・
・・・

「素敵だね」
と声に出して伝えてくれる方がたくさんいて、
とても新鮮な気持ちがしました。

普段の生活の中では、あまり人々が口にしない言葉のように思います。
うれしくて、何度も「ありがとうございます。」と言いました。

来場者の方に、たくさんの力をもらった会となりました。
ありがとうございました。

野美知さんのガラスが、ハーブの茂みにとけこんで、
絵本の中の1頁のようでしたね。
藤棚から吊るされたガラスたちも・・・。

文章を添えた展示も少しありましたけれど、熱心に読まれる方も多く、
もっと添わせた展示をしてみたいという気持ちになった野美知さん。
そんな機会ができるといいですね。

今回は、お庭の植物の状態がほんとうによくて、
大野八生さんをはじめ、庭人さんたちもせっせと花を摘み、
作家の方々の作品と添わせてくださいました。
あちらこちらで、庭の恵みと手の恵みが握手をしているようでした。

素敵だね。
心に生まれたよき言葉を、声に出して伝え合う。
工房からの風がそんな言葉が行き交う場所であったこと。
しあわせに思います。

野美知さん、ありがとう!ございました。

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大谷房子さんより

テントの天井にロープをめぐらせて、爽やかな布を仰ぐブース。
愛知の大谷房子さんからもメッセージをいただきました。


(photo usami)

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工房からの風、お疲れ様でした。
まだまだお忙しいことと思います。

二回目の出展。
前回は自分らしさ、
今回は自分の成長はあるのかと考えることが多かったです。
そしてあっと言う間に当日。
頭の中にあるものを形にしてアイテムを増やしましたが、
お客様に満遍なく選んでいただけました。
ストールは明るい色を幅広い年代の方の元へ。
長さも短いものも反応がよかったように思います。

嬉しかったのは、使っていただいている方にお会いできたことです。
確かに見覚えはあるのですが、
あまりに馴染んでいて目を凝らしてしまいそうでした。
何とも言えない幸せな時間でした。

また他の出展者との出会いもまた支えになりました。
『こうゆうストール織ってる人って大谷さんしかいないのよね。』
と言われたときに、
誰もしていないことをしたい訳ではないのですが、
ひとつ自分らしさを見つけた気がしました。

そして出展者、お客様を迎えるために多くのスタッフの方に支えられていたこと、
感謝しています。
つくり手も身を磨り減らしているところがあると思いますが、
この会をつくる側も同様なのではと察します。
縁の下の力持ち?!がいてこその展示会になったのだと思います。

10回目に参加でき、とても満たされた幸せな気持ちでいっぱいです。
この経験を踏まえ、慌てず迷わず一歩づつ前へ進みたいと思います。
ありがとうございました。
またお会いできる日を楽しみにしています。
どうぞご自愛ください。

大谷 房子

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ひとりひとりの作家にとって、それぞれ風の音色は違うことでしょう。
房子さんは、この風を次への糧に制作を進めていかれるようですね。

大谷房子さんの開催前のメッセージはこちら → です。

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メロウグラスさんから

ニッケ鎮守の杜、手仕事の庭のほとりで、ほんわりとしながらも
ひときわ確かな輝きのブースがありました。
メロウグラス、タナカユミさん。
ユミさんからもメッセージをいただきました。


(photo usami)
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工房からの風の日曜日の夜
長野の家にもどるとすっかり気温が冷え込んでいました。

こちらはストーブを10月から毎日つけています。

ストーブの上のやかんの湯気をみて
さっきまでいた工房からの風のことが湯気のように思えました。
その夜から高熱がでて翌日から点滴。

熱と一緒にすごすなかで
「工房からの風」稲垣さんの本を眺め 素敵な作家さんたちの様子に心ドキドキしました。
Facebookからあがってくる工房からの風の感想を眺めてジーンとしたりしていました。

たくさん眠って昨日から動けるようになり
裏庭の栗拾いをしました。

秋の終わりの栗をひろいながら
一週間前あの場に立っていたこと
手仕事の庭で羽織っていたものを脱いで半袖ですごした時間も
素敵な作家さんたちと並んで展示していたことも
やはり湯気のような出来事に感じています。

今日は秋晴れとなり
持ち帰った荷物を庭にひろげて片づけをはじめました。
みなさんは翌日にされたことでしょうね。
私はまたもやスロースタート。

作品をひろげながら、いろいろなお客様にもらった素敵な言葉や感想を思い出しました。

素敵に年を重ねた紳士なおじいさんがオブジェの作品を手に持ち
「この作品をみたとき胸がドキンとしました」
と言って高いオブジェを買ってくださいました。
その話を稲垣さんにしたときに
「少しずつ身の回りのものを減らしていく世代の方なのにね」
っとおっしゃていたことがジワジワ広がってきました。

おじいさんの家のなかに
わたしの作品がどんな風に存在しているのかな・・・。
おじいさんのこれからの時間と生活を
私のオブジェの作品も一緒にすごしていくのかと想像するだけで
胸いっぱいです。

工房からの風に来られる方々が
口々にわたしの作品の感想を素敵な言葉でいってくださり
心や言葉の豊かさに驚きました。

素敵なひとが集まる工房からの風で
素敵なひとたちのアンテナが伸びて あの場にお客様も集まってきたのかなっと思っています。

そういう場をつくること
そういう場を応援するオブザーバーさんや業者の裏方さんの方々
みんな素敵だなって思っています。
ありがとうございます。

その中に立っていた素敵な作家のみなさんと
作品を並べることができたこと とても幸せです。

手仕事の庭に わたしは忘れものをしてきました。
宇佐美さんから届いた箱のなかには
あの庭のハーブが入っていました。
その香りがとても懐かしく思いました。

熱で何日も眠っていた浦島太郎のわたしは、
これからジンワリと工房からの風のことを想いたいと思います。

ありがとうのメールが遅くなってしまってすみませんでした。
たくさんありがとうございます。

これからに続く工房からの風 たのしみにしています。

では。

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工房からの風
当日の「強風」は、心地よさがまさって心がうれしく高揚する方が多いようですけれど、
工房へ戻ってほっとした途端に、寝込んでしまう方も多いのですね。
メロウグラスさんのガラスが印象に残った!というアンケートもたくさんいただきました。
秋の庭のひとときのきらめきが、多くの方の心にずっと刻まれていることでしょう。
そして、旅立っていった作品が、それぞれの方のもとで、新たなストーリーを重ねていくのですね。

メロウグラスさんの開催前のメッセージはこちらです。 → ☆

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泉健太郎さんから

『ニッケ鎮守の杜』の中、稲荷社のほとりで、箱や鏡を展示していた泉さん。
新潟に戻られて、メールをくださいました。
少しセキララ?なところは除いて、泉さんのお許しをいただきましたので、
皆様にもお伝えしたいと思います。


( photo usami )

こんにちは。新潟の泉です。
新潟に帰ってきてからしばらく脱力感でぼーっとしてましたが、
昨日辺りからようやく落ち着いていろいろ動き始めたところです。

直前の準備を含め怒涛のような1週間でした。
本当に稲垣さん、スタッフの方々、オブザーバーの方々には
大変お世話になりました。
ありがとうございました。

思えば、今まで木彫と卵殻の箱はなかなかお選びいただくことが難しく、
今回は知り合いもいないし、ひょっとしたら箱は1つも売れないのでは
ないかということを本気で覚悟して臨みました。

自分の作ったものは果たして世の中の人達に受け入れてもらえるのだろうか、
それを工房からの風に来てくださる意識の高いお客さまに判断してもらいたいと思って、
応募、出展させてもらいましたが、
結果的には何人かの方たちに箱を手に取っていただくことができ、
やっと少し安心することができた思いです。
安心というよりは自分の中にぎゅっと芯のようなものが入ったような感じでしょうか、
上手く言えないのですが。

今回、卵の殻の箱を選んで下さった方がいたり、
チラシの写真に載っていた木彫の箱をお求め下さった方や(結婚祝いに贈るそうです)、
卵殻の極小の箱を小学生の女の子が買ってくれたり(渋いですね)
と嬉しい驚きの連続でした。

お客さまとも箱に何を入れるのか等いろいろお話しすることができて、
参考になることが多かったのも何よりの収穫でした。

それもこれも、工房からの風という場のすごさと紹介文があったればこそだとも思っています。
(紹介文はとても嬉しかったです。
Facebookのタナカユミさんのコメントも赤面ものでしたが嬉しかったです。)

お稲荷さんの前というのもとてもよかったです。
ありがとうございました。

最後に、工房からの風を作ってくださって本当にありがとうございました。
いろいろな時期があったのですが、
どうしても工房からの風に出たいという一念があったので乗り切ることができたように思えます。

他の作家の方々、スタッフの方々との出会いも本当に貴重な経験でした。
工房からの風がこれからも何年も続くことを祈っております。
私も今回の経験と、仰っていただけたことを心に留めて、
少しずつでも前に進んで行きたいと思っております。

これから寒くなって参りますが、どうぞお身体ご自愛ください。
またスタッフの方々にもよろしくお伝え下さい。

泉健太郎

泉さんのことは今回ご応募いただくまで存じ上げませんでしたが、
こうして『工房からの風』を遠くの灯りとして漕ぎ進んでいる方が、
どこかに存在していた、、、ということに、気持ちが引き締まります。
と同時に、企画者にとっては、大きな励みともなります。

『工房からの風』の財産はいろいろたくさんありますが、
来場くださる方がその大きなものだと思います。
出展作家の方々が、口を揃えて、
「なんて、ものを丁寧に見て、選んでくださるお客様が多いのだろう」
と感想を寄せてくださいます。
「毎年秋のこのイベントを楽しみにしているのよ」
とうれしそうに話してくださる方も多かったと。

そのようなお客様の目と心を励みに、作家も企画者もよりよい仕事に進みたいですね。

泉健太郎さんの開催前のメッセージはこちら  → 

泉さん、箸休め、なんて謙遜していましたけれど、
これからは心地よい自信、持ってくださいますね、きっと。

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松塚裕子さんから

コルトン広場『スペイン階段前』
ベージュやクリーム色の中に青緑が鮮やかに展示された
陶器のブースを覚えている方も多いのではないでしょうか。
その作者、松塚裕子さんからもメールをいただきました。


(photo matsuzuka yuko)

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工房からの風が終わった次の日、窓を開けると金木犀の香りが流れてきました。
そのときやっと、ああ終わったんだ、という実感が胸にすとんと落ちました。
春に出展が決まってから、もうこんな季節になっていたことに驚きます。
後半、工房以外での記憶がほとんどありません。
うらしま太郎みたいです。

初めてのミーティングでは、こんなにすごい人たちの中でどうしよう、と不安ばかり。
走り出したものの、やっぱり無理かもしれない、いや大丈夫、と
浮き沈みの激しい半年間だったようにも思います。
それでも、当日が近づくにつれてだんだんと落ち着きが増し、
不安や心配、コンプレックスなど余分なものはすべて置いていこう、
スッキリした心と体であの場に立とう、という気持ちになれたのは不思議な感覚でした。
きっとそれは、たくさんの人が一緒に走ってくれたからだと思います。
稲垣さん、スタッフのみなさん、そしてオブザーバーの作家の方々、共に出展するみなさん。

一人では見ることのできない景色をたくさん見せてもらうことができました。
緊張と不安ですこし怖かったミーティングは、
8月には潤いを補給する、給水所のような場になっていました。

まんなか、に辿り着いたのかどうかといえば正直まだわかりません。
全力で投げたボールがいまだに宙に浮いているような、そんな感じもします。
きっとその行方が分かるのはこれからで、
作りながら探す作業はずっと続くのだとおもいます。

いつかこんな風になりたいと思える、先を走る方たち、
ともに頑張りましょう、と一緒に走り出した方たち、風の中で出会えた全ての人に
いつでも胸を張って会えるよう、ちゃんと背筋を伸ばして作っていきたいと思います。
その思いこそが、宝だと思うのです。

長くなりましたが、最後に。
「工房からの風」を作って、守り、育ててくださって本当にありがとうございます。
つくって生きていく喜びをこんなにも実感できる場に参加できたことは、
自分のこれからに、たくさんの力を与えてくれました。

また会えるのをたのしみにしています。
お体、だいじにしてくださいね。

松塚裕子

+++

つくって生きていく喜びをこんなにも実感できる場
給水所のような場
全力で投げたボールがいまだに宙に浮いているような

松塚さんの言葉は、いつも実感がこもった生きた言葉ですね。
今回得たつながりや、自信を糧に、じっくり松塚さんの作品を作り続けてほしいと思います。

開催前の松塚さんからのメッセージはこちらです。 → 

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佐藤亜紀さんから 

先週の今日は、『工房からの風』の前日。
たくさんのスタッフで準備に励んでいたのでした。
あっという間に時が過ぎ、一週間が経とうとしていますね。
なんだか夢の中の出来事だったように思うのは、私だけでしょうか?

全国各地からやってきてくださった出展作家の方々からは、
無事工房に戻りました!というメッセージをいただいています。

『凪ぐ浜の宝物』
第何回目の終わった頃からでしょうか?
展覧会という大波が去った後、凪いだ浜辺に散らばる貝殻を拾い集めるように、
今回の工房からの風で見つけた出会いの輝きを探すようになりました。

『工房からの風』を終えた後の作家からのメッセージにも、
そんな輝きがちりばめられています。
いただいたメールの中から、おひとりずつ、そう10人くらい、
ご本人のお許しをいただいて、一部こちらに綴っていこうと思います。

お一人目は、染織の佐藤亜紀さんです。

+++


(photo usami)

昨日、無事に京都にもどりました。

工房からの風の出展が決まってからの数カ月間、
全体ミーティングや個人ミーティング、当日と本当にお世話になりました!!

とうとう二日間が終わってしまい、
当日に向かって制作に集中した数カ月間と、ぎゅっと詰まった二日間、
さかのぼれば、工房からの風にあこがれをもってからの月日、
なんだか頭のなかで、いろいろなことがぐるぐるとしていて、
うれしかったこと・反省点・感じたことの断片がたくさんありすぎて、
まだうまく整理しきれていません。
きっと、すぐに整理しきれるものではないかと思いますが
これからのその時々で、大いに役立ってくれて
励みになってくれるようなものばかりです。

私は、作り手としての展示の経験も浅く、
初出展でしたので、準備や当日の流れもすごく不安でしたが、
わからないことや困ったことは
すぐにサポートして下さるオブザーバーやスタッフの方がまわりにおられて、
とても心強く有難かったです。
両隣りのブースの方にも、本当に親切にしてもらい、
何かとお世話になりました。

工房からの風は、私にとって本当に大きな風でしたが、
人のあたたかさにもあふれたものでした。
お話させてもらったお客さんの中には、
このイベントを毎年のこの季節の楽しみにしてると笑顔で
話して下さる方も多く、初出展の私ですが、うれしかったです。
でも、今までにないお客さんの多さに、正直、とまどいと
ちゃんと接することができなかったような思いもあります。

稲垣さんとの個人ミーティングでお話いただいたことは、
独立してから今まで必死になってやってきて、
気付かなかったことを角度を変えて見てもらい、
改めて自分の制作を考える良いきっかけとなりました。
当日まで、すべてを生かすには至りませんでしたが、
今後長い目でみて、制作に生かしていきたいと思います。

本間さん、宇佐美さんにも、いつも優しい笑顔で接して頂き、
緊張している気持ちを和ませてもらいました。
どうぞよろしくお伝えください。

話があちこち飛んだ文章になり、すみません。
まだまだ、書き足りないようなお伝えしたい気持ちがいっぱいですが
長くなりすぎそうなので、取り急ぎ、お礼までとさせてもらいます。

皆々さまに心から感謝しています。
本当にありがとうございました。

佐藤亜紀

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おりひめ神社の鳥居の脇。
椎の高木のほとりで、絹や羊毛の糸で織りあげたストールやマフラーを展示していた佐藤さん。
数年前にお客様として来場し、ずっとこの日を目指して作り進んでこられたそうです。
作った布を、どう丁寧にお伝えしようかと考えて、
まとい方、巻き方を研究!して、当日はお客様に自ら巻き巻き提案をして
楽しんでいただいた佐藤さん。(素敵ながんばりやさん!です)

京都の工房に戻り、さあ、次はどんな糸を染めて、機にかけるのでしょうか。
開催前の佐藤さんのご紹介も、あらためてご覧ください。   → 

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大波の前に

凪ぐ浜の宝物
というカテゴリー。
何のことだか、ちょっとわかりづらいですね。

これは 工房からの風という大波が去ったあと、
浜辺にたとえた砂浜に散りばめられた、宝物のようなきらめきを
毎回綴っているのです。

今年の凪ぐ浜には、どんな宝物と出会えることでしょう。
まずは、大波に向けて、力を蓄えなくてはですね。

昨年までの「凪ぐ浜の宝物」は、
こちらのアーカイブスでご覧ください。
→ 

p.s
ちょうどその頃、桜紅葉が始まります。
宝物?のように、白いお饅頭??

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