ポップな色彩に、曲線もキュートなフェルト。
手仕事の暖かさだけに止まらず、造形の広がりを予感させた2001年「工房からの風craft in action」での溝口恵子さんの作品。
ポーチやペンダントといった小品にも、小気味よいまでに溝口さんならではのエッジが効いていた。

季節は三度巡り、溝口さんのかたちは予感から確かなものへと進んだ。
発想の豊かさを作品に移す力を得て、ジュエリーアート展では賞を得た。

マカロン、メレンゲ、ウフ アラ・ネージュ。
スモーキーなナチュラルカラーと小粋なフォルムは
2004年の冬に生まれた新鮮なフェルトの表現。
お菓子にまつわるフランス語のエッセンスが、帽子やバッグ、装身具にひそんでいる。

小さな森のギャラリーに、大人も心楽しいフェルトがやってくる。

text : sanae inagaki