director's voice

前川わとさん(陶磁)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
前川わとさんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
積層させた粘土を彫りこんでいくと、次の層が顔を出してくれます。
時間がかかる技法なので沢山は制作出来ないのですが、彫り込みな具合や色土の重なり具合でその都度雰囲気が変わる面白さがあり長く続けている技法のひとつです。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
数年前から中国茶の勉強をはじめ、更に昨年より茶道もはじめた事で、茶器についてこれまで以上に考え形にするようになりました。

季節や文学を含んだ総合芸術であるお茶の世界の美しさと、
同時に機能を持った道具である用の美を併せ持つものを目指しています。

Q3
前川わとさんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。

A3
15年前に結婚し、木彫作家である夫の暮らす町に移住しました。
その町は富山県の山間の町で、古い街並みやお寺、「ものづくり」が暮らしの中に当たり前にある街でした。

関東のベットタウンで育ち、生まれてから結婚するまで集合住宅以外で暮らした事が無かったので、そのような環境に新鮮に驚き影響されていきました。
この町で長く暮らし、夫と共に「ものづくり」をつづけていく中で、共に響きあい、いつしか井波の歴史と木彫は私の制作においてとても近いものになりました。

今回はこれまで私の制作活動とその発露に常に寄り添ってきてくれてきた、井波彫刻にリスペクトを持ったアイテムを制作中です。

紹介したいのは、家からすぐの瑞泉寺の山門です。
文化6年(1809)に完成した富山県の重要文化財です。
私にとって、アイデアを刺激してくれる大切な場所のひとつです。

2016年、2022年と出展くださった前川わとさん。
富山県の現在は南砺市になる井波町から参加くださっています。
旧井波町は欄間などの木彫で有名な町で、木彫作家の夫、前川大地さんも今回ご一緒くださるそうです。

わとさんの磁器も彫刻を感じさせる表現で、大地さんのお仕事と響きあった展示を見せていただけるかもしれません。

前川わとさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って、中央花壇の手前。

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