2015年11月の記事一覧

「皆様へのお知らせ/工房からの風」New

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ファッション取材が掲載されました

「工房からの風」の当日、
素敵な装いの来場者の方々のファッション取材をいただいておりました。

ヌー・コンフィー

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別冊付録の中で、6頁に渡って掲載いただいておりました。

素敵な来場者の方々に混ざって、あらら、何人もの作家の方々が!

fujiiikukoさん、林志保さん、鈴木絵里加さん、佐藤亜紀さん、
matsuricaさん、大谷房子さん。

以前の出展者からは大濱由惠さん、吉田麻子さん。

出展者の奥様の革のamさん、金属のsen。
はまやまいさんも。

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ぜひ、ご覧になってみてください!

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大住潤さんから

「工房からの風」出展を終えて、工房へ戻った作家から届いたメッセージ。
一部を皆さんと共有させていただくことで、次への実りにつなげていきたいと
綴ってきました。
「凪ぐ浜のたからもの」

ご紹介したい宝物は、まだまだあるのですが、そろそろ幕を引きましょう。
最後は、木彫の大住潤さんからのメッセージです。

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会場となったニッケコルトンプラザに初めて訪れたのは、
5、6年前に開催された星野道夫さんの写真展でした。

写真展で感動をいっぱいもらった帰りに見かけたギャラリーらふと。
あの建物の佇まいが、ずっと心に残っていました。

「いつかあんなところでできたらいいな」と思ったこと覚えています。

そのギャラリーらふとのことから、「工房からの風」のことを知りました。
その頃は、自分自身の作品と言えるものがなく、いつか、いつかと思っていました。

そして、何を作っていきたいのか模索する日々の中、
木彫りの羽根を作り、
やっと僕も「工房からの風」に応募することができると喜んだこと鮮明に覚えています。

星野さんの生まれ故郷で出展が決まったことで、
「このまま進みなさい」と言われたようで励まされました。

風の予感展当日、自宅出発直前、持っていくつもりのなかった熊を、
なぜなのか持っていこうと思いました。
人に見せるつもりも全くなかったのです。
それが何のきっかけなのか見てもらうことになりました。
稲垣さんに熊を見てもらった時は、ものすごく恥ずかしかったです。
デッサンができなくて随分悩んでいたこともあり、
熊のプロポーションも何となくおかしいとわかるのですが、
どこがおかしいのかもわからない状態。
そんなところが気にかかって落ち着きませんでした。

けれど、その熊をいいと言って下さった稲垣さんの言葉に、
僕はものすごく衝撃を受けました。
デッサンができる、できないかは問題ではなかったのですね。
おかしいもので、そう言われると蓋をした自分の気持ちがわっと出てきました。

特別なこの場所で、まさか熊を彫ることになるなんて思いもしなかったです。

本当に夢のような時間でした。

第2回のミーティング、三越でのプレ展示を踏まえて
どのようにしていこうかと迷っていた時、
心の向かう方に、全ては僕の心次第だと言って下さったのが、
熊をもうひと段階成長させるパワーになりました。
本当に大切な気持ちで熊を彫ることができました。
とにかく人の心に真っ直ぐに届くものを彫ろうと、
余計なものは削ぎ落としました。

稲垣さんの紹介文、人に伝えようとする情熱が言葉から溢れていて、
僕もそんなふうに木を彫れたらいいなと思いました。
ものすごく感動しました。

そして、この2日間、熊を見て下さった方たちのたくさんの笑顔に出会いました。
励まされ続けてきた僕がずっと探していた人の心に届けられる形、
これからも出会いを重ねて見つけて届けていきたいです。

とても幸せな時間でした。

大住 潤

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工芸、クラフト、手仕事・・・・
と呼ばれる世界の仕事に携ってやがて30年になりますが、
未だにどの言葉が自分の仕事なのかと言い切ることができません。

「工房からの風」の中で赤木明登さんとのトークイベントの中で
こんなやりとりがありました。

工芸30年説というものがあって、
民藝の時代、自己表現の時代、生活工芸の時代ときて、
稲垣さんはこれからどのような時代になると思いますか?
と投げかけられました。
そこで私はこう答えました。

「お尋ねの答えにはならないかもしれないけれど、私は絶対的な何か、
に向かって仕事をしてきてなくって、相対的な何かに向き合ってきた気がします。
それは、先にこちらにこうあるべきというものがあるのではなくて、
作家に向かって、その作家が何を作るべきかをみるやり方。
男の人は定義づけが好きだからなぁ(笑)。
今まで意識したことはなかったけれど、私は女性だから?
母性とかと関係があるのかしら?
なーんて柄にもなく思ったりしますけれど・・・」
と、会話なので和やかに。

・・・それは学問にたとえれば、歴史学ではなく、社会学のようなものかもしれません。
揺るがない、確固とした姿が私自身にあるのではなくて、
対象に向かったとき、いかにその対象を正確に見て、感じることができるか、
そのことに心を注いできたのだとようやく思えるようになりました。

言葉や歴史学的な捉え方もとても大切だと思いますし、
そのことに注視してこの仕事を進める方々がいることも豊かなことだと思います。
一方、今何々の時代、とか、これからは何々の時代、というのを考えるよりも、
出会った作家のまんなかを見ることを深めたい、
そんなことをあらためて思った年でした。

人の暮らし、営みと結びついたもの、
素材の恵みとの関わり、
その作り手ならではの何か、
完成度・・・
「工房からの風」という展覧会としての
コンセプトやクォリティーはもちろん大切にしていますが、
先に枠を作ってしまうことで出会うべきものを
こぼしてしまわないようにありたいと思っています。

クマであってクマだけではない姿。
そこには大住潤というひとの中の真実があって、
その真実が幾ばくかの他者の心に芯から沁みていく。
そういうきらりと輝くものの意味を味わいながら確認できるのも、
凪ぐ浜で出会えた宝ものなのだと思うのです。

大住潤さんの出展前のメッセージはこちらになります。
→ click

-次年度応募に向けての記事など、しばらくブログ更新続けます-

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三浦侑子さんから

スペイン階段前で吹きガラスの作品を出品していた三浦侑子さん。
岡山に戻られて早々にメッセージをいただきました。

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まだ、頭がぼんやりしている状態ですが、
工房からの風が終わってみて私の中に吹いている風は、とても穏やかで心地良い風でした。

4月から始まり2日間終わるまで、本当に手厚いサポートをありがとうございました。
作品の梱包が驚くほど丁寧だったり、
広告に1人1人の作家名をちゃんとのせていただいたり、
「風の音」に温かいお手紙を添えていただいたり、
私自身まだまだ未熟な名もない作家なのに、こんなにも応援していただいて
頑張らないわけにはいかないという気持ちで、駆け抜けた半年でした。

そして、ステキな宝物をたくさんいただきました。
素材や技法は違っても同世代で頑張っている作家さんや、
自分よりもずっとずっと進んでいて深いところで
素晴らしい作品をつくっている先輩作家さんや風人さんとの出会いは、
これからも大切にしたい宝物です。

工房からの風当日、ずらっと並ぶたくさんの作家さんの展示を見て、
客観的に自分がまだまだとても浅いところに立っているのがよく分かったのですが、
同時に深いところに行くための光も見えた気がしていて、
自分でも驚くことに、今は早く制作をしたくてなんだかワクワクしています。

お客様には、不慣れでご迷惑かけてしまったところもあったのですが、
本当に端から端までしっかり見ていただけて、感激しました。
私の展示場所は入り口の方だったのですが、
わざわざ戻って来て下さった方がたくさんおられて嬉しかったです。

まだまだ頭の整理ができておらず、書ききれていないことも多分ありますが、
稲垣さんをはじめ、スタッフの皆様、風人さん、全ての方に感謝しています。
今の私は、家族や周りの協力がないと制作できない状況ですが、
そんな中、全力で悔いなく工房からの風を終えることができたのは、
工房からの風に携わる皆様のおかげです。
本当にありがとうございました!!

また、いつかお会いできるように頑張ります。

三浦侑子

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初夏の風の予感展にも参加くださった三浦さん。
その時の「企画会議!」で収穫祭をしましょう!
と盛り上がって、かぼちゃなどをたくさん制作くださいました。
お庭の草花とあいまって、実り豊かな収穫祭がキラキラ輝いていましたね。

50人の作家が共に出展する二日間。
けれども作家間の仕事の成熟度は、もちろんさまざまです。
これからいよいよ本格的にスタート!という三浦さんから、
このような素直をメッセージが寄せられたこと、
すばらしく感じました。

『・・・自分がまだまだとても浅いところに立っているのがよく分かったのですが、
同時に深いところに行くための光も見えた気がしていて、
自分でも驚くことに、今は早く制作をしたくてなんだかワクワクしています。』

こんな風に思える鮮らしき人は、ぐんぐん伸びてゆかれますね。
じっくりご自身の実りに向かって制作に励まれて、
収穫祭第二弾をぜひ見せてくださいね。

出展前の三浦侑子さんからのメッセージはこちらです。
→ click

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にしむらあきこさんから

高見由香さんと隣、おりひめ神社のほとりで展開していた
和紙造形、絵本のにしむらあきこさんからもメッセージをいただきました。

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(画像、只今整理中です。
いろいろ差し替えていきますね。
もし、イナガキのメルアドご存知の方で、
素敵な画像をお持ちの方、ご一報くださーい!)

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皆様の胸を借り、思う存分自由に表現することができたことをありがたく思っています。

絵本を読むために、と木の下に設置した小さな椅子は、
ときどき親子がそこに腰かけて、
おやつを食べたり遊んだりするちょっとした休憩スペース になっていました。

明るい日差しにまぶしい顔をして木を見上げている親子と、
空に踊る「おとのかたち」はひとつの風景となって、
絵本の1ページみたいだ、とこっそり感動したり。

ちいさな女の子が、かわいいお財布から
お金を出して選んでくれたポストカードは
特別な一枚のような気持ちになったり。

お子様れのお客さんが多いなか、
お子さんが作品を触りたがり、
ハラハラしながら作品を見てくださっているお母さんたち。

売り物じゃない子どもの好きそうな作品を置いておいてあげたら良かった。
自分だっていつも同じ気持ちでいるのに、
どうして気がついてあげられ なかったのかな、と反省したり。

2回目だというのに、やっぱり余裕がなく
作家のみなさんのブースを見て歩くことが叶いませんでした。
でも、お向かいの高見さんの美しい作品が、
風に揺れるさまを眺めたり
(沢山のショールがかかった円形のディスプレイがくるくると、
それはまる でダンスを見ているようでした
お隣の木のナカヤマサトシさんの
すてきなインスタレーションを
ほんのりと良い香りとともに何度も楽しめることが出来て幸せでした。

今回も反省点は多々あり、
あげだしたらきりがないくらいですが、
その反省は次へ進む宝物のように光っています。

この二日間、お客様と言葉をかわしながら、
絵本を読んでくださる顔を見ながら、
包装しながら、疲れてぼんやりしながらも、
チカチカと響いてくる瞬間がありました。
それらは泉のように湧いてくる制作への衝動のようなものでした。

反省という宝物と、制作への衝動を、力を、
あの場所で手に入れました。
なんて贅沢な二日間だったのでしょうか。

ただただ、感謝の気持ちで胸いっぱいです。
ありがとうございました。

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ああ、なんで撮らなかったんだろう、あきこさんの笑顔。
ブースをのぞくたびに、たくさんのお客様に囲まれて、
忙しいはずなのに、お顔はなんともふんわり柔和なままで。
あんまり幸せそうなその表情を、カメラを向けてほどいてしまうのが、
無意識のうちにはばかれていたのかもしれません。  

いただいた文章にも書かれてあるように、
小椅子に腰かけた大きなひと、
小さなひとの笑顔。
そして、思わず読みだしたあきこさんの本に目頭が熱くなってしまって、
困った表情のひとたち。

鎮守の杜の一角で、手と心に豊かな感触を与えてくれた時間が繰り広げられたこと。
今となっては夢の一幕のように思えてきます。

でも、やっぱり、夢、ではないのですよね。
あきこさんは、ここでこれだけのことを成し遂げたことで、
すでに次の地平に向かっているのだと思います。
あきこさんの見て、感じて、創りだしていくこれからのお仕事、
ぜひ、皆さんと一緒に見続けていきたいと思います。

にしむらあきこさんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click