2015年4月の記事一覧

「皆様へのお知らせ/工房からの風」New

director's voice | コメントする

風の予感、始まります。

今年度の「工房からの風」出展作家の中から、
まず4人の作家をご紹介します。
ここ数年、恒例となった、5月、6月開催の
「風の予感」。

風の予感  vol.1
4/30(木)・5/1(金)・2(土)・3(日祝)
11:00〜18:00

zuca|革
千 sen|金属
yagate|木
ヤマジョウ|陶

今日、30日は、兵庫からzucaさん、大阪からsenさんがいらっしゃいます。

ヤマジョウさんは、5/2(土)・3(日祝)

yagateさんは、5/3(日祝)に在廊くださいます。

なぜか、今回偶さか工房名メインの活動の作家の方々で、
いささかちんぷんかんぷん?な表記ですが、
それぞれお一人ずつギャラリーにいらっしゃいます。

お名前でなくって、いきなり工房名だともしかすると、
なんとなく遠くに感じられてしまうかもですが、
いつもの「工房からの風」のよき親しみと変わらぬ雰囲気です。
新年な風の予感、ぜひ感じにいらしてください。

宇佐美が綴るgalleryらふとのブログに詳しくご案内があります。
→ click

(senさんのシャツボタン。銀のボタンなのです!)

追記ニュース
庭では、バラが咲き出しました!

director's voice | コメントする

祝受賞

今日はビッグニュースが飛び込んできました。

国展の工芸部で、最高賞の国画賞を、
2011年出展作家の下地康子さん(URIZUN)が受賞されました。

沖縄ご出身で、大学卒業後は服飾メーカーの生地企画に入社され、
ずっと糸とともにある人生を歩んでこられた下地さん。
個人作家としての仕事を柱にして間もなく、「工房からの風」に出展くださいました。

心に広がる色合い、風合いを、
鍛え蓄えられた技術を使って布に織り上げる下地さんならではの布。
こつこつと積み上げてこられたその仕事が認められたこと、
この場からも、心から祝福したいと思います。
ますます、心に響く布、織り上げてくださることと思います。

:::

平成26年度日本民藝館展-新作工藝公募展-でも、
奨励賞を箒の吉田慎司さん(まちづくり山上)と、
ガラスの平岩愛子さん(glass studio Rainbow Leaf)が受賞されました。
吉田さんは2011年、平岩さんは2013年に工房からの風に出展くださいました。
風のあとも、日々続けられるお仕事に対して、
よき句読点となるような祝福が与えられたこと、
あらためてお祝い申し上げます。

:::

工房からの風は、美術工芸団体のどこ系?でもありませんし、
毎年一期一会のゆかりで集った、作り手たち50人程が共にひらく野外展です。
その50人はある響きあうものを持った方たちですが、
決して一色ではなく、さまざまな志や、方向性を持っています。
その違いを豊かにまといながら、出展後も制作をつづけ、時に立ち止まり、
熟していかれます。

受賞はひとつの価値観ではありますが、
作家にとっては、大きな励みになることと思います。
下地さん、吉田さん、平岩さん、おめでとうございました。
そして、賞にかかわらず、ますます作家の方々がよき仕事を深められるように、
私たちもこの場を耕していきたいと思うのでした。

director's voice | コメントする

二年後の桜のもとで

ソメイヨシノが葉桜になり、八重さくらが満開となりました。
急ぎ、開ききっていない蕾を探して収穫。
桜茶や、アイスクリーム作りのために、塩漬けに。
庭人さんが、笑顔で収穫くださいました。

:::

春の草花は駆け足で開いていきますね。
クロヌマタカトシさんの個展の最終日から早10日。
白い時間、と名付けられた時間に、さくら色の光がかぶさって、
今も心の中に残像が揺らぐようです。

yukihiromatsuoka さんがフィルムで撮られた写真を送ってくださいました。

明け放った天窓から、はなびらがひらひらと入り込む
年に数日だけの祝福の日。
その光の中で、スウェーデンのHasselbladを構えて、じっくり作品と向き合って撮ってくださいました。

:::

クロヌマさんの個展では、作品をお選びいただきました皆様、
すべて最終日まで展示をさせていただき、ありがとうございました。

今回、お選びいただける作品が早々に少なくなり、
後半お越しいただいた方には申し訳ないようでしたが、
それでも、うまく言えないのですが、申し訳ない、、を超えて、
ご満足いただいた実感がありました。
ご希望の作品をお渡しすることは叶いませんでしたが、
お越しいただき、ご覧いただいたことへの感謝の気持ちのほうが
ずっと大きく感じられたのです。

それは、お越しくださった方々と作家の何かが、この場で響き、結び合ったからなのだと、
10日経った今、ようやく言葉にすることができました。
この時間にかかわってくださった方々が、作家をまた次に進ませていくのだと思います。

二年後の桜の季節、
二年後のクロヌマさんの作品とこの場でお会いいただきます。
はなのもとでの出会い、再会、心待ちにしています。

director's voice | コメントする

風の始まり

花冷えの合間のひとときの晴れの日に、
今年度出展者による第一回ミーティングが開かれました。

出展作家45名、風人さん(過去出展者で今回サポートくださる方々)12名、
計57名の作家がはなびら輝く庭に集って。

会場を一緒にまわり、その後ミーティングルームに移動して約5時間!
10月の本展に向けての風がそよぎ始めました。

今年の雰囲気は、なんとなく落ち着いた印象。
オトナな風になるのでしょうか?
ゆたかなつながり、ご縁の始まりがこの場から結ばれていきます。

昨日参加された方々、今頃は心の中でぐるぐる風が回っていることと思います。
これから半年のあいだに立ち上がってくる、それぞれの方々のお仕事、
そのハーモニーが楽しみでなりません。

ちょうど花びらもくるくると舞う中、なんだか入学式?のような記念撮影となりました。

director's voice | コメントする

次のことを考える

桜も盛りを過ぎて、今日は冷たい雨に打たれています。

ギャラリーの裏の小庭。
桜色の吹き溜まり。

巨岩、と名付けられた作品が、はなびらのゆくえを見守るように。

:::

クロヌマタカトシさんの個展、前半の三日間を終えて、あと迎える土日の二日間となりました。

クロヌマさんもブログを更新されています。 → 

:::

クロヌマさんが、
「今回の展示は僕にとっては特別なものだった」
と書いてくださいましたが、
私たちにとっても今回の展示は特別なものでした。

「galleryらふと」がこの場に移って10年。
「工房からの風」を一年のハレの日とすれば、日々の庭づくりなどの日常のケの日々があります。
その中で、ギャラリーでの展開がどうあったらよいのだろう。
そのことをずっと模索してきました。

折々のワークショップと、
5月6月に行う今年度の「工房からの風」新規出展による展覧会「風の予感」展。
この営みが育ってきましたが、単独での展覧会をなかなか企画できずに過ごしていました。

:::

前半三日間が終わり、花闇の中に灯るようなギャラリーの中で、
クロヌマさんとわたし、スタッフの宇佐美の三人で静かに充足感に包まれていました。

現在のクロヌマさんといえば、動物や果実の彫像とブローチにとても人気があります。
それを今回は一切出さずに構成することは、作家とギャラリー双方に意思が必要でした。

取り立てて話し合ったわけでもなかったのです。
クロヌマさんが、ご自身で今展はそうありたいと決められて、
私はそれを察して、受け入れただけのこと。
言葉に出さずに、それぞれが相手に迷惑をかけてしまうかもしれないという一抹の不安も抱えながら、
いや、きっと今回はそうあるべきなのだという思いで初日をあけました。

:::

充足感、といってもひといろではなく、さまざまな喜びの色合いなのですが、
その中でも一番の満たされた思いは、見てくださった方々の反応でした。

「初々しいことがしたかった。
少し手に負えないようなことがしたかった。
知っている線をなぞるのではなく新しく線を引いてみたかった。
でもそれはすごく恐いことでもあった。」

そんな思いで作られた作品を、いや、そんな思いで作られた作品だからこそ、
訪ねてくださった方々の心に鮮やかに映ったものがあったのだと思います。
ギャラリーを後にされるときの表情、佇まいが私たちにとっては宝物でした。

:::

「工房からの風」に集ってくる作品群。
暮らしの中で使うものであろうと、所謂アートの作品であろうと、
今日現代に個人が作り出すもののあるべき姿。
その姿を映し出す場としてのギャラリーの在り方ってどんなだろう。

後ろをなぞるのではなく、切り拓く心と手をもって作られたもの。
一歩一歩作家として前に進む過程、それに添う場として、
「galleyらふと」が存在したい、そう確信した展覧会でした。

(と、終わったように書いてしまいましたが、土日とあと二日間あります!
土曜日は夕方から白ワインもお出しします。
白い時間、ですもの!)

:::

先日来の赤木明登さんの「住む」での文章を巡る考察はまだこの場でも続きます。

「次のことを考える」

と、文中小見出しにありますが、今回の展覧会も、その脈の中にあります。
作家が次の扉を開くこととともにある仕事。
「工房からの風」で漕ぎ出した作家の仕事が、
次の海原に向かう場面で関われる場でもあるように。

作家として世に出ることが目的ではなく、作家としての人生を豊かに全うすること。
その過程でひらく花々との出会いの場を作る仕事。

次のことを考える、
も、進みます。

director's voice | コメントする

むきあうじかん

そよそよと花吹雪舞う中、チューリップも咲き出しました。
花曇りが展示空間にふさわしい空気に整えてくれているよう。

初日からゆたかに展示を明けることができました。
クロヌマさんの仕事を見続けていらっしゃる方々、
25年以上も前身のギャラリー時代から通い続けてくださる方々、
fbで偶然知ってくださった方や、案内状から新たに訪ねてくださった方、
作家の方々もさまざまに、はるばると。

どなたもがゆっくりとこの空間を味わうように過ごしてくださいます。
作家や私たちと時々会話を。
けれど多くの時間は、作品にただじっと向かわれて。

工芸、クラフトを中心に展示をしてきましたから、
お客様の佇まいに大きな違いを発見!しました。
用途のあるものは、手に取って、使う動作の中で作品を確かめたり、
服飾工芸であれば、まとったり、身につけたりしながら、作品を鑑賞されます。
触れることで作品を味わうように。
けれど、今展では作品に向き合うだけ。
一点一点向かい合って、作品をただ見つめていらっしゃいます。

私もお客様がひけたとき、作品に向かい合ってみます。
すると、作品を見ながら、なんでしょう、作品には触れずとも、
自分の心に触れているような気持ちに。
自分の心がふんわりかきまぜられて、ほぐされていくようでした。

向き合う時間も、白い時間なのでしょうか。

(作品に、実際に触れていただくこともできます。
樟の芳香をどうぞ、とクロヌマさんがおすすめくださったり)


 

ハマスホイの画集を広げて見ていかれる方も。
 

 
小屋の作品を介して、クロヌマさんとお客様の
それぞれの心にしずむ風景が語られていったり。

いつしか眉がくつろぎ、胸が広がったような姿になられて、
ギャラリーを後に なさいます。

会期はあと4日。
さくらに囲まれたギャラリーでお待ちしています。

director's voice | コメントする

白い時間

満開の桜のもとで、今年初めての展示がgalleryらふとで始まります。

クロヌマタカトシさんの木彫展
白い時間
2012年の「工房からの風」に出展くださった作家の方です。
(おりひめ神社の奥で大きなユニコーンを印象的に展示されていましたね)

新たに塗り清めた白い壁の空間に、作品がひとつひとつ所を得て置かれていきました。

花を摘む女性
手紙を読む女性
腕を組む女性
読書をする女性

:::

何かに夢中になっている姿、自己没入の姿を、白い時間ととらえて、
「白へ向かう」
という作品群もあります。

一点、神々しいようなおおきな作品も

:::

僧侶、巨岩と名付けられた作品も白い時間の中に

:::

今展に向かい、何かに没入している人物の白い時間を追い続けたクロヌマさん。
冴え返りの日々の中、このような便りが届きました。

「・・・
最近は小屋を彫っています。
小屋は以前から心引かれるモチーフでもあり
簡素で必要最小限な佇まいには一種の清貧さのようなものを感じていました。
(建築を学んでいたころから小屋好きでした)
今回、人物像ばかりを追っていく中で
何か個人的に息の詰まるようなところ、
ぐるぐると堂々巡りしてしまうようなところに出くわしてしまい
違った側面から白い時間をとらえてみようと試みています。

ですので展示風景は人物と小屋(家)になりそうです。・・・」
と。

:::

今回、デンマークの画家ヴィルヘルム・ハマスホイへの
オマージュも心に置きながら企画を進めてきました。

案内状の写真は、ハマスホイが好んで描いた静謐な空間を探してデンマークで撮影してきました。

冬の光の中で、どの角度から撮影しても美しさと新鮮に出会いました。

今展でも、ぜひ全方位から作品と出会っていただきたいと思っています。
貴重な画集もご覧いただこうと揃えています。

クロヌマさんは、会期中4日の土曜日のみ不在ですが、ほか4日間はギャラリーにいらっしゃいます。
開館時間は11時から18時。
桜のはなびら流れるギャラリーでお待ちしています。

クロヌマタカトシさんのホームページはこちらです →