Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
長沼由梨子さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。
A1
葉書サイズの作品は、定番として作り続けています。
その中でも特にお手に取っていただく機会が多いのが、題名のないこちらの図案です。
この丸はパートナーをイメージしたものですが、ふたつの丸はフリーハンドで型を彫っているため、ぴたりと重なりません。
家族も仕事仲間も、似ているようで正反対だったり、意外なところでうまく噛み合わなかったりします。
けれど、それでいいのだと思うのです。
完璧ではないからこそ一緒にいるのかもしれない。
そんな思いを秘めた、シンプルな図案の作品です。
Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。
A2
『しろにしろ』というテーマの作品をご覧いただけたら嬉しく思います。
図案と色の取り合わせを愉しむ型染めですが、白い素材に白色を重ねる表現を続けています。
白と呼ばれる中にも、図案や素材、手の動かし方によって無限の色彩が生まれます。
たとえばこちらの金封は、図案を二度に分けて染めることで三層の白を作り、和紙そのものの美しさを際立たせました。
以前、この『しろにしろ』をGoogle翻訳にかけたところ、
“Be honest(正直であれ)”
と訳され、思いがけず制作への助言を受けたように感じました。
今後も深めていきたい、大切にしているテーマです。
Q3
長沼由梨子さんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。
A3
木工作家でもある主人に作ってもらった型紙棚です。
制作に使用する型紙や和紙は、折ったり丸めたりせずに保管する必要があり、大きな棚が欠かせません。
広幅の浅い引き出しは既製品ではあまりないので、木工作家である主人にお願いして作ってもらいました。
染色の道具はどれも美しく、眺めているだけで惚れ惚れしますが、この棚は私にとって特別なものです。
和紙や布に型染めで創作される長沼由梨子さん。
具体的な用途のあるものから、インテリアなどへのアート作品まで幅広く制作されています。
作る形態の幅はあれど、デザイン、テイストには貫かれた美意識があって、きっと新鮮なブースが構成されますね。
長沼由梨子さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、稲荷社の脇。
なんと、ちょうどふさわしい作品群もあるのでした。
大入袋と熊手。
美しく縁起の良い作品との出会いもお楽しみいただけるのではないでしょうか。
長沼由梨子さんのインスタグラムはこちらです。
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