Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
1loomさんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。
A1
これまで何度も織ってきたデザイン「玄/KURO」を紹介します。
私が感じている織の魅力は、“柄”を作るだけでなく経と緯の重なりによって立体的な質感を生み出せるということです。
それを一番表現できたものがこの作品です。
幾つかの織組織が一つの布の中に存在し、一見シンプルな格子模様ですが、よく見ると様々な表情が見えてくると思います。
手触りには濃厚なとろみ感があり、綿素材で秋冬春と使っていただけるボリュームのあるストールに仕上げました。
今回はシリーズとして藍を多く使ったもの、遊び心を入れたものも持っていきます。
Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。
A2
この夏「漣SAZAMANI/凪NAGI」シリーズ制作のため、徳島の馴染みの工房にお世話になりました。
藍染めのグラデーションは深く、後染めによって織だけでは表せない藍色の魅力が生まれます。
藍瓶の吸い込まれそうな深い黒緑の表層と向き合い、何度も繰り返し染めていきます。
灰汁を洗い落とし藍本来の色が見えてくると、水の反射でより透き通った美しい青に目が覚めます。
その瞬間の光景が見たくて、また何度でも藍染めをしたくなります。
染めた直後の瑞瑞しい藍を、少しでも感じてもらいたいとこの作品を制作しています。
Q3
1loomさんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。
A3
1loomを始めた頃に海で出会った猫のもん、お別れも経験しました。
もんの大切なものを入れている手作りの巾着は、心のお守りのようにいつもお部屋に鎮座しています。
徳島の工房では朝日が差し込む部屋と西陽の当たる部屋に織り機を置いていました。
冬になったら午前は朝日の部屋、午後は西陽の部屋に移動して自然の暖房を。
夏はその逆。
猫の習性と同じだったようで、気付くといつも同じ部屋に。
私が機織りしている隣ですやすや眠ったり、窓の外を警備したり。
作家としての開拓の時期を見守ってくれた、良き相棒です。
もんちゃん、っていうんですね。
『作家としての開拓の時期を見守ってくれた、良き相棒』
猫と共に生きる私には何だかじーんと心に響いて、目頭熱くなってしまいました。
東京の美術大学に入られてより、現在は関東で制作される1loomさんは徳島のご出身。
徳島の美しい藍を中心に織りを続けていらっしゃいます。
若々しい感覚で、伝統の豊かさに学びながら織り上げられた布。
風にそよがせ、光を通して、その美しを感じていただけたらと思います。
1loomさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って少し歩くと出会う梅とアーモンドの木の間。
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