Q1
工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
アトリエ桒雨(そうう)、藤本里菜さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。
A1
草木の顔料です。
そのままではこの世に留まれない草木の秘めた色。
草木染めは物質を通して草木の色が、この世にあったということを喜びをもって確認する作業でした。
草木の色はどれも、なぜか懐かしく美しく。
その色がどこから来ているのか知りたいと願い、色をそのものとして留め手にすることは出来ないものか思案する中、草木顔料とも出会い制作を続けています。
草木顔料は自然の色の結晶です。
古来からの方法を学び、より自然に近い材料を使用出来るよう研究し制作しています。
化学物質のみで作られた顔料や染料が主流になる以前のあたたかで美しい色。
季節と共に繊細に移ろう草木の色、現在200種以上の草木から色を頂いています。
Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。
A2
草木の原石クレヨンです。
草木花の色が地に帰っていくようなひとつの植物からの色の機微を地層の様に積み重ねて制作した石に見立てたクレヨンです。
櫨蝋の美しいつや感が移ろいの色を引き立たせてくれます。
使用していく度、角が取れ地層の様なグラデーションが現れ、石の様に模様、形を変えていきます。
色を純度の高いものにするため顔料の余分な塩(えん)を取りのぞき粉砕後の顔料をさらに手挽きし高配合しています。
Q3
アトリエ桒雨さんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。
A3
染め場の自然光のさす透明な天井です。
アトリエは築100年程の建物を改装しており、元々は納屋の様に使われていた所を一から手を入れ染め場を作りました。
その際に自然の光が入る様にしたいとのわがままを、夫が案を出し大工さんと共に施工し叶えてくれました。
自然の色は、自然の光の中でこそ現れてきてくれることを実感させてもらえるなくてはならないものです。
日々、その日の光の中で草木の色を探しています。
桒雨
桒とは桑の異字体で「そう」と読みますので、桒雨は「そうう」。
届いた応募用紙、何度も何度も読み返しました。
23回目にして初めてのジャンルでしたらから。
藤本里菜さんは染織の人間国宝のもとで学び、その先に色そのものを作り出して、人に手渡していく仕事を拓いて来られたようです。
具体的には「顔料」や「クレヨン」の販売。
これらは、ものづくりのプロが欲するものでもあり、私のような素人でも何かを描きたくなる絵心を刺激する魅力に満ちています。
自作の染色布の展示もあわせ、今までの「工房からの風」では見られなかった作品構成が現れること、楽しみで仕方ありません。
アトリエ桒雨さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜のゲートを入って庭園の縁に沿って並んだ4つのテントにひとつ。
okapiさんの隣です。
インスタグラムはこちらになります。
→ click