director's voice

Leather Lab. hi-hi (革)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
Leather Lab. hi-hiさんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
[monte pochette]という鞄です。
この鞄は私たちの生活圏から見える「山=monte」の景色をデザインに落とし込んで作りました。

横型と縦型があり、横型の[ZAO]はアトリエから西に見える蔵王連峰の緩やかな稜線をイメージして作っており、縦型の[TAIHAKU]は仙台市でも身近で、遠足登山でも親しまれる太白山というおにぎりのような小山を抽象的に描いて作りました。

アトリエの中から外へ目を向けて、身近にある景色に自分たちが描く線を重ねてみる。
そんな試みで作った鞄は、ふっくらと優しい表情で気取らず、日々の相棒として活躍してくれます。
写真の鞄は[monte pochette ZAO -Lsize]で外側には蔵王のお釜をモチーフにしたポケットも付いています。
是非会場で手に取ってご覧ください。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
[folk]という鞄で永く想いを温めてきて、今年に入りようやく形に出来た鞄です。

東北の代表的な手仕事のひとつでもある編み籠から着想を得て生まれた鞄で、樹皮を用いた籠編みの技術と革鞄作りで培った技術を組み合わせて作られています。
素材は国内で鞣された植物タンニン鞣の牛革なのですが、その中でも製造過程で現れる傷や色斑、シミなどが原因で一級品としては認められない革をあえて使用しています。

生き物が持つ傷やシミも、それぞれが持つ個性として捉え、その美しさや力強さを活かしたいと思いこの素材を選んでいます。
それらの素材をフリーハンドで手断ちをし編み上げることで、柔らかな揺らぎと独特な陰影を生んでいます。

私たちの住む環境から学べる技術や手の届く素材に目を向け、私たちの手でそれらを昇華していきたい。
民藝や工芸にも通ずるような革のものづくりを、この先十年、二十年と続けていきたい。
そんな想いも込めてこの鞄を作りました。

今回の工房からの風には[folk]のサイズと仕様違いのものを数点お持ちしますので、是非手に取って感じていただけたら幸いです。

Q3
Leather Lab. hi-hiさんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。

A3
工房で作業中に使っているスツールです。
作家として駆け出しの頃に尊敬する木工作家さんと共作したもので、見た目の通り[mame stool]と名付けました。
初めての革張りと手仕事ならではの作りにこだわり、悪戦苦闘しながらも一所懸命に制作した思い出が詰まっています。
艶を増してぷりっとした表情が愛くるしく、工房に訪れた皆さんが目に留めて愛でてくれます。
今では日々、私たちの姿勢を支えてくれています。

Leather Lab.hi-hiさんは、平間博之さんと麻里さんの夫婦ユニット。
2019年に初出展くださったときは、大きなお腹の麻里さんでした。
その後無事ご出産されて、今はやんちゃ盛りの坊ちゃんのお父さんとお母さんですね。

この5年間、コロナ禍もはさみ、作品発表が難しい期間でしたね。
その間、作品のバリエーションを広げ、ひとつひとつの完成度を高められたおふたり。
5年ぶりの「工房からの風」で、佳き風をそよがせてください。

Leather Lab.hi-hiさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、おりひめ神社のほとり。

ホームページはこちらになります。
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工房からの映像も是非ご覧ください。
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