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2018年9月の記事一覧
「風人からのメッセージ/工房からの風」New
森友見子さん(風人)
風人として、毎年「素材の学校」を担当くださる森さん。
私たちの間では、校長先生!と呼ばれています。
あ、先に担当を書いてしまいましたね。すみません。
でも、お決まりですので、
Q1
今年の「工房からの風」で、森さんの担当を教えてください。
A1
「素材の学校」テントの受付と紙の時間ワークショップの担当です。
革、綿、金属、織り、ほうき、紙、様々な素材の作家が講師となり、
子供たち(未来の作り手)に素材の魅力を伝えます。
今年の紙の時間では
「再生紙で作る壁飾り、この木なんの木?」
と題して段ボールや色紙をミキサーで粘土状にし、
木をテーマにした壁飾りを作ります。
毎年恒例となった「素材の学校」。
内容は、毎年刷新されていますので、
新鮮なものづくりをお子様に体験いただけます。
森さんはご自身の作家活動のほかに、
相模原でこどもの絵画・造形教室も主宰されていますので、
プログラムの組み方や実行もとても素敵に構成くださっています。
Q2
森さんは、何年の「工房からの風」に出展しましたか。
その時の印象に残る体験(感想)をひとつ教えてください。
A2
2005、2006、2009、2012年です。
思い出はたくさんあるのですが!
10周年記念の2012年では、
複数回作家の方が多く出展していて楽しかったことを覚えています。
同じ作り手としてのつながりが増えていくことが喜びなのです。
作家活動を豊かに継続させていくことに必要なことに、
作家同士のよきつながりがあるのだと思っています。
新たに出会うこと、出会いを大切に育んでいくこと。
森さんたち風人さんたちは、今年の出展作家の方々にも
よき出会いが生まれ、育つように支えてくださっています。
Q3
木を素材として作られたもので、心に残るもの、または、大切にしているものを教えてください。
A3
長男が幼い頃、木工作家の方に子供用の木の椅子を注文し作っていただきました。
今ではもう座ることはできませんが、部屋の入り口においてあります。
眺めるだけでただ可愛く美しく、大切にしています。
親の背丈を超えた子が、こんな小さな椅子にちょこんと座っていたなんて。
ものは時間を遡って蘇らせてくれるきっかけになったりしますね。
そのきっかけが、美しいものであるように。
工藝作家の手に生るものには、そんな願いも込められているのかもしれません。
森友見子さんは、コルトン広場モニュメント周りに立つ
「素材の学校」テントにいます。
「風セレクション」テントでは、美しい貝の箱を出品くださいます。
この日の思い出を詰める箱として選ばれてはいかがでしょうか。
川崎千明さん(風人)
風人さんからのメッセージ。
金工ジュエリーの川崎千明さんからのメッセージをご紹介します。
Q1
川崎さん、今年の「工房からの風」では、何を担当くださいますか?
A1
「風セレクション」と、「素材の学校」で「金属の時間」を担当します。
風セレクションとは、風人さんの作品の販売テント。
素材の学校は、お子様向けのワークショップテントです。
素材の学校では、打ち込み象嵌キーフォルダーつくりの授業を受け持ってくださるんですね。
Q2
川崎千明さんは、何年に出展されましたか。
その時の印象に残る体験(感想)をひとつ教えてください。
A2
2014年に出展しました。
メインビジュアルは葡萄の年です。
工房からの風初出展だったので、本展の前、5月にギャラリーらふとで
風の予感展に参加させていただいたのですが、
その時に見に来てくださったお客様が、10月の本展でも覚えていて
テントをのぞきに来てくださったのがとても嬉しかったです。
緊張していたので、見知ったお客様にお会いできて、
なんというかほっとしたのを覚えています。
工房からの風のお客様は、あたたかな方が多いです!
ここを起点に、作家の方々のファンになられる方も多いですね。
はんぎんぐパンダのネックレスは、この時から人気の作品でした。
(今回の販売はありません)
Q3
木を素材として作られたもので、心に残るもの、または、大切にしているものを教えてください。
A3
子どもの頃に、父がお土産で買ってきてくれた木彫りの熊のおもちゃを
気に入って、今も本棚に飾っています。
ひとつの器をはさんで、スプーンを持った2匹の小熊が
交互にスプーンを口に運ぶという動くおもちゃです。
台座の下に木の丸い球が糸でぶら下がっていて、
その球をゆらゆら揺らすと糸にひっぱられて熊たちが動くという仕掛けです。
当時読んでいた「3匹のくま」という絵本に、木の器に木のスプーンで
スープを飲むシーンがあって、なぜかそれに憧れていまして・・・
「まさにこれは!」と思ったのでしょう。
スープを飲む小熊たちの表情が楽しげで、今見てもやっぱり好きです。
川崎千明さんは、今もこのおもちゃを大事にされているんですね。
動物園通いが大好きで、動物モチーフの装身具を作る想いの底には、
このようなエピソードが息づいているのでしょうか。
川崎千明さんは、当日モニュメント周りの「風セレクション」、
または「素材の学校」にいらっしゃいます。
HPはこちらになります。
→ click
大野七実さん(風人)
地元市川市在住で、そのお仕事を長く見せていただいている陶芸家の大野七実さん。
今年も風人として、この会を守り立ててくださいます。
Q1
大野七実さん、今回の「工房からの風」では、どのようなことを担ってくださいますか?
A1
昨年に引き続き、風人の作品を販売するテントを担当させていただきます。
今年は、風人それぞれの旬な作品と、昨年より取り組みをはじめましたケミストリー
(作家同士のコラボ作品) をメインに、みんなの思いがぎゅっと詰まった
セレクトショップのようなブースにしたいと思っています。
わたしは、家具を中心に誠実で美しい木の仕事をされている hyakka さんとコラボします。
岡林さんの作りだす美しいサイドテーブルの天板が、わたしの陶のタイルに変わるんです!
どんな仕上がりになるのか、わたし自身も楽しみでわくわくしながら制作しています。
新たな試みをみなさまにもぜひ見ていただきたいとおもいます。
風人さんたちは基本的には作品販売を行わないのですが、風人(作家)同士が出会うことでの化学変化、
あるいは、風人を担うことで作家自身に起こる化学変化の実りであるような作品を、
少しながら展示販売する企画を行っています。
大野さんは、染織作家の永盛さんらとともに、
その担当を中心に、会全体をあたたかな気持ちで包んでくださっています。
Q2
大野七実さんは、何年に出展くださいましたか?
A2
2015年出展です。
以前より関わりを持たせていただきながらの初出展は、まわりの方々に見守られ、支えられ、
応援してくださる方がいて、それはそれはほんとうに恵まれた環境での出展だったとおもいます。
3年前を思い返して、、、
当日の2日間を輝かしく感じることができたのは、それまでのつくる時間を自身の決めた目標へ、
真っ直ぐに向き合えたかどうか。
渦中にいるときは、もちろんそんなことを考える余裕はまったく無いのですが、
ただ信じる先を見つめ、真剣に楽しく、手を動かす日々の積み重ねが、
結果としてつくることの確かな手応えを生んだのだとおもいます。
じぶんのつくる仕事の先に、だれかのしあわせな暮らしがあることを喜びとして実感できたこと、
かけがえのない大切な人たちと出会い絆が結ばれたこと、
そして、そこからまたははじまったわたしのやきもの人生が今こうして続いていることが、
なによりいちばんの実りです。
お庭の美しさにすべてが象徴されているかのような工房からの風。
それぞれが個でありながら、さまざまな成長のなかで、お互いに響きあい、
こころが行き交う開かれた場所はほんとうに輝いてみえます。
つくることも、人との関わりも、みんなきっと庭づくりとおんなじで、時間をかさね、
きもちを込めてこそ培われるものなのだとおもいます。
日々こころを丹精することが、先にあるうつくしい地平へと導いてくれる。
そのことをわたしは工房からの風で知りました。
金木犀が甘く香りはじめる頃、
あぁ、今年もまたあの場に集う人たちとのこころ通う時間のなかにいられるんだなぁと、
じーんと胸が熱くなるおもいです。
工房からの風の開催を通して、私自身、庭の在り方とこの活動が深いところでつながっていることを学んできました。
七実さんも実際に植物を育てることがとても好きな方ですが、工房からの風の活動を喩えとしての庭と捉えていることを実感されている作家のおひとりなんだと感じています。
Q3
木を素材としているもので、大野さんの心に残るもの、または、大切にしているものを教えてください。
A3
木のうつわがとても好きです。
やきものを志して間もない頃、憧れの作家さんの木のうつわをひとつ手にしました。
とてもうれしかったのを覚えています。
時代が進み、作家と呼ばれる人たちのつくる木のうつわは世に広まり、
我が家にもさまざまな方々のうつわやカトラリーが少しずつ増えていきました。
もちろんやきものも好きですが、木が持つ自然の表情と存在感、使い心地の軽やかさ、
使っていくほどに味わい深く育つ姿に惹かれ、
朝のパン皿にはじまり、頻繁に食卓に並ぶ毎日です。
うつわに限らずですが、自身がつくり手であると同時にひとりの使い手として、
そのものを愛おしく感じそばに置きたいと思うこころは、
自分のつくるものへ大きく影響しているとおもいます。
木工で応募くださる方は近年とても増えてきました。
今回も充実した作家群です。七実さんの暮らしの中で育まれてきた木の器のように、
今回のお選びいただいた器がどなたかの暮らしの中で大切なもにに育っていくことを、
企画者としても願っています。
大野七実さんが主にいらっしゃるのは、コルトン広場モニュメント周りの風のケミストリーテント。
穏やかな笑顔で皆さんをお迎えくださることでしょう。
香田進さん・佳子さん(アトリエ倭)(風人)
アトリエ倭。香田進さんと香田佳子さんによる木工ユニットです。
「工房からの風」には、このところ毎年「木」をテーマとしたワークショップテントを展開くださって、
その年ならではの心がふっとあったかくなる手仕事の時間を創ってくださっています。
Q1
アトリエ倭さんは、 今年の「工房からの風」では、どのような担当してくださいますか?
A1
今年は『風のタネ』というタイトルの、木のカードホルダーを作るワークショップをします。
工房からの風に出展されている作家さんは
自身の仕事の紹介カードを置いている方が多くいらっしゃるので、
お気に入りの作家さんのカードを持ちかえっていただいて飾っていただくためのカードホルダーです。
風で始まる出逢いがやがて芽吹いて花を咲かせ実を結び、そこから工芸が広がっていくように、
そのタネのようなカードを持ちかえっていただくきっかけのようになれたらと考えたワークショップです。
今年の工房からの風のメインビジュアルの木のように、深く根をはり葉を茂らせるような、
そんな木に成長できるタネを、ぜひ持ちかえっていただけたらと思います。
『風で始まる出逢いがやがて芽吹いて花を咲かせ実を結び、そこから工芸が広がっていくように…』
想いがこもったアトリエ倭さんならではの今年の企画。
『風のタネ』というタイトルも、この場ならではのものですね。
そして、木のカードホルダーは、さまざまな使い方で暮らしを彩ってくれそうですね。
Q2
アトリエ倭さんは、「工房からの風」には、何年に出展されましたか。
その時の印象に残る体験(感想)をひとつ教えてくださいますか?
A2
私たちは2012年に出展させていただきました。
その時に稲垣さんに『佳き出逢いの風を』という言葉をいただき、
その言葉がずっと核のように心にあります。
当時、木のおもちゃだけを作っており、50組の出展者さんにも関係者の方にも一人も知り合いがいなかった私たちですが、出展がきっかけで多くの作家さんと知り合うことが出来、
以降も大切にしたい出逢いの風を幾度となくいただいています。
また、出展がきっかけで作る物の巾がかなり広がり、今では文房具やスツールなども製作しています。
『新しい自分たちに出逢う』という意味でも、佳き出逢いの風をいただいたと思っています。
佳き出会いの風を
アトリエ倭さんは、この言葉のままに、まっすぐ世界を広やかにされていらっしゃいますね。
自分を十全にして開く。そこから広がる輪がますます自分を育てていくんだって、
私の方こそ、おふたりから学んでいるのです。
風人を担ってくださっているのは、出展者の方々に実りある参加をしてもらいたい、
そのお手伝いをしたいという気持ちなのだといつも感じています。
そのまっさらな気持ちが、結果としておふたりの制作の進化にもつながっているのでしょうか。
風人さんにとって、この機会がそんな風であってほしい、
それを体現してくださっているおふたりなのです。
Q3
木を素材として作られたもので、アトリエ倭さんの心に残るもの、
または、大切にしているものを教えてくださいますか?
A3
私たちは建具屋で修業をして独立したので、古い建具や木造建築に心を惹かれることが多くあります。
福島の祖母の生家が猪苗代湖のほとりにあるのですが、
そこの梁や柱が今では手に入らないような立派な材で出来ていて、
何十年も積み重なった時間で黒く光っていてとても美しく感じます。
また木製の建具も、当時『デザイン』という呼び方は無かったと思いますが、行く度にとても綺麗だなと思います。
ああいった、真直ぐな気持ちで作られたカッコいい仕事に憧れます。
時を重ねるほどに美しく育まれるもの。
「工房からの風」に集う作り手や使い手の多くが、きっと「好き」なものであって、
大切にしたいことのような気がします。
木には特にそれが表れていくように思います。
アトリエ倭さんは今年もコルトン広場、モニュメント周りにワークショップテントで展開くださいます。
ホームページはこちらになります。
→ click
岡林厚志さん(hyakka)(風人)
今年初めて「風人」さんをしてくださる木工の岡林厚志さん。
hyakkaという工房名で、注文家具を中心に木の暮らし周りの小物も制作しています。
Q1
岡林さん、 今年の「工房からの風」では、何を担当くださいますか?
A1
木のスツールを作るデモンストレーションのほか、全体のサポートをさせていただきます。
デモンストレーションでは、僕が作ったスツールの座面を、
同じ風人で竹の作家の勢司恵美さんに編んでもらう予定です。
岡林さんの椅子の座り心地のよさについて、最近よく耳にします。
今回は竹の座面!とは。
北欧の雰囲気を持った岡林さんの木工と、和の素材でもある竹。
どんな新しいものが生まれるのでしょうか。
Q2
岡林さんは、 何年に出展されましたか。その時の印象に残る体験(感想)をひとつ教えてくださいますか?
A2
2016年に出展しました。
出展が決まってからの半年間、別の仕事をしながらも常に「工房からの風」のことを考えていて、
精神的なプレッシャーも大きかったと思います。
当日は2日間とも良く晴れていて、お庭には本当に気持ちの良い秋の風が吹き抜けていました。
それとともに、それぞれの作家さんのまさに「工房からの風」も吹き渡っていて、
その空気になんだかワクワクしてきたのも覚えています。
そのおかげか、当日は(それなりに)リラックスしてブースに立てていたと思います。
同じ年の出展者の方とは、今でも繋がりがある方もいて、
刺激し合える仲間のようなものができたことも嬉しいことです。
『作家さんのまさに「工房からの風」も吹き渡っていて、その空気になんだかワクワクして』
そう、あの独特の空気感、思い出しますねー。
今年も、きっと、今年の作家の方々ならではの風がそよぐのでしょう。
Q3
木を素材として作られたもので、心に残るもの、または、大切にしているものを教えてくださいますか?
A3
あまりに有名なもので恥ずかしいのですが、デンマークのデザイナー、
ハンス・J・ウェグナーがデザインした通称「The chair」です。
学生の頃に存在を知り、実物を目の前にしたときは、
その椅子の持つ空気感に涙しそうになりました。
その後マイスター制度のことなど、デンマークのデザインについて知り、
それがきっかけで家具を実際に「作る」道へと進むことになりました。
初期感動って、大切ですよね。
その感動が日々の制作の底辺にあることは、とても幸せなことですね。
岡林さんの弛まず制作の中で、今度は誰かを感動させる椅子が生まれるかもしれませんね。
岡林さんは、当日は、おりひめ神社奥「一草一木・工房テント」を中心にいてくださいます。
詳しくは、デモンストレーション、ワークショップをまとめた記事でご紹介いたしますね。
岡林厚志さんのホームページはこちらになります。
→ click
和泉綾子さん(RIRI TEXTILE)(風人)
風人さんからのメッセージ、和泉綾子さんからいただいたものをご紹介いたしましょう。
Q1
和泉綾子さんは、 今年の「工房からの風」でどのようなことを担当くださいますか?
A1
いくつかの企画に関わらせていただきますが、
いずれも “工芸”と“庭”というキーワードを持つ工房からの風
だからこそできることを、みなさんと分かち合うことができたらと思います。
〇お子様向けのワークショップ「素材の学校」では、
「織の時間」を「担当します。
「草木染の糸で織るコースター」
10:30-11:30
定員6名様 参加費1500円
草木染めの糸を使って、卓上織り機でコースターを織ります。
このお庭で育った植物で染めた糸も含め、
植物から生まれる色に、たのしんで触れてもらえるような時間にできたらと思います。
〇大人向けのワークショップでは
「コブナグサ色の緯刺し子織コースター」
15:00-16:30(修正しました9/22)
定員6名様 参加費2500円
こちらも卓上織り機で、緯刺し子織という技法を体験していただきます。
平織りをベースに、模様の部分は経糸をすくって刺し子のような模様を織り込んでいきます。
糸はやはり、このお庭で育ったコブナグサで染めた明るい黄色と白の組み合わせです。
〇一草一木テント
「お庭の恵みと草木染め」
昨年から、らふとのお庭で育った植物を分けていただき、
草木染めの制作に活用させていただいています。
お庭で採れた恵みを自分の手で染めてかたちにし、誰かへ届けることができた時、
豊かな循環の中で自分の仕事を役立てることができるよろこびを感じます。
今回は、お庭の恵みで染めさせていただいたリネンストールを、
その染料となる実際の植物と一緒に展示させていただきます。
〇風のケミストリー
今回はフクシマアズサさんの箒の飾り糸に、
お庭の植物で染めた糸を使わせていただいたコラボ作品を制作します。
装飾の部分まで土に還る素材で、
というフクシマさんの思いを出発点に、
ご一緒させていただくことになりました。
風のセレクションブースにて展示販売させていただく予定です。
和泉さんは、今回あちらこちらでフル回転!ですね。
昨年よりこのお庭に通い続けてくださっている中で育まれたものを、
このお庭で発表くださる、って、とてもありがたく、幸せなことなのです。
Q2
和泉綾子さんは、 何年に出展しましたか。
その時の印象に残る体験(感想)をひとつ教えてください。
A2
2016年に出展させていただきました。
工房からの風に出ることになったものの
自分の真ん中にあるものはなにか?
という根本的なことろでつまずいてしまい
半年ほどの準備期間はなかなか前に進むことができず、苦しい時間でした。
工芸全般に言えることだと思いますが、
一言で染織といっても、素材から技法まであらゆる世界が広がっていて
その中で、自分には確固たる背景や特色がないことにコンプレックスを持っていました。
今思えば、むやみにまわりと比べたり、
いずれ誰かが答えを教えてくれるんじゃないかと甘えていたのだと思います。
けれど本番まで時間的に追い込まれた結果、
ようやくやるべきこと、大切なことが浮かび上がってきました。
「今の自分が美しい、かっこいいと思う布をつくること」
というひとつの答えにたどり着いたのです。
工房からの風で出会ったひとたちや
それまでにもずっと励ましたり支えてくれたひとたちのおかげで
残りのハードな制作もがんばりきることができ、
本番は充実した2日間を過ごすことができました。
ずっと自分の作品、仕事、在り方に向き合い続けることも、
あの日、見渡したお庭のかがやく美しさも、
いつまでも忘れずにいたいなと思っています。
実質、9月に入ってからが手の稼働でしたね、和泉さんの場合は。
でも、出展が決まった春からの数か月にあった心の葛藤が、
その養分になったことと思います。
当日の二日間の和泉さんのとびっきりの笑顔!
今も忘れられません。
今年の出展作家の方!
今からでも集中してラストスパートをかけてみたら、
芽吹く寸前までいったものごとが、一気にかたちになっていくかもしれませんよ。
和泉さんの満面の笑顔を想像して、
皆さんにもぜひ実りある二日間を過ごしていただきたいと思っています。
Q3
木を素材として作られたもので、和泉さんの心に残るもの、
または、大切にしているものを教えてください。
A3
一番身近で大切なものといえば、やはり織り機です。
わたしの機は昭和47年に作られた木製のもので、
(譲り受けた時に当時の領収書が添えられていました)
縁あって2005年にわたしの元へやってきました。
古いながらも状態がよくきれいな織り機でした。
そこから10年ちょっと、
幸せなことに少しずつ機を動かす時間が増え、
筬を引くときに掴むところは、次第に深い飴色になり、
シャトルを滑らせる時に当たるところは、すこしずつ角が取れてきました。
部品が擦れたり当たりやすい箇所は無数の傷や跡がついています。
はじめは使いこなすのに苦労しましたが、
ながい時間を経て、いつしかそこかしこにわたしの手の跡が刻まれてきたのだと思い、
今ではとてもいとおしい存在です。
これからもこの織り機とともに時を重ねて、
たくさんの布を織ることができたら、
それはそれはしあわせなことだなあと思います。
織りをはじめ、ものづくりの道具には、木はとても多く使われていますね。
和泉さんのよき相方とも呼べる機。
ますます艶めいていくことでしょう。
和泉さんは、当日は素材の学校テント、オトナのワークショップテント、
そして、本部テントなどを中心に担当くださいます。
ホームページはこちらになります。
→ click
吉田慎司さん(風人)
では、風人さんからのメッセージ、はじまりは吉田慎司さんから。
吉田さんが出展くださったのは2011年。
もう7年も前なんですねー。
20代のほうき職人現る!と、衝撃の登場でしたけれど、
その後もコツコツ&広やかに活動を続けられて、
ほうきを、そして、ほうきを使う営み、暮らしから考えるものごとを、
多くの方に広められています。
「工房からの風」においても、私にとっては哲学や文学の文脈から
この展覧会を一緒に考えてくれる大切な作り手でもあります。
Q1
吉田慎司さんは、今年の「工房からの風」では、どのようなことを担当くださいますか?
A1
「一草一木」でのデモンストレーションです。
担当、もこなしつつ、出展作家さんや工房からの風がより豊かに、
次への展開へと繋がるように後押しをしたり、風を興すのが仕事だと思っています。
今回、おりひめ神社の奥に設けるテントは、「一草一木」テントと名付けました。
草や木にまつわる出展作家の方々の素材を展示したり、
デモンストレーションを行ったりします。
吉田さんは、このテントを中心に、素材と人の手の関わり、
人の営みについて日々考えていることを基調に、
人と人とが行き交う中で、面白い営みを展開くださると私も期待しているのです。
Q2
吉田慎司さんは、何年に出展しましたか。
その時の印象に残る体験(感想)をひとつ教えてください。
A2
2011年。
記憶に残っているのはお客様の印象ですね。
1つ言えば、3尋ねてくれるような、
深い思いと理解・関心のあるお客様ばかりで、
伝えたくてしょうがなかった自分としては、パラダイスの様でした(笑)
「工房からの風」に毎年来場くださる方には、ほんとうに工藝、手仕事に造詣が深く、
愛のある方が多いのです。
見てほしい、目に留めてほしいところこそ、ちゃんと見て、お気に留めてくださる方々。
作り手にとっては、まさにパラダイス!なんですね。
Q3
木を素材として作られたもので、心に残るもの、
または、大切にしているものを教えてください。
A3
何故か、最初に彫った木の事はよく覚えています。
小4の頃、落ちていた細い角材を削って剣
(を作ろうとしたけど、結果的に槍にしかならなかった)を作りました。
多分道具も小刀もなかったので、カッターかなにかで、1日かけて削っていました。
既製品に比べて形はいまいち。でも、自分では最高にかっこいいと思っていました。
それを翌日の帰りの会で発表したけれど誰からも、何も反応もない。
少し寂しかったような?
でも、なんでこの魅力が分からないんだ!とか、
怒ったりは全然しませんでした。
よく出来ていないのは自分でも分かっていたから。
ただその頃から、世の中には形がキレイなだけでも、
気持ちが入っていないものもある。
良い物を作っても理解されない事の方が多い。
それでも、自分の魅力的だと思うものに進む方が後悔はない。
など、色々学べた様に思います。
まあ、なんと思慮深い小学四年生!
そして、まっすぐ今の吉田さんにつながっているところがすごいですね。
吉田慎司さんはおりひめ神社奥の「一草一木テント」を中心に、
会場中で、出展作家の方々のサポートをしてくださいます。
会場内で見かけられたら、ぜひ角材の剣のことなど投げかけてみてくださいね。
ホームページはこちらになります。
→ click