2019年 第17回 工房からの風

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船ではなく小舟で

新緑の眩しい季節となりました。
ニッケ鎮守の杜の梅の木には、青梅がりんりんと実ってきました。

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千葉県でも緊急事態宣言が解除されました。
このお庭も閉園が解かれて、憩いの人々が行き交うようになっています。

募集の時点では思ってもみなかった社会状況になって、
「工房からの風」も、常にさまざまなことを考えながら進んでいます。
さまざまな工夫や皆様へのお願い事も生じるかとは思いますが、
現在、開催のために企画を進めております。

+++

企画を進める中で、スタッフそして風人(かぜびと)さんたちとzoomミーティングやメール、電話でのやりとりを重ねています。
風人さんというのは、出展経験がある作家の方で、企画や当日のサポートをしてくださる方々です。
その中で、とても印象的な話がありました。
船にまつわる話です。

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4月、例年では出展作家の「第一回全体ミーティング」を行っていました。
出席の義務はないのですが、例年9割以上の作家が万障繰り合わせて出席されます。
10月に向かっての入学式(学校ではありませんが!)や船出、出航式に捉える方もいらっしゃいます。
実際、この日に「はじめまして」を交わした作家同士が、切磋琢磨をする中で、ものづくりとして長く佳き関係を結んでいくことが多くあります。

+++

今年の「第一回全体ミーティング」では、「工房からの風」を島にたとえてみようと思いっていました。
この島は、こんな様子ですよ、こんなことが行われていますよ、こんな出会いの可能性がありますよ、と・・・。
そして、その島に向かうための準備の仕方、スケジューリング、島にたどり着いたときに有効なことがらをお伝えしようと思ったのです。
17回と会を重ねましたから、島でのことはおおよそお伝えできると思ったのです。
(もちろん、慣れることはなくて、毎回様子は異なってはいるのですが)

ところが、今年の島の様子を思い描くことができません。
島への想いはしっかりとあります。
けれど、経験したこののない新型ウィルス感染症が、10月の開催時にどうなっているのか。
予測がつかないからです。

開催に向かって準備をしていますが、いつも通りの運営はおそらく難しいことでしょう。
何を、どのように対策して臨むのか。
それによって、何がどう変わるのか?
企画者の想いだけではどうにもならない要素が生じています。

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風人さんとのzoomミーティングの時のことです。

「工房からの風」に向かう船への乗船券を、選考通過の作家にお渡ししましたけれど、
ほんとうに船に乗りますか?
とあらためて尋ねないといけないのではないだろうか?」

その私の言葉に異を唱えたのは、風人のNさんでした。

「工房からの風」に向かう時、私は連れて行ってくれる船に乗り込む気持ちはなかったです。
プロ、もしくは明確にプロを目指している作家であれば、ひとりひとりが船頭のはず。
小舟を自ら漕ぐ覚悟がなければ、プロとして作家にはなれないだろうから」

これは、私の中で大きな意識革命!となりました。
毎年、50名の作家を「工房からの風」の搬出までの時間を共にする中で、面倒をみるお世話係的な気持ちが生まれていたのかもしれません。
50人ともなれば、実にさまざまな方がいますから、なかなか手のかかる!(失礼!!)方もいて、どこかでその方に合わせて進行を考えてしまうこともあります。

同じ工藝作家であり、出展作家でもある人の言葉は重みがありますね。
むしろ同じ「船」に乗ってもらおうだなんてことが、そもそも失礼でした。
皆さん自ら櫂を持って漕いでいるのですから。
だとすれば、私がすることはなんだろう。
そう考えた時、島に向かって水先案内人としての役割を今一度整えること。
そして、今年の島はいつもと同じ状態ではないかもしれないこと。
航海中には時化や嵐に出会うかもしれないことをお伝えすることだと思ったのでした。

+++

島と舟のたとえを交えた私からの投げかけに、44組の作家が前向きに参加の意向を示してくださいました。
50組の内6組の方は、地域性やご家族の属性、関係性などで、今年の出展を辞退されました。
それぞれのご事情があって、きっと悩まれた果てのご辞退だと思います。
いずれ機が熟してご一緒出来る日が訪れることを願っています。
正直、もっと多くの方が見送られるかと思っていましたので、44組での構成はすごい厚みに思いました。
そして、多くの方々から、熱い、すばらしい思考、思索に基づいた丁寧なメールをいただきました。
以下に、幾つかのメールを一部抜粋して掲載させていただきますね。

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船と島のたとえはとても伝わってきました。
今年のこの状況を思うと、正直なところ不安でいっぱいです。
不安が大きく膨れ上がり、ぐらぐらと迷っていた時期もありました。
が、いつも未来は不確定で不安なものです。
だからこそ惹かれ、未来へと進みたくなるのだと思います。
私の船は、まだ進みは遅めですが、もう島に向けて動き出しました。
たどり着く島が定まらないことは承知の上です。
ひとつひとつ自分にできることを進める以外に私自身には選択肢がありません。
ともに進む仲間がいるのなら荒れた航海も乗り越えられそうです。
動き出したあとの過程が実りある積み重ねになることを確信しています。
出展希望です。
(ガラス)

 

私の作るものは全ての人の生活必需品ではありません。
それでも暮らしの彩りに、誰かの暮らしの糧になるものを作れたら…と思い制作しています。
誰も体験したことのない、この今だから何か出来るのではと考えています。
大きなことではなくても、小さなことから、誰かの暮らしに灯りを灯したい。
まだまだ小さな船の主の私ですが、稲垣さんの船を先頭に他の船主の皆さんと海へ出たいと考えています。
秋、開催されるかは誰も分かりません。
それでも、私は皆さんにご覧頂けるよう、変わらず制作していきたいと思います。
手を動かし 頭を使い 日々の暮らしに感謝しながら…。
(その他ジャンル)

 

ぜひ「出航」させていただきたく存じます。
現時点では全ての環境下において誰にも先が見えない状況ですので
大小あるにしても荒波の中へ進まないといけないと思っております。
何も準備せず出航して、突然の嵐に巻き込まれると転覆しますが
「たどり着く島」への航路も凪では無いことが予測できることはかえって良かったと思っております。
その中でどのように船を漕ぐかは作家自身によるところが大きいので
荒波の中での漕ぎ方を模索しながら進む時期なのだと思いながら制作しております。
今までも比較的波が荒い海で小舟を漕いできたと思っておりますが
数ヶ月で一変した海に一人で浮かんでいるのではなく、
稲垣さんをはじめ、出航しようと思う作家の方もいらっしゃることはとても励みになります。
ですので先行きが見えず航海が難しい時期に「たどり着く島」へ向かう切符をいただいたことはとても心強いです。
世の中の流れが大きく変わり、工芸や手仕事のあり方、伝え方を見つめ直すことが必要になったタイミングで切符をいただいたことは素晴らしいご縁です。
「たどり着く島」がどんな状況でも今回の航海をぜひ経験させていただき、より成長できればと思っております。
(染織)

 

出航する先は、昨年初めてニッケルコルトンプラザに訪れて見たあの島では無いと覚悟の上での出航です。
嵐の中の航海を楽しみながら挑みたいと思います。
と言うのも、工房からの風に参加が決まり、1月のミーティングに参加してから、以前よりも自分の中でものづくりへの意識が高まっているのを感じています。
惜しみなく手を動かし、出しきる、向き合う姿勢が大切だという事を学び、出来上がる作品や観て下さった方の反応等もみて、この数ヶ月で変化を感じていました。
10月がどのような発表の場所(島)になるかわかりませんが、私としては工房からの風まで残された時間で、どんな物が自分から生み出せるか、見てみたい気持ちが勝り、挑戦を続けたいと思っております。
(ステンドグラス)

 

1月のミーティングの時の風人さんのおっしゃったお話が印象的で心に残っています。
“工房からの風が自分に期待してくれているのに、自分が工房からの風に期待してしまっていた”
私も、“この出展で潮目が変われば”と精神的に工房からの風に寄りかかっていたことに気付きました…
春に予定していた自身の出展も全てなくなって、今までいかに作品を人にお見せし、その反応を喜びにして自分の力に変えてきたのかに気付きました。
他が先にあって自分があるのか
自分が先にあって他があるのか
自分の価値を他の何かで計ってはならないよ、
制作のモチベーションを他に置きすぎてはならないよ、と
何度も教えてもらっているような気がしています。
10月の状況が読めない中開催に向けて動いてくださっていること、ありがたく思っています。今年の時勢を感じながら、今できる作品を作っていきます。
(布)

 

新型コロナの影響で春の展示予定はすべてなくなりました。
「工房からの風」まで、展示の機会はありません。
こんなに長く展示が無いというのは、新鮮で貴重な時間だと感じました。
今はそれを逆手にとって、すでに取り組み始めていたり、
この先やってみたかった新たな試みに向き合うと同時に、製作全般を見直す時間に充てることにしました。
次の10年の製作へとつながる挑戦です。
小さな芽の形でもいいので、「工房から風」の場でお見せしたいと考えています。
先の読めない状況の中、ディレクターとしてのご苦労をお察しします。
例えどのような形であれ、現実の場で開催される限り、大切な発表の場として参加させていただきたく思います。
(木工)

 

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胸が熱くなりました。
これは、ほんの一部なのです。
心の成熟度がなんて高い方々なんでしょう。
「第一回ミーティング」をしていない中、未だ顔合わせが出来ていない方も多いのですが、既に「島」に向かって一緒に漕ぎ出している気持ちです。
状況を嘆くのではなく、状況の中での最善を目指すひとたち。

もちろん、正直に書けば、すべてがこのようなメッセージばかりではありません。
不安を多く綴る方もいれば、淡白な文章からはお気持ちが読み取れない方も数名はいらっしゃいます。
けれども、いろんな方がいるのが自然ですね。
それはいつもそうでしたし、一色ではないことが豊かさでもありますから。
それでも多くの方が、今までに経験したことのない社会状況の中で、考えること、哲学を深めることは、よいことなのだと思っています。

経験則や従来の常識にただ乗って進むのではなく、自らが漕いでいく力を蓄える。
それぞれが進むことで生じる波が、結果として周囲に、社会によい波動となっていく。
そんなことを希います。
そして、上に載せたようなメッセージを寄せてくださった方々の想いと実践が、よき連鎖になっていくといいなぁと思います。
不安も連鎖していきますし、希望も連鎖していきますね。
同じ連鎖であれば、実践を伴った希望が、今年の「工房からの風」を通して広がっていけるように、私たちは企画を進めようと想いを新たにしています。

この秋の「工房からの風」に向かって漕ぎ始めた44艘の小舟。
そして、風人さんたちと私たちスタッフ。
この航海が佳きものとなるように、そしてその実りが使い手の方々の喜びにつながれるように、どうぞ見守っていただけたらとお願いいたします。

航海日誌?的に、時々こちらも綴っていきますね。
そして皆様、このような中ではありますが、どうぞ心身お健やかにお過ごしくださいませ。

(画像は「ニッケ鎮守の杜」の今年の花や果実。
季節、季節を伸びやかに生きていますね)

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今年度出展予定作家の皆様へ

今年度出展を予定されている作家の方へは、第一回ミーティングの開催日変更等のお知らせしておりますが、新型コロナウィルス感染予防への対策のため、現在、再度調整を行っております。

近日中(3日以内を予定)に、あらためてご連絡をさせていただきますので、今しばらくお待ちくださいませ。

どうぞよろしくお願いいたします。

応募
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二次募集のご案内

2月20日(木) ~ 3月10日(火)

今年度工房からの風への出展作家募集を行います。
25組

詳細はこちらをご覧ください。
→ click

1次募集で決定した出展作家は26組。
ジャンルはこのようになっています。

2020年2月20日(木) ~ 3月10日(火)

陶磁  4
ガラス 5
布   4
木工  5
金属  1
革   2
その他 5

二次として特に希望するのは、
織、染の作家
金属、装身具の作家
です。
もちろん、どのジャンルであっても、魅力ある作家のご応募を心よりお待ちしています。

今、これをお読みの我こそは!という作り手の方。
または、工房からの風が適していると思われる方をご存知の方。
具体的には誰かを知らないけれど、ぜひ、工房からの風で魅力ある作家と出会いたいと思ってくださる方。
ぜひ、口コミ、ブログ、SNSなどで、お広めいただけますと大変ありがたく思います。

秋の日の実りに向けて、豊かな出会いを願っています。

HAPPY2020
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2020

明けましておめでとうございます。

2020年千葉県市川市は、晴れやかなお正月となりました。
「ニッケ鎮守の杜」の梅の蕾もふんわりと。
春の足音がほのかに聞こえてきました。

1月2日には、おりひめ神社で毎年行われる歳旦祭を。
宮司さんのもと、ニッケコルトンプラザの方々とともに新年の祈願をいたしました。
今年もこの場を介して、豊かな育みが行われますようにと心を澄ませて祈願いたしました。

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「galleryらふと」では、1月、2月、3月のワークショップのお申し込みを始めました。

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1/25 (土) 「鎮守の杜の色暦 – 枇杷」
佐藤亜紀さんと染める糸

2/11 (火祝) 「繍 ぬいとり – 春の図案」
繍 ぬいとり、羽田久美子さんによる刺繍

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3/1 (日) 「ガーデン文様のフェルトポットマット」
KUUSI6、大楽久美さんによるフェルト

です。
お申し込みはこちらをご覧の上、お待ちしております。
→ click

HAPPY2020

「工房からの風」は一次募集による出展作家が26組決定し、
きっと、心新たに秋に向かって、制作の手を豊かに整えていらっしゃることと思います。
1月末には、初めての1次で決定した出展作家の方々でのミーティングも行うことになりました。
北海道から沖縄まで、さっそく20人以上が集まることに!
風人さんも合わせると1月から40人近い作家が集まって、秋の実りに向けて歩を進めます。

10月17日18日の今年の工房からの風、
新しい手帳にぜひ、チェックを入れてくださいね。

応募
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第一次選考行いました

来秋の工房からの風への出展作家選考、
第一次を締め切り、選考を終えて、結果の封書を投函いたしました。
(応募された方で、結果の封書が年内に届かない方がいらっしゃいましたら、ご一報くださいませ。)

ご応募くださいました作家の皆様、
応募を広めたり、すすめてくださった方々、
ありがとうございました。

応募数は昨年よりも多く、内容が幅広く魅力的なジャンルからあって、
例年以上に力のある作家の方々からのご応募をいただくことができました。
すでに開催が楽しみになってきました。

二次募集は2020年2月20日(木) ~ 3月10日(火) に行います。
今回、応募に間に合わなかった方、または、今回選外になられた方で、再度ご挑戦くださる方、
そして、周りで工房からの風が適していると思われる作家をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜびご案内をお願いいたします。

今年もあと1週間と少し。
ニッケ鎮守の杜の桜の枝先にも、蕾が形を成し始めています。
来年という新たな時間に向かって、準備が始まっていますね。
皆様どうぞお健やかに年末をお過ごしくださいませ。

応募
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一次募集12月1日より

あっという間に、今年度開催から1カ月!
そして、12月1日からは次回への出展作家募集が始まります。

開催は、2020年10月17日(土)18日(日)。

第一次募集期間
2019年12月1日(日)~20日(金)
50名(組)出展のうち、max25名(組)までを選出します。
年内に決定いたします。

第二次募集期間
2020年2月20日(木)~3月10日(火)
50名(組)から一次募集で決定した人数を引いた人数を選出します。

応募資格
・展覧会として充実した作品内容、点数を当日に出品し、展示販売ができる人。
(目安として、1800mm×3600mm程のスペースで、2日間充実した作品展示ができること)

・会期中、会場で自らのブースに滞在し、搬入、搬出を自らできる人。

・野外展であることを認識の上で展示構成ができる人。

・趣味としての制作ではないこと。 作り手本人の作品であること。

・作品は展示販売のみで、受注販売ではないこと。

・初出展作家は、会期の前後2週間以内、
複数回出展作家は、会期の前後10日以内に(10/7~10/28)
個展、または規模の大きな企画展への出展がなく、「工房からの風」に充実した出展が叶うこと。
次回より2週間としました。(従来は3週間でした)

・今回が「工房からの風」に初出展となる場合、開催当日が50歳未満であること。

・一次選考から外れた方の二次選考への応募は可能です。

・2018年と2019年に出展した方は応募できません。

一次での応募をおすすめします。
理由は、

年内に出展が決定して、来年の予定が立てやすいこと。
一次で決定した作家構成を考慮して二次の選考をしますので、
ジャンルが被ると、二次選考は通りづらい場合があること。
が、主な理由です。

開催前後の他催事への出展がないことを理由にしているのは、
工房からの風に惜しみなく出展いただきたいから。
その意味は、出展経験作家は実際の肌感覚としてご理解いただけると思うので
前後10日と短くなっています。
そもそも、在庫が潤沢にあるようなお仕事ではありませんから、
連続して来場者様の多い催事に出展するのは無理があると考えています。

ご応募、ぜひご検討ください。
こちらのバナーもご活用いただき、ぜひお広めいただけますと幸いです。

応募

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col tempoさんより

おはようございます。
今朝は雨の朝。
私の方は、少しずつ日常に戻りつつも、風の余韻にずっと浸っております。

昨年末、選考通知を受け取ったときから
ずっと工房からの風に想いを馳せていました。

初めての全体ミーティングでいただいた多くの大切な言葉たち。

香田佳子さんの「工房からの風は言葉を大切にする会です」
大野七実さんの「つくるだけでなく、心を耕す時間を」
稲垣さんの「比べない、いじけない、ケチにならない」

途中、稲垣さんからの電話でいただいた言葉、
「自分の尊いと思うことをやって!」

この言葉たちをずっと心に留めていました。

そして個人ミーティングでは、
作品のことよりも、私が悩んでいた
育児家事と制作のバランスについて、多くのアドバイスをいただいたように思います。
この当時の私は、子どもがいること、
制作が1番の生活にできない自分の置かれた状況が嫌でした。
他のご夫妻の作家方々の経験されてきた過程を教えていただき、
前を向くきっかけになった気がしています。
心持ちを明るくしたら、ずっと待機していた保育所に入れると市から連絡があり、
そのタイミングに驚きました。

晩春から初秋にかけて、心を耕す時間を、
本を読んだり家族とのひとときを大切にして過ごしていたら、
自分の手から生まれるものが確かに佳い変化をしているのを感じました。
そして、日々の暮らしの中に、ものをつくることがある幸せを感じることができるようになっていました。

直前までふわふわと、幸せだなぁと感じながら制作をしていました。
そして稲垣さんがブログに書いてくださった言葉、
「やりきった晴れ晴れとした表情で、みなさまを迎えてくださることでしょう」
私もそう信じて疑いませんでした。

ですが、直前に起こった台風での甚大な被害。
気持ちが、心が、とまってしまいました。
親しい人に被害はなかったのだけれど、
あまりにも大きな被害に心が大きくゆらぎ、そこから手もとまってしまいました。
本当は、出展の直前は作品と想いを伝えることに注力しようと準備していたのです。
でもうまく言葉にできず、自分のしていることを声高に伝えることが苦しくも感じ、言葉にだすことができませんでした。

そしてその混沌とした気持ちのまま千葉へ向かいました。
道中、主人にその混沌とした想いを打ち明けて少し心が軽くなり、
そしてお庭で稲垣さんや風人の方々、そして出展者のみなさんと久しぶりに顔をあわせて、そして少し言葉を交わして、、

あぁ、ここに無事こうしてみんなで集えているんだ。

その実感が湧いてきて、いつのまにか元気に、心が軽くなっていました。
前日搬入を終えたあとは、もう本番を迎えるのが楽しみで楽しみで!

そして迎えた土曜日の朝。
雨なのはわかっていたので、さほど気にせず搬入に向かいましたが、
お庭について目を疑いました。

稲垣さんや風人さんや初めてお顔を拝見するみなさんまで
必死に水をなんとかしてくださっていた姿をずっと横で気になりながら、
自分の作業をすすめていました。

しばらくして、一気に水がひいていったときには、感動しました!
そのあとも残った水を丁寧に最後まで取り除いてくださって、
稲垣さんや風人さんのお顔をみるとみんなびしょびしょで、、、
このあと自分のブースの担当やそれぞれのお仕事の本番前なのに、
水浸しになるのも構わず懸命に動いてくださっているその姿をみて、
私にそんなことができるだろうか、なんて強い人たちなのだろうと。

開いてみると、ほんとにあっと言う間。
これほどまで自分のブースを離れられないことは初めてでした。
離れてもいいと思わせない、見てくださる方の真剣な姿勢。
話をすると、つぎつぎに質問が返ってくる。
私の想いを真剣に受けとめて聞いてくださる。
なんて、温かいのだろう。
心が震えっぱなしでした。

いつもは椅子に座ってぼぉっとしている主人も、
今回は一度も座らず、ずっと接客をしてくれていて私も驚きました。
後でそのことを聞いてみたら、
「みんな説明をしっかり聞きたがっていたから」と。
来場者の方々の真剣な姿勢が、私たちの側にもとても佳い影響を与えていて、
集っているひとが真剣な想いを伝えあって互いに響き合う。
なんて稀有な場なのだろう。

火がテーマの今展、
鈴木さんのロウソクに火を灯してみて、
その色をイメージして染めた「火の色」を制作していました。

炎のゆらぎをもとに、ベースに黄色を、
その上からオレンジをまだらに染めて仕上げた火の色、
私のお気に入りでしたので鈴木さんのロウソクとともに
1番前にディスプレイしていました。
この火の色のコインケースを手にとってお選びいただいた方が

「これに元気をもらって、またがんばります!
元気のでる色よね!」

そうおっしゃってくださる方がいて、
はっと思って尋ねてみました。

やはり、
先の台風でご実家に大きな被害があったことを
目を潤ませながらお話してくださいました。

素敵なものをみに出かけて元気をだそう!と思って
足を運んでくださっていたことも。

私の手から生まれたものに、
元気や勇気や幸せを感じてくださる方が本当にいて
その想いを伝えてくださる、
なんて、なんて、ことなのだろう。と。

ものの力を信じることができた瞬間でした。

17回目。
稲垣さんをはじめとするスタッフの方々、
先の作り手の方々、ご来場くださる使い手の方々、
たくさんの人の想いが積み重なって熟成されてきたあの場所に立たせてもらえたこと、
とても有り難く、財産となる経験をさせていただきました。

こんなにもいろんな人の想いが重なって1つになる場所。
温かくて、尊い空間。

とっても長文になってしまいました。
ただまだまだお話したいことがたくさん。
どれだけ書いてもきりがないほど湧き上がってくるので、このあたりでひとまず、、。

稲垣さんと出逢えたこと、
風人さんたち、同期の出展者の方々と出逢えたこと、
私の一生の財産となりました!
そして、とっても幸せな日々を過ごすことができました!
私、火の回でよかった!!

心からの感謝を込めて。

土居 祥子

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フィレンツェで出会った革工芸に惚れ込んで、学び、制作発表を始められた土居さん。
熱く!長く!丁寧なメールをくださいました。

選考結果を受け取ってから、出展、そして帰宅してからの想いを走馬灯のように綴ってくださいました。

ケチにならない。
って、言いましたね―。
やると決めたら、惜しみなくやりましょう。
惜しみなくやってみてこそ、今見えていない何かが見えるはず。
そんなことを、今までの出展作家の何人かの姿から学んできました。
土居さんも、まさにその殿堂入り!
真剣、こそ楽しい。
土居さんのものづくりの手の技術も、心の土台も、
この経験を通してどれほど進化、強化されたことでしょう。

同じ会に出展しても、50人ならば50人の感想があります。
それが健全、自然。
その中で、思いっきり取り組んだ人には、思いっきり何かが返ってきているのだと思っています。

土居さん、風人になりたいって申し出てくださいました。
風人さんは、近隣の作家の方でお願いしていますので、
今の風人さんと同じような役割ではお願いできないのですが、
近隣ではない、この場に想いを寄せてくださる方々の
まさにその想いや力を結ぶような仕組みを考えてみたいと思いました。

土居さん、メッセージをお寄せくださり、掲載の許可をありがとうございました。
col tempoさんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click

+++

先ほど、手の技術も、心の土台も、と書いて気づいたのですが、
きっと、今展の前だったら、心の種火、とかいていたような気が・・・。
土台。
木火土金水、すでに火から土へと向かっている??
我ながら、ちょっと驚きました。

今年は、種火、灯す・・・が会の底流にある言葉でした。
来年は、土台、耕す・・・を想いながら、企画を進めましょう。

はい、いよいよ、一次募集が12月1日から始まります。
→ click

土台を見直し、大切に。そして、その土台を耕すような出展経験をぜひに。
耕すとは、土に風を送ること。
工房からの風、をぜひ制作の進化成長に活用ください。

火の次の土の年、私たちは、何を耕し、その先に何を見るのでしょう。
まだまだご紹介したいメッセージがたくさんあるのですが、
「凪ぐ浜の宝もの」、そろそろこの辺で閉じましょう。
10月も終わりますものね。

11月。
さっそく2日、3日、4日の3連休には、
galleryらふとで、風人さんたちによる企画展
「風のクリスマス」を開催します。

Anima uni|金属
大野七実|陶
CHIAKI KAWASAKI|金属
ナカヤマサトシ|木とドライフラワー
森 友見子|再生紙

2日は、出展作家5名、3日は川崎さん、
ひょっこり七実さんなどは、2日以外にも在館くださる予定です。

稲垣は3日の午後以外は在館しています。
秋のお庭で、風のクリスマスを一足早く感じながら、
これからのことをお話ししましょう!

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文庫テント

文庫テントは、長野麻紀子さん(Anima uni)と松塚裕子さんが創ってくださいました。
本のリストが知りたい!
というリクエストも多数いただきましたところ、
松塚裕子さんからまとめたリストと、メッセージをいただきました。

+++

文庫テントは、風人の皆さんからの大切な本をお貸しいただいての展開となりました。

お立ち寄りくださる方、ご意見、反応さまざまでした。
ぜひ毎年やってほしい、
こういう企画はここでしか見ることができない、
とおっしゃってくださる方。

熱心に本のメモをとってゆく方。
全体を写真におさめてゆく方。
なつかしい!と言って手に取ってくださる方。
本をひらいて、涙する方。
いずれも、やはり言葉の世界に敏感な方がゆっくりされておられる印象でした。

出展作家の方でお立ち寄りくださった、
二井内さん、片田さん、土居さんと、
お話できたこともありがたかったです。
(もしかしたら、私が把握していないだけでまだおられるかもです!)
工房からの風のたいせつにしているところ、
同じように大切に想って出展くださっているのが伝わり、ほんとうにうれしかったです。

目立つテントではありません。
作品やワークショップがならぶ野外展では、むしろ少し不思議な存在だとおもいます。
けれど、作り手の思考に触れたい方、
作品の奥にある何かを見たいと思って足を運んでくださる方が確実にいる。
そこに大きな励ましを、まるで私自身が頂いているような時間でした。
ささやかに、でも確かに火が灯るような静かな瞬間をいくつも見ることができたこと、
嬉しく思います。

本を提供してくださった風人のみんなが、
当日はなかなか忙しくてゆっくり見ることがかなわなかったかと思います。
色々な方から、ぜひ紹介した本のリストが欲しいというお声を頂きましたので、
一覧としてまとめたものをお送りします。
ぜひ、出展者のみなさまに、来場者や工房からの風にお気を留めてくださっている方々に向けてもブログに掲載いただけましたら幸いです。

アトリエ倭
原色インテリア木材ブック   宮本茂紀
スキップ  北村薫
最初の質問 長田弘 いせひでこ

永盛千賀   
葛西薫の仕事と周辺  葛西薫
わたしのワンピース  にしまきかやこ
茨木のり子の詩集   茨木のり子

川崎千明
わすれられないおくりもの   スーザン・バーレイ
どうぶつのあしがたずかん
文・加藤由子 絵・ヒサクニヒコ 慣習・中川志郎
バケツでごはん  玖保キリコ

和泉綾子
色を奏でる  志村ふくみ
すこやかにおだやかにしなやかに  谷川俊太郎

森友見子
海からの贈物  リンドバーグ夫人
センスオブワンダー  レイチェルカーソン
よあけ  ユリー・シュルヴィッツ

磯敦子
青春を山に賭けて   植村直己
智恵子紙絵    高村智恵子
長くつ下のピッピ   アストリッド・リンドグレーン

フクシマアズサ
GOLEM   David Wisniewski
生きる  小野田寛郎
「ない仕事」の作り方   みうらじゅん

谷田貝陵子
THE ATLAS OF BEAUTY    MIHAELA NOROC
さむがりやのサンタ   レイモンドブリッグズ
ザ・ストリートスタイル   高村是州

大野七実
いのちの窓   河井寛次郎
ばらに贈る本   鈴木省三
はっぴいさん   荒井良二

吉田慎司
春原さんのリコーダー   東直子
フラワーズカンフー   小津夜景
hibi   八上桐子

岡林厚志
おおきなきがほしい
文 佐藤さとる 絵 村上勉
シェーカーへの旅   藤門弘
魔女第2集   五十嵐大介

大濵由恵
一日江戸人   杉浦日向子
ほのぼの革小物教室   大濱由恵

vanilla
装苑
ゴールディーのお人形   M.B. ゴフスタイン
小鳥の贈りもの

勢司恵美
西表島フィールド図鑑

nomama
触れもせで‐向田邦子との二十年‐  久世光彦
チャーちゃん   保坂和志
ヘンな論文   サンキュータツオ

長野麻紀子
よあけ  ユリー・シュルヴィッツ
吹上奇譚    吉本ばなな
長い旅の途上  星野道夫

松塚裕子
ことばの食卓 武田百合子
ぶらんこのり   いしいしんじ
よるのかえりみち    みやこしあきこ

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私自身、美術からこの世界に入ったわけではなく、
文芸の世界から気づけばここにいた、という感じです。
でもそれはとても自然なことで、古来より作り手の中には、
佳き書き手も多く存在しているのでした。
手と文章。
これらの豊かな在り方は、工房からの風でずっと大切に想っていたいこと。
そして、長野さん、松塚さんには、常々、書くことも続けてほしいと願っています。
そんなことで二年続けて「文庫テント」をご担当いただいたのでした。
ご自身の制作のほかに、ご苦労が多かったことと改めて思います。
ありがとうございます!

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最後に、ごくごく個人的なストーリを。

今年、文庫テントで一冊の絵本と出会いました。
よあけ
ポーランド人のユリー・シュルヴィッツ作の絵本。

長野さんと森友見子さんの選んだ大切な本。
今、この本をぜひ贈りたい。
そう想うひとがいて、そのために写メを撮ってその場を後にしました。
二冊を買って、一冊をそのひとに、そしてもう一冊は自分自身にと。

工房からの風が終わって1週間後。
巡ってきた私の誕生日に、その人から贈り物をいただきました。
包みをひらけば、そこに「よあけ」が。

寄せられたメッセージには、
「文庫テントで出会った絵本がとても美しかったので、
稲垣さんとお揃いで持てたら・・と思いお贈りさせていただきます」と。

まったく同じように思っていたこと。
驚き、そして、どこか嬉しさの泣き笑いのような気持ちになったのでした。

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文庫テントでは、上記のリストのように、
作家たちのさまざまな心を育んだ本が二日間揃いました。
会期が終わり、それらの本は再び持ち主のもとに戻っていきました。
けれど、二日間の「出張」が、幾つかのストーリーを生み、
どこかのだれかの心をこれから育んでいくように思います。
当日ご覧になれなかった方も、
このリストからストーリーが生まれていくかもしれませんね。

 

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素材の学校テント

素材の学校テントを担当してくださったのは、
森友見子さん、磯敦子さん、フクシマアズサさん、谷田貝陵子さん。
授業はほかに、川崎千明さんも加わって充実の構成でした。

校長先生といつのまにか呼ばれている!森友見子さんからレポートいただきました。

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素材の学校では、こども達のワークショップブースとして2つのテントで4時間ずつ、
革の時間、ほうきの時間、綿の時間、紙の時間、金属の時間、綿と紙の時間を行いました。
どの時間もこども達がものつくりを楽しめるように心を込めて準備しています。

始めた当初は何度も会場アナウンスで参加者を呼びかけましたが、
今では受付にこども達が集まり、毎年楽しみに来てくださる子も増え嬉しい限りです。
また先生をやってみたいという作家の方までも現れ、楽しいことになってきました。

2日目の最後には課外授業として、
こども達とテントを飛び出して手仕事の庭や作家テントを見て回る、
キッズ庭めぐりツアーを行いました。

いくつかの作家テントにおじゃまして2つの質問をします。
「素材はなんですか?」
「なぜその素材を選んだの?」
少し恥ずかしそうな作家と興味津々のこども達の目。
私たちがしたかったこと、こども達と作る人との出会いが確かにありました。
こども達にわかりやすく説明してくださり、
またお土産の素材のかけらをご用意してくださった作家さんも!
ご協力いただき、本当にありがとうございました。

森友見子

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コルトン広場、モニュメント周りの二基のテントが素材の学校。
作り手が、所謂こどもだましではなく、本物の素材を使って、
真剣にものづくりを行う時間。

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ここ数年取り組んでいる「キッズツアー」。
日曜日の最後のプログラム。
こどもたちを連れて、数名の作家のブースを訪問する企画。
この画像は、藍のあをのようさんのところですね。
ほかに、

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木・竹・漆の中村理さんのテントなども巡ったツアー。
どのテントでも真剣!こどもたちも、作家さんたちも(そしてご父兄も!)

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締めは、竹細工の㔟司恵美さん。
青竹まるごと一本からヒゴを割り出していく、
豪快な仕事をたっぷり見ていただきました。

周りの方たちも、目が輝いてしまう恵美さんの手技と口上!

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今回は、このようなドームまで拵えて、キッズツアーの締めを飾ってくださいました。
これは、恒例にしてほしいなぁ。。。

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初期から参加くださった森友見子さんとの話し合いから始まった素材の学校。
簡単なキットがあってのイベント的ものづくりではなく、
素材そのものに親しんで、なるべくものづくりのレアな部分に触れてもらおう!
という想いをもって始まりました。
とはいえ、商業施設内でのイベントですし、
定員があること、時間に限りがあることも含め、
プログラム構成にはいつも風人さんたち、頭を働かせてくださいます。

「いつか、素材の学校から出展作家が出てきたらいいね―」
森校長先生!ぽかぽかの笑顔で言いますが、
ええ、きっといつかそんな出展作家が出てきてくれますよ。

ゆっくりじっくり始まった「素材の学校」ですが、
森さんの言葉にもあったように、
先生をやってみたい!
協力したい!
という作家さんも増えてくれました。
この企画テントがあることも、「工房からの風」の
重要な個性のひとつになってきたんだなぁと、

今回改めて思ったのでした。

さぁ、来年はどんな先生で、どんなプログラムが生まれてくるでしょう!
愛あるアイデア、お待ちしています!

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岡野達也さんより

12月25日にプレゼントのように封筒が届いたのが10か月前。
2回目の展示になるので前回の反省から入りました。

前回の出展では、自分が今後どういう方向で進めていくか展示出来ていなかったこと。
期待するのではなく、期待されるような展示を心がけて臨まなかったこと。
このことを心に留めて準備していこうと決めました。

期待されるような展示って?
改めて考えると、ん?ん?でしたが、僕なりの仮説・解釈ですが、
またこの人の展示会があるのなら、足を運びたいと思ってもらうこと、
そう思い続けて貰えるように積み重ねていくことかな?と解釈しました。

そこを踏まえて、今回の展示は定番品を中心に、
限定品や普段はやらないことをして、自分なりの遊び心を入れて準備をしてきました。
結果は次の展示か、またその次の展示か、
いつになるかわかりませんが、この積み重ねだと思っています。
稲垣さんや風人さんが、結果はすぐに出るわけではなく、
数か月後、一年後、二年後にでることもあると言っていたことがストンと腹に落ちました。

今回出展をして、こういう自分なりの考えが出ただけでも出展して良かったと思っています。
違うのであれば修正すれば良いし、信頼できる相談者もたくさんいるし、
工房からの風に関わる事が出来て本当に良かったと思っています。

初日に天気が良くなかったので、サポート側の大変さは分かっているつもりです。
みなさんが親身になって良くしてくださったので、僕たちは安心して出展に集中出来ました。
感謝しています。
ありがとうございました。

岡野 達也

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岡野さんの言葉はとても滋味深く。
どこかから引っ張ってきた言葉ではなくて、
自ら絞り出した実感がずしりとこめられた言葉。
だから、何度も読み返してしまいます。
平易な言葉の中には、本物しかありません。
その意味や想いをしっかり感じ取ろうと思って。

初めて出展された後の言葉。
「期待するのではなく、期待されるような展示」
の意味。

そして、今回の
「この人の展示会があるのなら、足を運びたいと思ってもらうこと、そう思い続けて貰えるように積み重ねていくこと」
「結果は次の展示か、またその次の展示か、いつになるかわかりませんが、この積み重ね」
という考え。

不言実行、終わったあとで深く考え、問われれば応えてくれるひと。
岡野さんの作品が、じっくり進化していく理由がわかるようなメッセージでした。

優しくって力持ち!の岡野さん。
風人さんたちが、また戻ってきてくれるよねーと、
熱烈ラブコールが届いていること公開でお伝えいたします!

岡野達也さんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click

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五行テント「火」

五行テントを担当くださったのが、
陶芸の大野七実さん、木工の岡林厚志さん、箒の吉田慎司さん。
吉田慎司さんからレポートをいただきました。

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五行テント「火を巡るものづくりの旅」

・五行テントについて

五行テントでは、工房からの風16回展から20回展に向けて五行「木火土金水」をテーマに構成していきます。
昨年は「木(一草一木)」今年は「火」がモチーフでした。

工芸の内側をより深く理解して戴くために手仕事の素材や背景をご紹介する事が目的です。
今年は、大野七実・岡林厚志(hyakka)・吉田慎司(中津箒)、三人の風人が企画・構成しました。

・「火」をどう考えるか。「心の火」

「木火土金水」は、木が火を生み、灰が土を育み、土から金属が生まれ、金の表に水が生まれる…
という森羅万象が支え合って世界が循環している、というような考えを手仕事と重ね合わせる企画ですが、
今年の「火」は、「素材」ではなく「反応」、化学現象という事が課題でした。

ただ、火の在り方に自然の理を感じ、作り手が共鳴する事には変わりがありません。

「継火」と言われるように、誰かが火を受け継ぎ守りながら、何十年、何百年と営みは続いていく。
新たな風と燃料によって少しずつ、対話をしながら「種火」を育み、生きている火を大きくしていく。

そんな風人同士の対話の中で、話は抽象性を高めていきました。
作家の「心の火」に触れ、ご来場の皆様と共有するにはどうしたらいいか。
そこで、作家さんの工房を訪れ、取材をする事になりました。

お訪ねしたのは、ろうそくの作家の鈴木有紀子さん。
鈴木さんは、ウィンドウディスプレイで見た…などの些細なきっかけから、ひたすらに自ら考え、創作し、道を拓いてきた作家さんです。
溶け方、透け方、形、実験室のようなアトリエで、日々試行錯誤を繰り返しています。

工房からの風当日は、三人+鈴木さんの対話の中で、印象に残ったエピソードをまとめ、パネル展示しました。
そこには、多くの作り手に響く、手仕事のエッセンスが凝縮されていました。

文・ 吉田慎司
写真・岡林厚志

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五行をテーマに五年間、という提案をしましたが、
こうして我がこととして引き取って、私の想像以上に取り組んでくれた3人。
その3人の取り組みから、多くの人へ手渡ったものがありました。
まさに、「火を継ぐ」営みだったのではないでしょうか。
吉田慎司さんからは、合わせて、感想、メッセージもいただきました。
私信でしたが、許可をいただきましたので、
以下に一部を転載させていただきますね。

+++

今回も、誠にありがとうございました。

例年に増して、すごく得るものの多い二日間だったように思います。

初日は生憎の天候。
初めての作家さん、はるばる来た作家さん、気持ちの落ちてしまう方がいないか…?
残念がっている方がいないか…?
という事が何より心配だったのですが、神社の周りや庭には誰1人として、
下を向いている人はいなかったように思います。
工房からの風への思いが、作家さん、コルトンの皆さんにまで
深く伝わっている事に既に感動していました。

今年もこの場所があるんだ…!と、
水たまりを歩きながら、強く噛みしめていました。

オープンの瞬間には晴れて、祝福されているような気持ちでしたね。

更に二日目は、レイアウトを大きく変えて、本当に花が咲いたようで…
昨日雨だったから、などではなく、今日を精一杯に花開こう、形にしよう。
という意志を感じて、またすごく嬉しくなりました。

手仕事の面白さ、深さ、熱さ。
皆が抱えているものが、本当に生々しく形になる時、
手仕事の世界はもっとおもしろくなるし、
新たな作り手も竹のように次々と伸びてくるのだと思います。

誠実な作り手が等身大のまま真っ当に受け入れられる世界にこそ、
自分の作ったものがあるようにしたいと思っています。
自分だけではなくて、真剣な全ての作り手が報われる世界でこそ、
ものを作り、語りたいと思っています。
そこは譲りたくないですね。

そんな事もあって今回は、素材の魅力、深さ、
奥行きを幾らかでも紹介出来た思いがあり、
夢を少し叶えさせてもらった気持ちです。
(勿論、続けていくこと、営み自体が目的なのですが…!)

自分が変わったのか?分かりませんが、
いつもより数段、作家さん達とも心を通わせられた感触があります。
こんな思いの種を持った作り手の皆さんが、全国に帰られ、
心の火を大きくしていく事を思うと、本当に大きな希望を感じます。

吉田慎司として、箒屋として、作り手として、
この場所の歴史が1つ進んだ事に感謝しています。

帰ったら、札幌はもう冬の風でしたね。

皆様も大変お疲れかと思うのですが、何卒ご自愛下さい。
今後とも、工房からの風で生まれた美しい景色が続き、
広がっていきますよう!心よりお祈りしています。

吉田慎司

+++

吉田さん、ありがとうございます!
吉田さんからは、いつも「自分」ではなくて、
他者や社会への温かくも冷静なまなざしを感じます。
吉田さんのまなざしも、影響し合って、他の出展作家へと継がれていくのだと思います。

今回は、多くの出展作家が「種火」について考えてくれました。
日々の制作、暮らしの中でその種火がくすむときもあるかもしれません。
でも、そんなときは、ぜひ今展のこと、五行テントでの3人の作家の展開、
思い出してくださいね。

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上の画像は、日曜日のトークイベントの時のもの。
陶芸作家の小泉すなおさんが撮ってくださいました。
すなおさんも、ありがとう!

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三温窯さんより

こんばんは。
三温窯の佐藤です。
ミーティングから会期中と大変お世話になりました。
昨晩遅く無事に秋田に戻りほっとしているところです。

出展は自分にとって初めてのことが多く
どんな作品をどんな展示にしたらいいかとかなり考え悩みました。
結論として普段自分が作っているものをじっくり見て頂くことにつきるという考えに至り
作り手として使い手に何を伝えたいかを自問自答を繰り返し制作をしてきました。

器を作るために、土・灰の各材料の準備に制作時間の半分を費やします。
今回、五行テントで三温窯の制作のストーリーを作り手として
お伝えする機会を得ることができ、大変嬉しく思いました。
一つの器が出来るまでの作り手側のストーリーと
使い手側のこれからのストーリー、
それぞれ器を介してストーリーを繋ぐ展示が出来たのではないかと思っています。

この経験は次の制作に向けて大きな活力となるはずです、
これからも伝えることができるよう作陶していきたく思っております。
ありがとうございました。

秋田にお越しの際は是非お立ち寄りください。
交通が不便な所ではありますが最寄まで迎えにあがりますので
遠慮なくおっしゃって頂けると幸いです。
またお会いできる機会を楽しみにしております。

三温窯 佐藤幸穂

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秋田から、首都圏の大きな催事に初めて出展された佐藤さん。
個人ミーティングも早めに行って、意気込みも十分、
準備にも力を注いでくださっていることを感じていました。
ほんとうは秋田の三温窯をお訪ねしたかったのですが、
それが果たせずに時間が過ぎていきました。

個人で始めた作家活動と違って、
お父様が築いた窯で共に制作を継ぐひとの仕事に対して、

同じようなアドバイスはできないと感じていました。
お父様の意思や、それを継ぐ幸穂さんの想いの先に実っていく仕事。
現在の純朴な窯の在り方と、これからの時代での在り方・・・。

折々電話で話したりもしましたが、どれほどの力になれたか心許なくもありました。
けれど当日、関東に暮らす弟さんのサポートのもと展示を行った佐藤さんの姿には、
私の心配など杞憂でした。
しっかり焼かれた使い心地のよさそうな陶器を並べて、堂々とお客様とお話を重ねている姿は清々しかったです。

そして、五行テントの企画との連動で、土や灰づくりから行う制作について、
ご自身のテントでも展開してくださったのもすばらしかったですね。
三温窯、しっかりと伝わっていました!
これからも今の窯の豊かさを尊重しながら、新たな使い手と豊かに出会える三温窯でありますように。

三温窯さんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click

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