director's voice

内田美紗子さん(金属・七宝)

しばらく器の作家のご紹介が続きましたね。
今年も器の作家、とても充実しています。
そして、彫金・アクセサリーのお仕事もさまざな素材や技術を持った方が
たくさん出展くださいますよ。
その中のお一人、内田美紗子さんは、群馬県桐生市で
kusumiという工房名で作品を制作されている方です。



Q
内田さんは、「工房からの風」に向かって、どのような作品を作られましたか?

A
七宝焼きという工芸の技法を使った色とりどりのアクセサリーです。
金属板を一枚、一枚切り出して、少しずつ丁寧にガラス質の釉薬を焼き付けています。
出来上がった小さな七宝焼きの粒を、花や実に見立ててピアスやネックレス、
ブローチなどに仕立てたものを出品します。

花びらのような、涙粒のようなちいさな金属を切りだし、
七宝に焼き付ける内田さんのお仕事。
そのちいさなパーツが、集まってひとつずつの形となっていきます。
内田さんの七宝(エナメル)は、その色合いが特徴的。
ちょっとスモーキーなニュアンスカラー。
Kusumiという名前が表しているように、ちょっとくすみを含んだ素敵な色調なのです。

Q
内田さんにとって、「工房からの風」って、どんな風でしょうか?

A
わたしにとってはわくわくした気持ちと、不安と緊張が入り混じった強風ですが、
来場されたお客様には、手しごとの楽しさやおもしろさが伝わるような、
ふわふわと温かく心地いい風を出展作家のみなさんと吹かせられればいいなと思います。

内田さんは、初めて来場者としてこの場に立ったとき、とっても感動したんです!
と伝えてくださいました。
その日から年月を経て、ご自身としてはやっとの思いで「工房からの風」の出展が決まったとき、
自分が感じたように、誰かを感動させたい気持ちが揺るぎなく芽生えた、、とも。

いつも控えめに微笑んでいらっしゃる内田さんのその熱いメッセージは意外でもあり、
その内に秘めたパッションが、あのこまやかな仕事の熱源でもあるのかもしれない、
そんなことを思ったのでした。

Q
内田さんは、小学生の頃、何になりたいと思っていましたか?

A
具体的になりたかった職業はなかったのですが、
遺跡発掘作業や、古い絵画の修復する映像をみて、
繊細な作業を慎重に丁寧にこつこつと進めて、
少しずつ形が見えてくる仕事にとても憧れていました!

このこつこつというのが大好きで!
七宝焼きも出来上がるまでにたくさんの行程を経て形になるので、
自分の憧れていたようなこと(こつこつ)が出来る、
七宝焼きに出会えてよかったなあと思っています。

子どもの頃から、繊細でこつこつと積み重ねていく仕事に憧れていたとは!
制作の時間が、内田さんの内なる幸せな時間なのでしょうね。
そんな幸せな時間を経て出来上がった作品を身につけた人にも、
内なる幸せ、つながっていきそうですね。

内田美紗子さんのホームページkusumiはこちらになります。 → 

出展場所は、コルトン広場モニュメントエリア。
木工の加賀雅之さんと、皮革の大濱由惠さんの間のテントとなっています。