director's voice

高見由香さん(染織)

Q
東京で織りの制作を続ける高見由香さん。
二回目の「工房からの風」にはどのような作品を出品くださいますか?

A
カシミヤで織った二重織りのストールや麻のレース織のハンカチ
そして今回初めて「ものつくりの人のための」麻のエプロンを出品します。

レース織ハンカチ

Q
高見さんにとって「工房からの風」は、どんな風でしょうか?

A
「季節の変わり目に吹く風」
一つの季節が終わりを迎えて、
新しい季節になる前のわずかな時間に吹く風のように感じています。
変化をもたらす風なので力強く、
疾走感があり、次の季節を予感させる匂いのある風です。

前回の出展から6年。
この風が吹き終わる頃には
新しい季節の中にすっくと立っていられたらと思います。

二重織ストール

Q
高見さんの初めてのものづくりは何でしょう?
印象的なものを教えて下さい

A
「小さな紙の部屋」

少女の頃、折込チラシの家の間取図を見るのを好んで、
そればかりを抜き取ってはジーっと眺め、
「私の部屋はここ。お兄ちゃんはあっち(めっぽう狭い)。
テーブルはここに置いて、ベッドはあそこ。
カーテンは赤にして…」
なんて考える時間が至福の時でした。

当時、理想の間取図(風なもの)をチラシの裏にかいて、
ベッドやテーブル、鏡台なんかを紙で組み立てて
小さな小さな部屋をつくり、そこに理想郷を見ている少女時代でした。

エプロン

ものつくりの人のためのエプロン、素敵ですね。

「糸をあやつる人 木を削る人
ガラスを吹く人 金属を叩く人
土を練る人 料理をつくる人
ものをつくるすべての人へエールを込めたエプロン」

高見さんのブログにこのように書かれています。
「工房からの風」を通じて、
同時代に生きるたくさんの作り手と出会い、
交流を続けてきた高見さんならではの想い。
ひとつの形になったのですね。

続けていくこと。
「工房からの風」の募集要項には、
プロもしくは明確にプロを目指す人、
という条項がありますが、続けていくことがプロ、ということでしょうか。

でも、最近思うようになりました。
続けていくことって、意思ばかりではないのだと。
続けざるをえないひと。
作らざるをえないひとが、結果として続いているのだと。

初出展から今までの間に、出産、育児と
人生の多忙な日々を送る高見さんですが、
ボリュームの大小はあれど、制作から離れることはありませんでした。
それは、意思というより制作することが、
高見さんの人生の中で自然なものに育っていったのではないでしょうか。

もちろん、人それぞれですから、
お休みすることが必然な方もいらっしゃるでしょう。
それも然り。
そして、続けながら、布を進化させている高見さんも然り。
その自然に豊かに育まれた布が、もうすぐ「工房からの風」にやってきます。

高見由香さんのブースは、おりひめ神社鳥居のほとり。
galleryらふとの前方です。

HPはこちらになります。
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