director's voice

すすき工房

地元千葉県出身で、今年奄美大島に移って制作を続ける
すすき工房、伊藤昌代さん。
20代の作家からの、ちょっと感激のメッセージをご紹介します。

Q1
「工房からの風」にはどのような作品を出品しますか?

A1
身近な植物から抽出した色で絹糸を染め、
その糸を用いて織ったショールを出品します。

手触りが良く日常に取り入れられるショールを織りたいと思っています。

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人の肌に合う色が出したくて、
家の庭にある植物や栽培した植物を煮出して色を染めます。
経糸と緯糸がよれることなく組み合わさるように
糸もいろいろな種類や太さのものを混ぜて使用しています。

布自体は個性的なわけではないかもしれません。
でも使っていくうちに馴染んでいってその人のものになっていったら良い。
そういうものが織りたいと思って制作をしてきた布たちです。

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伊藤さんは20代。
今展の中でも特に若手作家ですが、
作品は渋くオーソドックス。
そして、奄美大島での生活の中で、
じんわり変化、進化している最中のフレッシュな布が織りあがっています。

Q2
「工房からの風」への出展が決まった時、どのようなことを思いましたか?

A2
ついにこの時が来たか!と思いました。

まだ自分が何をしたいのか分からなかった中学生の頃、
ふと読んだ文章で織るということに興味を持ちました。
同じ頃「工房からの風」というイベントを知りました。

その当時は自分が本当に機を織る人になるとは思いませんでした。
ましてや自分が織ったものを「工房からの風」に出すことになるとは。

わたしにとって織ることの原点と繋がるここが、
自分の作品を発表する場になることに
とてもご縁を感じるとともに気が引き締まる思いがします。

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ついにこの時が来たか!
とは、私たちこそです。

「工房からの風」で工藝やものづくりに触れた子どもたちが、
美大に行ったり、ものづくりの道へ進んだら、
どれもどんなにうれしいことだろう、
そう思ってきました。
お子様向けのワークショップテント「素材の学校」など
まさにその想いの結晶です。

中学生で「工房からの風」に触れた伊藤さんが、
武蔵野美術大学に進み、こうして仕事としての染織を手掛けられたこと。
ここからが始まりですから、他の出展作家の方々とのよきご縁を得て、
じっくりと伊藤さんならではの染織の鉱脈を
探り当てていただきたいと応援しています。

Q3
すすき工房さんの「工房」のある街の好きなものやところ、
自慢できること大切に思っていることひとつ教えてください。

A3
わたしは今、奄美大島で生活しています。
鹿児島のはるか南にある離島です。
奄美の自然や文化は独自の個性がありとても魅力的で、
ここでは語りきれないくらいです。

中でも一つ挙げるとすればここは大島紬の産地ということです。
離島であるが故に大島紬の技術は現代まで守られて来ました。

島のおばあちゃんたちは皆、
若い頃織りをしたことがある人や今も現役でしている人ばかりです。
今も数は減っていますが、島の中に機織り関連の工場がのこっています。
大島紬はとても奥が深くまだまだ秘密を探らないといけません。
文句なしで最高の技術がここにはあります。

織ることをこんなに身近に感じられる場所にいるのは
とても幸せなことだと思っています。
この環境に自らの制作もとても刺激を受けています。

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大島紬ゆかりのおばあちゃんと実際に触れあえる
最後の一瞬なのかもしれませんね。
その経験は一生の財産になることでしょう。

すすき工房さんの出展場所は、コルトン広場、
スペイン階段前。
ホームページはこちらになります。
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