director's voice

今野恵さん・フェルト・神奈川

例年フェルトでの出展作家がいらっしゃいますが、
今年はひときわワイルドなフェルトです。
神奈川県で制作する今野恵さん。

Q
今野さん、「工房からの風」には、どのような作品と一緒にやってこられますか?

A
様々な種類の羊の、本来の色−自然の色−を生かした作品を出展します。

「冬支度」をイメージして、冬を暖かく過ごすアイテム、
帽子・バック・ミトン・ケープ・ポンチョなど身につけるものと、
敷物・クッション・ひざ掛けなど暮らしの中で使えるものを。

自然色の羊毛の中に、一色だけ緋色−心に暖かな火を灯すような−の羊毛を使いました。
見ているだけでも暖かくなるような赤い色です。
素材と向き合い、作品には羊毛ごとの特性を生かしました。
強く丈夫な羊毛、しなやかで優しい手触りの羊毛。。。
それぞれの羊毛が固くフェルト化され完成した作品から感じられるように、
縮絨率や作品ごとの厚みを考慮し、制作しました。

以前はカラフルなフェルト作品を発表していた今野さん。
どうして今のような自然の色と、自然の力強さを生かした制作へと移っていかれたのか。

ぜひ「小冊子」をご覧になってください。
毎年編んでいる小冊子、今年は13人の作家に文章を寄せていただきましたが、
今野さんから届いた文章は、どんとお腹に! 響きました。
巻頭でご紹介していますので、ぜひお読みくださいね。

Q
今野さんにとって、「工房からの風」とってどんな風なのでしょうか?

A
真南風(まはえ)。
沖縄の方言で梅雨が明けて夏の到来を告げる南風のことで、
「幸せをもたらす風」と信じられています。

フェルト制作には夏の湿度と気温が味方になってくれますから、
まさに今年は「工房からの風」を「真南風」と感じ、夏の間、制作に励むことが出来ました。

幸せをもたらす風。。。準備期間にディレクターの稲垣さんのお話や
個人ミーティングでの言葉、郵送物に手書きで一筆書いてくださった言葉、

出展者の方々の交流の中で交わした言葉が、
私の気持ちを突き動かし、地に足つけて制作に励むことができ、
すでに「幸せをもたらす風」と実感しています。

今野さんは、手ごわかったです(笑)

でも、迷いがすっと抜けてしまえば、あとはキラキラと眩しい表情でしたね。
自分の心と手が掴んだフェルト。
短いスパンで答えを出さず、ずっと続けていく中で、
ほんとうに見たかった花と出合えるのではないでしょうか。
私自身もそう思いながら進みたいです。

今野さんのホームページはこちら → 

出展場所は、おりひめ神社の脇。
木工の泉さんと 陶芸の中本純也さんの間となります。