director's voice

深堀知子さん(陶芸)

福岡の吉田さんに続いては、熊本の深堀知子さんです。
深堀さん、ふかほり、と濁らずにお読みします。
では、さっそく深堀さんからのメッセージをご紹介しますね。

Q
深堀さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品されますか?

A
とにかく楽しい感じのするものを出品します!
どうやって持つの?と思うような取っ手のついたカップや、
使うことを考えないでごちゃごちゃと色々なモチーフをくっつけたふたもの、
カラフルすぎる?器、 割れるのを気にする人は絶対欲しくならないような器・・・・

文章にするとなぜそんなものを作っているんだろう?
と自分でも不思議なくらいです。
実用品として大事なことは私よりうぅ~んとできる方がいるので、
私はそうじゃない方向に特化したものを作っていくしかない という開き直りかもしれません。

ただ、作っている最中にもっとこうしたら!ああしたら!と
楽しくなる気分をとめないように作っていたらこんな風になりました。

技術として変わったことはしていません。
すべて陶器で、金銀彩以外は色もすべて普通の釉薬です。
特徴としては釉薬を筆で上絵の具のように1色ずつのせていることです。
会場で作品をみて、色々想像してもらえると嬉しいです。

技術は特別のことはしていない。。
とおっしゃいますが、こてこて!深堀さんワールドの作品は、
実はとっても緻密な構成の上に成り立っています。
ちょうど家を建てるような感じでしょうか? 柱の位置、窓の付け方、扉を入れる順序・・・
何をまずここに拵えて、その次にこの造作を・・・
お聞きしていくと、その段取り構成にため息が出ます。
そして、それを窯で焼いて、部分的にへたらないように、
ちゃんと焼きあがるように工夫するのは、頭脳を使いそう。。

でも、そういことも含めて、深堀さんが作品つくりを とことん楽しみ、
プロとして完成させる誇りのようなものまで伝わってきます。
もちろん、作家としては、そんなことより、 「わぁ~!」っと、
見る方の心にまっすぐな歓喜が躍ることを 心より願っていらしゃるのでしょうけれど。

Q
深堀さんにとって、「工房からの風」って、どんな風ですか?

A
現状に行き詰ってしまった感じがしていたので
きっかけさえあれば何かが変わるのではないか? と思って応募しました。

初めて会う人、いつもと違う展示、これをきっかけに
今の霧に包まれたような状況を晴らして、
また違った眺めが開けるように 「景色を変える風」として、
この機会を活かせたらと思っています。

地元に窯を築き、制作発表の基盤を持つことは、 心確かなことであると同時に、
時には広やかな空の空気を吸いたくなることもあることでしょう。
特に、個性的な作品つくりをされる作家は、見てくださる方の絶対数が多いことで、
ピンポイントで響きあえる方との出会いが増えるかもしれません。

今までの「工房からの風」に出展された方の中にも、
そのようにして、制作への自信を深められていった方、多いですよ。
即効性?ばかりではなく、ゆっくり今回を通じて、
深堀さんの作品を伝えたいという方との出会いもあるといいですね。

Q
深堀さんは、小学生のころ、何になりたかったのでしょうか?

A
小学校の先生。 自分の人生の中で最もまじめな時期でした。
自分に厳しく、人にも厳しい!嫌~な小学生でした(笑)
とにかく何でも真面目に取り組むので先生だけには好かれていたと思います。
そんな風に先生に気に入られていたから、
自分も小学校の先生になりたいと思ったのかもな~と
この質問について考えているうちに思いました。
今ではその頃の真面目さが10分の1でも残っていたら・・・と思う日々です。

ええ! 深堀さんは、今もとーってもまじめな気がしますが・・・。
明るく、はきはき、明瞭な深堀さん。
展示ブースでの対応も、きっと見る方にとって気持ち良い時間だと思いますよ。

深堀知子さんのブログはこちら → 

出展場所は、スペイン階段前のテント。
野外展ではあまり出会わない造形の作品群が、
爽やか笑顔の深堀さんのもとで素敵な出会いを待っています!