director's voice

habetrotさんより

ニッケ鎮守の杜、「galleryらふと」の奥の方で、
自然光に揺られながら心地よさそうに服が展示されていましたね。
habetrotさん。
大阪から来られた、布を染めて、服を仕立てる女性からもお便りをいただきました。
 

こんにちは。
無事大阪に帰ってきました。
帰ってきてひと眠りして、目がさめたら、
今までのことが全部夢だったような気持ちになったのですが、
バッグの中に入っていたノートに、たくさんの方のお名前が記されていて、
夢じゃなかったんだなとまたこの9か月のことを思いだしていました。

今は感謝の気持ちでいっぱいです。
はじめ、私の技術の低さに稲垣さんをとても驚かせて困らせてしまったと思いますが、
それでも、作品を見せる場を与えてくださりありがとうございました。

直前の紹介で今までの出来事を書いてくださったこと、正直戸惑っていました。
あの出来事は私もごく一部の身近な人にしか詳しく話していなかったので、
いきなりたくさんの人に知られて、その反応が怖かったのです。

でも、見に来られた方たちみなさんが、
たくさんのあたたかいはげましの言葉をかけてくださりました。
6月の展示で在廊したときに一緒だったナカヤマさんが
「作っている人も作品の一部だ」
とおっしゃっていたことを思いだして、
今回の作品は、あの出来事があってのいろいろな想いもこめられてできたものだから、
あの出来事を知ってもらってよかったのかな、と今は思っています。

その紹介文をみてくださったからか、
本当にたくさんの方が見にきてくださって、作品が旅立っていき、嬉しかったです。
お客さんとお話しするのも、とても楽しくて。
両日来てくださった方が何人もいて(買ってくれた服を着て見せに来てくださった方も!)、
とても幸せな2日間でした。

この9か月の経験を、これからの肥やしにして、
また技術をみがきながら、制作にはげもうと思います。
ありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いします。
habetrot 

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ほんとうに、よく取り組んでくださいました。
ご紹介ブログでも記しましたけれど、
春の時のままではこの手応えは得られなかったでしょうし、
また、その時に凹んでしまったり、投げ出してしまっても、
この実りはなかったことと思います。 

habetrotさんは戸惑われたようですけれど、私には自信がありました。
「工房からの風」のお客様は、目は厳しいけれど、
温かで成長を見守ってくださる方が多いということを知っていましたから。
なので、もしお仕事が甘ければ、一瞥されるだけで終わってしまうでしょうけれど、
完成形でなくても、精一杯向かい合ったことが伝われば、
それに応じてくださると。

それは私などが思った以上にhabetrotさんの展示を包んでくださったようですね。
私からも、お客様に感謝申し上げます。

「工房からの風」は、一期一会ですから、
そこに向かって今の全力を向けていただくのですが、
それは終了の完成形ではなく、始まりに向かうひとつの完成形なのでしょうか。

今回、habetrotさんたちのお仕事の進化成長に触れさせていただいて、
企画者も思いをあらたにすることができました。
habetrotさん、心に残る出展者のおひとりでした。