director's voice

菅野あゆみさん(織)

Q
二回目の出展となる菅野あゆみさん。
「工房からの風」にはどのような作品を出品くださいますか?

A
綿を紡いで、織った、藍色のストールを出品します。

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Q
菅野さんにとって「工房からの風」は、どんな風でしょうか?

A
2009年に初めて出展させていただき、それから6年が経ちました。

前回の出展では、追い風なのか向かい風なのかもわからないまま、
とにかく一生懸命に、好きな事をやってます!・・
を直球でぶつけた気がします。

その結果、たくさんの出会いに恵まれ、
「これを自分の仕事として続けていきたい」と、
確かな手応えを感じることができました。

そして、「次は、もっと力をつけてから。」
そう思いながら月日を重ねたワケですが、
自分のつくりたいものを定めるのに、なかなかの時間がかかりました。

迷う日々の中、一昨年、友人からの注文で作った藍染めの布。
農業をしながら、うたを歌う彼女からの、
「野良仕事でも、ステージでも纏える布」という注文。
そこから糸口が見え始め、あたたかな縁がつながり、
自然な流れで、今のカタチにたどり着きました。

綿の風合いと、藍の色の重なり。人が纏う布。

今は作るのが楽しいです。
元気でつくっています。

今年の風は、どうでしょう!
終わった後、「心に残るもの」を自分でも楽しみにしています。

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Q
菅野さんの初めての「ものづくり」は、なんでしょう?
印象的なもの教えてください。

A
小学校の理科の授業で、
乾電池と豆球をつないで何かを作るという自由研究がありました。
みんなそれぞれ、ジオラマだったり、
乗り物だったり、カラフルで凝ったものを発表していました。
そんな中、私が出したのは、
歯磨き粉の箱の中にただ乾電池と豆球を入れた、
シンプルな懐中電灯。
白地に青と赤で商品名が書かれたパッケージそのまま、彩色もなし。

もちろん、全く評価されませんでした。
先生には、きっと手抜きも甚だしいと思われたかもしれません。
だけど、私は、その
「歯磨き粉に見せかけて懐中電灯!」っていうのを作りたかったし、
爽やかなトリコロールカラーが気に入っていたのです。

なぜだか、人に伝わらない寂しさより、
気に入ったものができた嬉しさに満足して、
家でひとり、しばらくは肌身離さず楽しんでいました。

今見たら、きっと、「こりゃダメでしょ。」
と自分でもつっこみたくなるとは思いますが・・。

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和歌山県龍神村で綿を紡ぎ、布を織り菅野あゆみさん。
6年ぶりの出展で、制作が豊かに熟してこられました。

手紡ぎ、手織りの綿布がいだく豊かな世界。
それを実感するほどに、そのことを続け、伝えていこう、
と「直球」で制作をされていたのですね。

綿とともにある時間は定まりながら、
どのように綿と取り組めばよいか、
それを定める心の旅が、しばらく続いたのだともいます。

菅野さんの想いがさまざまな縁をつなげて、
2年前から、藍染めの方との仕事が始まりました。
糸を渡し、藍染めをしてもらい、その糸を引き取って、布に織る。
糸の太さや、密度の頃合いを何度も試し、作者の心に適う風合いを目指す。
そうして出来上がった布は、6年前の芽のような初々しい布から、
豊かな茎に開きだした花々のように成熟した布となっていました。

菅野あゆみさんのブースは、コルトン広場スペイン階段前のテント。
綿
糸の豊かさを、藍の色と手織りの妙が引き出した布。
ぜひ、触れてまとってみてくださいね。

菅野さんのHPはこちらです。
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