director's voice

吉澤佑種子(アダンの帽子)

皆さん、アダン、って知っていますか?
亜熱帯、熱帯に生育するタコノキ科の常緑小高木。
私は、奄美大島で描かれた田中一村の絵でかろうじて知っていました。
関東に暮らしていると身近には触れることのないアダン。
それを素材として作品作りをする
吉澤佑種子(ゆうこ)さんからのメッセージをご紹介しましょう。

Q1
吉澤さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
沖縄のアダンという植物を使って編んだ帽子を出品させていただきます。

アダンの葉のみで編みあげたアダン帽子は涼やかでとても軽く
シンプルな美しさが魅力です。

季節は秋となりますが、
ぜひお手にとっていろいろとかぶっていただき
ひと夏の帽子ではなく
これから長く永く共に暮らしを彩っていける
そんな ひとつ との出会いを楽しんでいただけましたらとても幸せです。

IMG_2737

沖縄にしばらく移り住んでいらした吉澤さん。
その時に出会ったアダンの帽子。
戦前には一大産業として栄え、
今はすっかり衰退してしまっているその帽子と縁あって出会いを得られました。
現在は丹波市に住みながらも、沖縄の方とのつながりのもと
制作を続けていらっしゃいます。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、いずれかを教えてくださいますか?

A2
時計がわりにラジオをかけることもありますが
普段一番よく聴いているのは、
外から聞こえてくる様々な鳥や蛙、
いろいろな虫たちの奏でる音楽です。

その中でも特に愛すべきは
愛猫のイビキや寝息が奏でる妙なる調べ。
重低音で響くのどを鳴らす幸せなリズム。

ついつい熱中してしまいがちな私は
彼女のおかげで、手を休め、一息つくようなことが多々あります。
BGMから休憩時間の確保までマネージメントしてくれる
できる相棒に恵まれ、日々、制作を満喫しています。

IMG_2768

共通する作家の方も多いですね。
自然が奏でる調べ(猫も自然の一部ですものね)を慈しむ想い。
今度、音楽や本、映画の話もぜひ伺ってみたいです。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
カゴやザル、イスや机などなど
暮らしの中でお世話になっているものは数多くありますが、
ひとつ となるとやはり

『初めて編んだアダン帽子』です。

沖縄の伊江島で大城ナツさんに初めてお会いした時につくったもので
何が何やらわからぬままになんとかかんとか形になったものの
とても不恰好な上、頭も入らずかぶることが出来ませんでした。。。
そのおかげ?でもう一つ、もう一つと編み続け
すっかりアダン帽子に魅入られてしまいました。

かぶれない不恰好な帽子ではありますが、
私にとっては、とても大切な宝物です。

IMG_2816

人との出会い、ものとの出会いはほんとうに不思議で面白いですね。
アダンで帽子を編むことが、ひとりの女性の生きていく骨格となっていく。
そのような素晴らしい出会いの実りのような帽子を通して、
私たちもさまざまな想いを得ることができるのではないでしょうか。

吉澤佑種子さんの出展場所は、おりひめ神社の奥。
インスタグラムはこちらになります。
→ click