director's voice

鈴木有紀子さん ろうそく 静岡

Q1
鈴木有紀子さんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

A1
物語の一場面を切り取ったような風景や植物の姿を、
炎と呼応させて愉しむ「透ける灯り」と、
今展では、「静かに色を重ねる…」という灯りを並べて灯します。

はっきりと目に見えるものだったり、纏う空気の中にある不確かなものだったり、
「時」の中にある色を「重ねる」という単純な行為を、
心のままに手を動かし仕立ててゆく灯りです。

「透ける~」とは対照的な作り方ですが、
火を灯すという所作を、灯りのある時間を、
普段の生活の中に…灯して育てる灯りです。

工房からの風 シロツメクサ

Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
工房内、メインの作業台。
訪れた方は『実験室のようだ』と仰います。

金型、金属トレー、香料瓶、スポイト、温度計、量り、ピンセット…理科室のよう。
算数・理科の類いは大の苦手だったけれど、理科室にある道具は好きでした。

ここでは、日々健やかな灯りを制作し、知らないことを知るために試作が続きます。

工房からの風 工房1

Q3
鈴木有紀子さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
澄んだ水の中を覗き込むように、それは何だろう? と自問してみると、
浮かんでみえたもの(種火の大元)は、
『どきどき・わくわくする気持ち』だと思いました。

ものづくりに初めて大きくわくわくしたのは小学4年の頃。
私が生まれる前に祖父の作った大型犬の犬小屋を、
当時拾って出逢った子犬の為に、
ベニヤ板やビニル袋(笑)で真冬の風を凌ぐリフォームを一人でしたこと。
それはもう愉しかった。

大人になって、本格的にものづくりを始めるきっかけは、
失敗したろうそくの原因を知りたいと思って、
そのまま知らないことを知ることにどきどき・わくわくする気持ちが大きかったから。

今は、その先にものを通していろんな方の時間が続いてゆく。
やはり静かにどきどき・わくわくとしています。

工房からの風 ハートに灯をつけて(仮)

ほかの誰もが制作していない有紀子さんならではのろうそくの世界。
派手な意匠ではなく、品のある個性的なろうそくの世界が、
ここ数年で構築されてきたように思います。
独学で培った制作方法から、時を味わうかのような光を生み出すろうそく。

今年のテーマは火。
なんとしても、美しい有紀子さんのろうそくを、
あらためて今展で皆さんにご紹介したかったのでした。
「工房からの風」で出会う工藝や手仕事がお好きな方々には、きっと響くと思います。

テーマテントとして、おりひめ神社奥には「五行テント」が建ちます。
大野七実さん、岡林厚志さん、吉田慎司さんが担当くださったのですが、
富士山のふもとの有紀子さんの工房を3人で訪ね、
そのレポートをテントで展開くださいます。
こちらもぜひご覧くださいね。

静かに色を重ねる... 新

鈴木有紀子さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜のgalleryらふとの正面奥。
おりひめ神社の近くでもあります。
そうそう、「五行テント」にも近いです。
他にも、トキニワカフェ周りのお庭に出現するかも!です。

有紀子さんのインスタグラムはこちらになります。
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