director's voice

木と出会うテント

アトリエ倭の香田進さん、佳子さんから企画テントのレポートをいただきました。

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木と出会うテントでは、2015年から工房からの風のテーマに合わせて
『風の…』というシリーズで木工のワークショップをしてきました。
今年のワークショップのタイトルは、『風の刻(とき)』
神代(じんだい)の木を使った、砂時計を作るワークショップです。

神代とは埋れ木とも呼ばれる、地殻変動や火山活動などで地中に埋もれ、長い年月をかけて変質、炭化した木をいいます。
今年の風のテーマの『火』によって木は燃えてしまうだけでなく、
火山灰などに埋もれて時間をかけて美しく変化することもあるのだと伝えたいと思い、
その時間の流れを感じられるようにと砂時計を作るワークショップにしました。

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※写真の、オレンジ色が変質していないケヤキ。
漆黒が、神代ケヤキです。

砂時計って時間が見える道具だと思っていて。
上に未来が入っていて、下に過去が入っていて、落ちている一粒が現在。
長く続く工芸の中の、ほんの一粒の今をいる、
みたいなことも伝えられたらいいなと考えたワークショップです。

それから自分の一生の中の今を重ねていることの尊さも、最近とくに思います。
長く長く、長〜く続く時の中の、自分達がいられるのはほんの一瞬で。
その中で、工房からの風で出逢えたこと。
何気ない一瞬の『今』を重ねられるって特別なんだって、
そんな気持ちをぎゅっと込めたワークショップになりました。

当日は例年より多めの両日65人分ずつご用意し、
初めましての方や、また今年もお会いできましたね!の方や、
キラキラした目の小さなひとや、風で出逢った作家さん達や、
高校の恩師や、独立した頃からお世話になっている憧れの作家さんまで本当にたくさんの方に作っていただけました。
私どもは建具屋で修業したので、職人の道具もたくさんお持ちし、使っていただきました。
古くから伝わる道具に触れていただくことも、工芸をつないでいく一粒になれたらと思っています。

ご参加くださった皆さん、ご一緒できてとても楽しかったです。
ありがとうございました!

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香田夫妻によるアトリエ倭の木を素材とした「風の・・・」シリーズ。
工房からの風にはなくてはならない企画テントになりましたね。
お二人が、素材と人の手の働きをほんとうに大切に想っているからこそ叶うテント。
素材×手×想い
回を重ねるごとに、楽しい営みから、じんわりその底流にある想いが広がっていくような気がします。

「砂時計は、時間が見える道具」

アトリエ倭さんがとらえた砂時計観。素敵ですね。
ぜひ、作品化もしてほしいです。

そして、追記で以下のようなメッセージもお寄せ下さいましたので、
掲載しますね。

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日曜の夜、出展者さん達を見送る時に、
自然とお互いに『ありがとう』を伝え合えるのがうれしかったです。
火がテーマの年にぴったりな、熱量たっぷりの熱い出展者さん達でした。
またどこかでご一緒できたらと、たくさんの笑顔とその笑顔にどこか似た作品達が浮かびます。

出展年度を越えてつながっている、風人の仲間にお礼を。
今年の風人の赤いTシャツ、風愛に燃えるひとひとがウロウロしているみたいでよかった(笑)
みんなといると、『同志』という言葉が浮かびます。
今年をご一緒できて、うれしかった。
が、毎年更新されていくことが、うれしいです。

『惜しみなく』をぜんぶで伝える事務局の皆さんを見ていると、自分もぜんぶを渡したいと思います。
そういう風人でいたいなと思いながら準備期間をいて、当日にそれがもっともっと強くなりました。

工房からの風に関われることは、すごいと思っています。
こんな言葉しか出て来ないけれど、心からそう思う。
風人という立場で工房からの風に関われることを、
自分の人生において大きな出来事と思っています。

今年も、佳き出逢いの風が吹きました。
待っているだけでは吹かない風で、
大きな台風のあとで初日は雨のスタートで、
そんな中みんなで呼んだ佳き風だったのだと、数日経って感じています。

たくさんのたくさんの感謝を。
ありがとうございました。

アトリエ倭 香田

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進さん、佳子さん、ありがとう!
こんな風に感じてくださっていて。
いささかお疲れ気味?の心をふんわりふくらませてくれるようです。

企画テントのレポート、「凪ぐ浜の宝もの」と織り交ぜながら、このあとも続きます。