director's voice

吉田慎司さん ほうき

Q1
吉田さん、「工房からのそよ風」では、どのようなことをしてくださいますか?
販売作品をご用意くださる方は、どのような作品がありますか?

A1
実演・箒の説明を通して手仕事の豊かさや、自然素材と歴史のwonderをお伝えしたいです!

販売は、定番の品物に加え、ややチャレンジした新作も・・・?
鋭意制作中です!

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Q2
「工房からのそよ風」は、風人さんと一緒に創ってきましたが、ご来場くださる方に、どのようなところを見て、感じていただきたいですか?

A2
色々と大変な時期ですが、作り手のやるべき事は変わらないように思います。

展示を通して、豊かな暮らし、根を張った生き方、喜び、確かな手触りのある仕事を感じて欲しいです。
そして、新鮮な工芸に触れることが、そのような出会いの入口になると信じています。

考えるべき事や、思いを馳せる必要のある事はたくさんあるけれど、対話、交歓を通して、ハレの場はハレの場として、喜びを分かち合える場所を作っていきたいです。
工芸は、昔も今も、未来もここにある。
そんな青写真を感じられる機会にしたいです。

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Q3
吉田さんの「工房」で、特に大切な、あるいは愛着のある「道具」を教えてください。

A3
幾つかありますが、思い出深いのは包丁かも知れません。
大学の近くに、元・大工の棟梁がやっていた刃物屋さんがありました。
ちょこっと話を始めると、2時間くらい離してくれない人で…
適当に買おうとするものなら、砥石は持ってんのか?とか、聞かれて面倒な事になるので、好き嫌いの大きく分かれるお店でした。

箒を作り始めた頃、まずは刃物。
と思って、とりあえず話を聞きに行きました。
刃物の研ぎ方も、仕組みも、何も知らなかったから、延々と聞かせてくれる棟梁の話は本当にありがたかったし、職人さんって、こういうもんなんだ…!
と、生き様を見せて戴いた事が大きかったです。

なかなか、話にずっと付き合う若者もいなかったみたいで、しまいには中から奥さんも出てきて、勉強させてもらっているやら、今の若者に対する愚痴を聞かされているやら…という感じになりましたが(笑)

とにかく、仕事への愛と誇りに溢れていましたね。
あんな面倒な人、その後もなかなかお会い出来ていません。
心の底から信用できるものを買う原体験として、今も仕事の基準にしています。
その時購入したのがこの包丁。
このまま最後まで寄り添えたらいいなぁと思っています。

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吉田慎司さんの初出展は2011年。
箒を編む青年!が、気づけばダリ?かポワロのようなお鬚のお父さんになっていました(笑

風貌はだいぶ変わられましたが、想いと実践は出会いの時に抱いていらした種や芽をふくふくと大切に成熟されたもの。
変わったのではなく、進化成長しているんですね。
そして、何よりものづくりとそれにまつわることへの愛が深い、信頼が深い。
人の営みをとても肯定的にとらえたうえで、客観的にものを見ようとしている姿勢に、いつも共感し、教えられてもいます。

今回の「そよ風」展も、吉田さんの思考、想いが企画の柱の中に染みているように感じています。
ぜひ、吉田さんのテント(おりひめ神社近く)で、ものづくりを巡る交流をなさっていただきたいと思います。

吉田さんにも「ニッケ鎮守の杜」で、箒制作の映像を撮らせていただきました。
BGMがロックな感じが何ですが・・・。

この映像、箒を編み上げる速度が速くて、制作のいとうゆりさんに「早送りしたんですか?」とお尋ねしましたら、
「いいえ、そのままです。むしろ、吉田さん、ゆっくり編んでくださったような気がします」と!
さすが職人!なのですね。
身体と素材がつながって生み出されるリズムは、そう、なかなかにロックだったのでした。

映像はこちらから。
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