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藤田永子さん(金工)

Q1
都内で鍛金制作をされる藤田永子さん。
「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A1
金鎚で叩くことによって成形された、温かみのある金属の生活道具を出品します。
他のアジアの国々やヨーロッパと違い、日本では金属器への馴染みが薄いように思います。
陶磁器や木製品、革製品などと同じように、金属は経年変化を起こす素材ですが、その経年変化はまた格別に趣深いものがあります。
古いものがお好きだったり、暮らしの道具を長く育てていくのがお好きな方に、是非ご覧いただきたいです。

私の作品の中で、金色をしているものは真鍮でできています。
食卓に華やかさをプラスしながら、和洋中問わず様々なテイストのテーブルウェアと馴染みます。
経年変化が特に美しい金属です。

もやもやと不思議な表情をしている銀色の器は、独自に編み出した技法を用いて表面に模様を描いています。
一見個性的ですが、意外とどんな食事とも相性が良いニュートラルな器です。
同じ模様は再現不可能なので、特に枚数多くご用意する今回の出展をご利用いただけたら幸いです。

特別な日に使いたくなるような、季節の花をいけることができるプレートや、どんな植物とも馴染みやすい花器など、花を飾るお品も色々とご用意しております。
使い方など気になることがあれば、是非この機会に直接お話しできれば嬉しいです。

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Q2
藤田永子さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
金属造形の道に入ったときに最初に取り組んだことは、自分の道具を作ることでした。
何本もある金鎚やタガネを、ひたすら削って磨いて持ち手を付けて、必要な形に仕上げていきます。
誰のものかひと目で分かるように、先輩たちと被らない色で目印を付けます。
私はオレンジ、たった二人の同期はピンクと赤でした。

大学を出た後も新しい金鎚や道具は増えていきましたが、一人で制作している現在は目印をつける必要もありません。
このオレンジ色のついた道具は自然と思い入れも強く、今後も長く愛用していくのだろうと思います。

問2藤田永子

Q3
藤田永子さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
これは非常に難しい質問でした。
毎日使う漆塗りの箸や食器、帰宅後に財布やパスケースを入れる竹の籠、玄関に飾られた書、見回せば作家さんのものに溢れているので、何を取り上げればいいのか非常に悩みました。

今回選んだのは、伊藤亜木さんの小さなグラスです。
予備校時代に母と共に訪れた益子陶器市で求めたお品です。
朝早く車で出かけ、帰宅後に母とお茶をしながら互いの購入品を眺めた午後の西日さえも記憶に残っています。
母とは数えきれないくらいクラフトフェアや陶器市へ赴きましたが、鮮明に記憶に残っているものはそう多くはありません。

「ものを作り、それを売って暮らしていく」その形を具体的にイメージし、目標としていくことのきっかけとなった日だったと、今思い返してそう思います。
暮らしの道具で、はじめて自分で買った作家ものだったかもしれません。
そういった思い出から、今回はこちらのお品を選びました。

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藤田永子さんのお仕事については、20回展特設ページで
『朽ち行くものの美と通じ』
として、取材記事でご紹介しています。
是非、ご覧ください。
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藤田永子さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、中央、galleryらふとの近くです。
作家ページはこちらになります。
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