director's voice

土岐千尋さん(木工)

Q1
岐阜県恵那市で木工制作をする土岐千尋さん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
栗、桜、楓などの木材を鑿、彫刻刀、小刀を使って彫ったカトラリー、アクセサリー、器を出品します。

アクセサリーはとても小さな彫刻です。
木材は薄くしたり、細くしたりすると割れることがありますが、繊細さを表現できるように、注意して彫っています。
ねじった形はねじって作ったかのように見えたら、嬉しいです。

スプーンに飾りを彫ったものは、全て違うので、一つ一つ、じっくりとお気に入りを探してほしいと思っています。
線で描いた模様を彫って表すので、どの部分を彫って、どの部分を残すのか、時間のかかる作業ですが、とても好きな時間です。

木のお皿は、家具などを作った後に残る端材を使用することがある為、不揃い、ゆがみ、左右非対称なものがあります。

我が家ではパンに木のお皿が定番ですが、果物、サラダ、揚げ物などなど、いろいろ使えます。

小さいものはワンプレートの盛り付けのポイントにも。その他、アクセサリーや小さなお人形を乗せて飾ってもいいですね。

Q2
土岐さんが、工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
小型のボール盤です。
このボール盤と糸鋸を一人暮らしのアパートに持ち込んで、作業をしていました。

4軒だけの小さなアパートでしたので、平日の昼間は誰もいなくなることがわかっていましたが、迷惑をかけていた日もあったかもしれません。

それから20年以上、作業場を転々としても、一緒に働いています。

Q3
土岐さんのお手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
手ぬぐいです。
手ぬぐいを好きになるきっかけになった一枚が月の満ち欠けを描いたものです。
2007年のものですね。
飾ったり、手を拭いたり、マフラーにしたり、広げて日除けにしたりもできます。
今は30枚くらいあって、いつも持ち歩いています。
出かけた先で見つけると、つい買ってしまいます。
最新は水木しげるさんのガシャドクロです。

岐阜県恵那市で、土岐将廣さんと夫婦で「マサチロ雑貨店」を開く千尋さん。
「雑貨店」といっても、お二人が制作する木のカトラリーやお皿、アクセサリー、写真立てなどの生活道具屋や家具を制作、販売しているお店で、工房を中心に週に二日ほどを開いています。

ずっと以前、将廣さんが「工房からの風」に出展くださって、千尋さんもお手伝いくださったとのこと。
今回は、自らのお仕事での出展ですので、そのときの経験をもとに、きっと豊かに準備くださっているように感じます。

コロナ禍の3年間も「工房からの風」は、開催を続けてきました。
開催方法を工夫し、事前予約制にしたり、時には「そよ風」としても、作り手と使い手の交流の風を止めないようにと。

その中で、一番もどかしかったのは、「工房からの風」ならではの事前ミーティングや個別のミーティングがなかなかできなかったこと。
開催当日の二日間だけではなく、それまでの準備期間も「工房からの風」にとって、大切なものと思って運営してきたので。

久しぶりに事前ミーティングや個別ミーティングが再開できた今年、土岐千尋さんは積極的に臨んでくださいました。
この出展の機会をとても大切に捉えて、秋の実りの日に向け、精一杯お仕事を深めていらっしゃることを感じて、嬉しく、ありがたく思っていました。

間もなくその果実のようなみのりの作品に出会っていただけますね。

土岐千尋さんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。

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