director's voice

toko aoki(金属装身具)

Q1
都内で金属を素材として装身具を制作する青木東子さん。
toko aoki のブランド名で作品を発表されています。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
自ら作成した編みものや刺繍、そして今回は初めて織物をかたどったシルバーやゴールドの装身具を出品します。

糸に心を寄せながら長年続けてきたテキスタイルの仕事の延長上に生まれたものたちです。
肌には遠い素材と思っていた金属でしたが、元々アクセサリーを積極的に身に付ける方でなかった私でも、糸の質感なら気負いなく自然体で、でも金属の安心感や確かさも身につけられると思い制作を始めました。

装身具がお好きな方はもとより、装身具からしばらく離れてしまっている方、装身具を身に着けることに照れ臭さを感じているという方に是非お手にとって頂きたいです。

糸の質感を写すことに加え、時間の流れ方の違う時代に作られたおおらかで素朴な装身具のイメージももう一つの指標にしています。
スイベルリングは古代エジプトなどで作られていたスカラベリングの作りを写したものです。
大きな石でも素朴なリングが作りたく至ったものでした。

他にもくさり編みの輪が繋がったチェーンのシリーズや、庭に生えている(いた(泣))ものから名前を取った植物をモチーフにしたものなども出品します。

自分が装身具を作り、身に付けるようになって思うことは、ほんの小さなものにでも日常のふとした瞬間に、何とはなく華やいだ楽しい気持ちが持てたり、心を寄せられる拠り所のようにも思えたりするものなのだなということです。
そのような感覚を得て頂けたらこの上ない喜びです。

Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
大切にしている工芸品ということで思い浮かんだのは親から引き継ぎながら、ほぼ50年使い続けられている木の茶筒です。
こちらは私がまだ幼児だった頃に父が旅先で購入したものでした。
そして私がある程度物事が理解できる年になると、やはりそれを気に入っていた母に「この吸い付くように閉まる蓋の精度といったらそうそうできることではないわよね」という自慢話を子供の私は何度も何度も聞かされていたのです。

確かにこれは削ぎ落とされた形の美しさもさることながら、蓋をしようとすると引っかかるでもなく、落ちるでもなく、吸い付くようにゆっくりと滑りながらしまっていく素晴らしい精度の茶筒だったのでした。
そして結果的にこの茶筒によって私にとって工芸とは畏れ多い世界なのだと刷り込まれたような気がします。

そこから数十年経ち、色々経緯はあったのですが、この茶筒は現在私の家にあって、購入から50年たった未だにあの蓋の精度は変わらずなのです。
作家名などはもはや分からないアノニマスなものですが、50年前の両親が感じた驚きはそのまま今の私の日々の小さな感動なのです。

企業でテキスタイルの仕事を続けてこられたキャリアに金工を響かせて、toko aokiの独特な作品がうまれました。

硬質なイメージの金属が、しなやかに揺らめくところも魅力です。
toko aokiひとつでももちろんですが、他の装身具と合わせてもしっくりと馴染むところもテキスタイルの持つ特長を引き継いでいるのかもしれません。

toko aokiの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、入って左側の下草のエリアに進んだところ。
ヒュウガミズキが茂る前に建つテントです。

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