director's voice

大野七実さんから

市川市で作陶する大野七実さんからも、
さっそくメッセージをいただきました。

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私の風が終わりました。

ただただ涙が止まりません…
うれしいのか?哀しいのか?満たされてるのか?
それすらもまだよくわからない、いろんな色の涙です。
今、全部を出しきって、抜け殻のようにガランとしています。
自分のいとおしく永く続いた時間が終わってしまったように思います。

2日間ほんとうに楽しかった。
いちにちひとつのうつわのことを興味深く聞いてくださるお客さま。
楽布陶時代にうつわを選んでくださったお客さまとの再会。
はじめて私のうつわを手にとってくださるお客さまとの会話。

ひとり仕事場でひとつの光だけを頼りに進んできた時間が、
こうして誰かの手に渡る瞬間、すべてが救われたような気がします。
キラキラ輝く仲間たち。
その手からつくりだされる真心の作品。
風のあの場所が何か大きくあたたかなものに包まれているようで…、
自分がその一粒になれたしあわせ。
見るのと出るのではまったく違うんだ。
そう風人さんのひとりに言われたことがこのことなんだと、今実感しています。

いよいよ準備が整い、搬入を目前に私が感じたことがひとつあります。
それは、だんだんと集まってくる磁力みたいなもの。
みんながここへ向かって、
それまで独りそれぞれの素材と向き合っていた時間を両手いっぱいにかかえ、
だんだん近づいてくるものすごいパワー。
怖いくらいに強く感じました。

そのことを懇親会の席で話した時。
それは私がここに住んでるから。
俺らは集まる側だよ。って、そう言われた時。
もしかして、あー、わたしは土の人なのか?そんなふうに思ったのです。
土の人として、これからも工房からの風を大切にしたい。
こんなにも清々しく真っ直ぐな想いが集まるこの場所をもっと深いものにしたい。
そう思うのです。

自分たちの生きる場所へとそれぞれ帰っていったつくり手たちと
こころを通わせた2日間、一生の宝になりました。
そしてわたしもまたひとりのつくる時間に戻ります。
これからも自分の真ん中を信じて…

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七実さんと知り合って26年くらいになりますが、
野外の工房からの風に出展いただいたのは、今回が初めて。
26年間に土とあった様々な時間すべてが、
今の七実さんを形作っているのですね。

取り組まれた「いちにちひとつのカタチをつくる」。
全国様々な地にタンポポの綿毛のように飛んでいきましたね。

ご自身の作品を一層深められて、
一方で「土の人」として、この場に集う作家たちとともにぐんぐん伸びっていってくださいね。

大野七実さんの展示前のメッセージはっこちらです。
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