director's voice

遠藤章子さん(ガラス)

今回、ガラスの出展者は、5名です。
そのお一人ずつが、ガラスの素材や技法など、
見事に違ったスタイルで制作をされています。

ガラスという素材の広やかな表現。
自然光のもとでぜひ感じていただければと思います。

Q
遠藤さんは、 「工房からの風」にどんな作品を出品されますか?

A
かたまりのガラスのオブジェ、プレートや入れ物などを出品します。

電気炉の中で石膏型にガラスを鋳造する、
キルンワークという技法で制作をしています。
輪郭の内側に柔らかな光が溜まるよう、
表面にテクスチャーを施したり、削って曇りガラス状に仕上げています。

私が作るものはうつわや道具とは少し違いますが、
日常の空気の中に静かに溶けていくようなものであってほしい
と思いながら日々制作をしています。

心がしんと鎮まるような。
初めて作品を目の前にしたとき、そんな心持ちなりました。
ガラスは、水のような、雲のような、氷のような 表情を湛えていますね。
遠藤さんは、その質感を種として、独自の世界観を表していくようです。

Q
遠藤さんにとって、  「工房からの風」は、どんな風ですか?

A
遠くから吹いてきた「風」、今は私を動かしている「風」です。

初めて「工房からの風」のことを知って会場に足を運んだとき、
私はものづくりから少し離れた場所にいました。
その時感じた風の気配に、ずっと憧れのような気持ちを持っていました。

今その風を感じることが出来る場所にいると、
ざわざわと落ち着きません。
台風が来るのを、天気予報を見ながら待っているような心境です。

今吹いている風は、この後どうなっていくのだろう。
風が通り抜けていったあと、どんな景色が見れるのだろう。
また新たな景色を、見つけられたらいいなと思っています。

少し作ることから離れているとき、
「工房からの風」の会場にやってきて、
ああ、やっぱり作ることを再開しよう、
そう思った作家の方が、今までも何人かいらっしゃいました。

一度立ち止まり、再び始めるというのは、とても力がいることですね。
だからでしょうか、その方たちの多くが、今はとても充実した制作活動に戻っています。
遠藤さんにとっても、この風が、そういう力を与えてくれるものになるといいですね。

Q
遠藤さんは、 小学生のとき、将来何になりたいと思っていましたか?

A
自分であまりよく思い出せなかったので、母に尋ねてみたところ
「お花屋さんとか、美容師さんとか」だったそうです。

動物が好きで、動物に関わる仕事に興味があった時期も。
水族館の飼育員さんに憧れたこともありました。

それらのうちのどれでもない、ガラスの道にいつの間にか入り込んでいました。

やっぱり、きれいなものが好きな子どもだったのですね。
その気持ちは、きっと今の制作にもつながっているのでしょう。

そんな遠藤さんのホームページはこちら →  です。

美しいガラスのかたまりで構成されたブースは、
ニッケ鎮守の杜「手仕事の庭」に。
花壇のすぐほとりで、植物の息吹と響きあうことでしょう。