director's voice

金城貴史さん(木工)

ここまで女性の作家からのメッセージが続きましたが(極楽寺がらすの岩沢彰一郎さんをのぞいて)、
今年は例年よりも男性作家が多い年になりました。
今時、性差でものごとを分けるのはナンセンスではありますが、
腕力の活かされた作品が例年よりも多いかも知れません。

岐阜県中津川市で制作する金城貴史さんは、木の匙に絞って制作を深める作り手。
2回目の出展となります。

Q1
金城貴史さんは「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A1
様々な形・用途・大きさの木の匙を展示します。
型紙を用いて製作する、食事用・調理用の匙と、型紙を用いず即興的に造形する取り分け用の大匙があります。
心が動く一本との出会いがありましたら、幸いです。

 

ジャム匙

汁蓮華

大匙

Q2
金城貴史さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
作業机の正面の棚に、収集した古物の匙を並べています。
地域・時代を超えて、自分の中の匙の枠を広げてくれる物たちです。
匙に囲まれ、匙を作っています。

工房

Q3
金城貴史さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A
3大きな古い竹籠で、お世話になっていたギャラリーの方から頂いた物です。
季節になると、箱で買ってきたミカンを、ヘタを下にして竹籠に並べます。
暖房の届かない玄関先に置いてある、竹籠いっぱいのミカンが、我が家の冬の風景です。

竹籠

匙、スプーン。
ひとが食べ物を口に運ぶ古来からある生きていくための道具。

ひとつのものを深く追求しながらのものづくりは、どこか哲学的な行為でもあるように感じます。
使う人が使いやすいように。
心地よく、おいしくものが食べられるように。
そして、それが美しいものであるように。

金城貴史さんのブースは、ニッケ鎮守の杜、稲荷社の脇。
これからの日々の食事の友(伴)になる作品を探しにお訪ねください。

作家ページはこちらです。
→ click