director's voice

青人窯(陶芸)

Q1
2017年に新潟県から出展くださった青人窯の大山育男さん。
今回の「工房からの風」には、どのような作品を出品くださいますか?

A1

Q1大山育男 粉引き片口

粉引き片口 です。
今回のメインのシリーズになります。
10年前に独立した時は粉引きを中心にしようと思っていましたが、当時は粉引きブームだったので、別シリーズを模索して、補助的に作りながら形と釉薬を修正しながら作り続けていました。
今回、自宅工房が広がって手廻し轆轤(後述)を常用できるようになったので、メインとして挑戦します。

Q1 ブロックプリント 八角皿 大山育男

ブロックプリント 八角皿 です。
こちらは幻に終わった2020年の「工房からの風」でメインにする予定でした。
インド更紗などの古い版木の中から食器に向きそうな版を用いて器に型押ししています。
素朴でエキゾッチクな柄とアンティークな風合いが出ればと思っています。

「産業革命で破壊されたインドの綿産業」がまさにこれらの版木を使った技術なので、近代化への一つのカウンターでもあったクラフトの題材としては、なかなか興味深い素材かも知れません。
いつか布作家さんとコラボするのが夢です。

Q1 灰瑠璃7寸リ皿 大山育男

灰瑠璃釉七寸リム皿です。
原色の鮮やかな色を狙うのなら灰よりも石灰石などが良いのですが、あえて鉄分の多い松灰を混ぜることで色がくすんで独特の質感になります。
形がシンプルなだけに釉薬の質感にはこだわりたいところです。

この他にも柿灰や火山灰などの原料を用いた釉薬のシリーズが青人窯の定番です。
2017年の「工房からの風」でほぼ現在の形にまとまりました。
5年ぶりに新シリーズと共に参加できるのが楽しみです。

Q2
青人窯さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
手廻し轆轤です。

開業以来、コツコツと工房と住居スペースを改造していますが、今年からようやく手廻し轆轤と赤土専用スペースを確保しました。
天板は水に強い槐(えんじゅ)です。手触りが優しくて、木目もお気に入りです。
轆轤を回すためのステッキは地元新潟の洋梨ル・レクチェの枝です。
(この洋梨を薪ストーブで燃やした灰を何年分か取っており、釉薬にする予定です。)

手廻し轆轤など惰性で回る轆轤は回転スピードが自然と衰えていくので和食器などでニュアンスを付けるのに向いています。
しかし、すぐに止まってしまうので最短の手数で挽き切らねばならず難易度高く、その分面白いです。

Q2 手廻し轆轤 大山育男

Q3
青人窯さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
宋代(?)の吉州窯天目碗です。
天目と言えば建窯の方が有名ですが、吉州窯のこの開いた形がとてもきれいだな、と思い15年ほど前に購入しました。
しばらくは一生懸命写しを作りました。
中国の陶磁器は宋の時代に「色と形」という点では一つの頂点を迎えたという説があります。
高台が極端に小さいので、この形のままで普段使いできないのですが学ぶところの多い形です。
いつか磁器か天目に挑戦するときはアレンジしてみたいと思っています。

Q3 吉州窯天目

ひとつひとつの取り組み、展開を丁寧にかたちにしていく青人窯さんのお仕事。
5年前から着実に広がった作品群との出会いがとても楽しみです。

青人窯さんの出展ブースは、今年から新たに加わったスペース。
コルトン広場スペイン階段前から本八幡側の空間です。
本八幡駅方面から会場に来られたら、真っ先に見えるのが青人窯さんのテントです。
作家ページはこちらになります。
→ click