director's voice

アトリエラヒヨ (注染・裂織)

Q1
神奈川県で注染での制作をされるアトリエラヒヨさん。
「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A1
注染てぬぐいをメインに出品いたします。
活動10周年となりますので、今まで制作した柄の中から、できるだけたくさんの種類を並べて、10年間の活動をご覧いただきたいと思っています。

手ぬぐいは型染めの一種である「注染」という明治に生まれた日本独自の技法で制作をしています。
デザインと型紙の手彫りを私が行い、型の仕上げとなる漆を使った紗張りと、注染による染めは職人さんに行っていただいています。

注染には独特の滲みやボカシ、柄の柔らかなライン、裏まで染まっていることなどいくつか特徴があります。
量産が可能な技法ではありますが、全く同じものをたくさん作れるわけではなく、特にボカシを使った柄については大きな違いが出ている事も多く、それぞれの仕上がりに個性が生まれます。

重ねた状態の布に、ジョウロのような道具を使って染料を注ぎ込む面白い技法で、そういった技法の魅力なども、お伝えできるような展示にしたいと考えています。

その他にも手ぬぐいを縫い合わせた作品、そしてここ数年で力を入れているB反を裂き織りした小さなマットも、ぜひ観ていただきたい作品です。

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Q2
アトリエラヒヨさんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
丸キリです。
型紙を彫る時に使う道具で、綺麗な丸の形を彫り抜くことができます。
彫る時の力加減や角度で丸の形が多少変わってしまう事や、優しく扱わないと刃先がかけてしまうので、使う時には集中しています。
点が集合した文様が好きで、少しずつ丸キリを増やしていっています。

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Q3
アトリエラヒヨさんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
寄木細工の小さな箱です。
箱根の伝統工芸士の方がつくられた作品で、その方が館長をされている美術館のお店で出会いました。

美術館にはその方が長い年月をかけ収集された歴史的な品々と、ご自身がつくられた作品も展示されていて、この小さな箱は展示作品を制作された時の余った一部で、装飾をされたものだと教えてくださった記憶が残っています。

ひとつひとつ違ったデザインになっていて、いくつかあった中から私はこの2点を選びました。
蓋を持ち上げて初めて見える身の側面まで、全てが違う文様になっていて隅々まで美しく、本当に素敵な作品と出会うことができて幸せな気持ちになりました。

ちょうど私が今の活動をはじめようかと考えていた頃の出来事だったので、自由自在に素材を扱って美しいものを生み出せるその職人さんに憧れて、私もいつかはそうなりたいなぁと心が動き、今の道へと背中を押してもらったような気がします。

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アトリエラヒヨさんは、zucuという屋号で10年間、活動を続けて来られました。
そして、この29日。
「工房からの風」の初日に、新たに「アトリエラヒヨ」として活動を始動されることに!

そのことへの想いは、ぜひHPなどでお読みいただけたらと思います。
(HPも29日にリニューアルされるそうです。それまでは「zucu」になっています。)

「工房からの風」が、アトリエラヒヨさんの始動の日!
是非、素敵なスタートを切っていただきたいですね。
ひとりの作家の記念日。
めったに出会えませんね。
皆様もぜひ、じっくり作品ご覧いただければと思います。

アトリエラヒヨさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜の入ってレンガ道のほとり。

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