director's voice

コタニサツキさん(木工)

Q1
都内で木工制作に励むコタニサツキさん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
いろいろなストーリーが詰まった古いガラスや陶器等の素材と合わせた木の蓋物をメインに、木のカトラリー等のテーブルウェアも出品します。

蓋物について…
私の作る蓋物のガラスや陶器等は、今まで何かに使われていたもの、デッドストックのものを私自身骨董市等で探してきています。
元々ガラスや陶器等の異素材と合わせた木の蓋物を作りたい、という気持ちが独立する前からありました。
それは単に木と異素材との組み合わせが好きだったから。

独立して間もない頃
「こんなにもたくさんの新しいものが生まれているのに、なんで私はまた新しいものを作っているんだろう。ものってこんなに必要なのかな。」
とモヤモヤした気持ちがありました。

やりたい事とそんなモヤモヤを抱えながら、自分が納得してできるものづくりとはどんなものなのだろうと思い続けていました。
そんな中最初に出会ったのが羊羹の型として使われていた古いガラスでした。
古いものが元々好きだったのもあり、骨董市等にはよく足を運んでいました。
そのガラスを見た途端、上に被せる木の蓋がパッと浮かび、すごく大切に丁寧につくったのを覚えています。

それから私は、ものが溢れている中でただ新しいものだけを制作するのではなく、使われなくなったものに木を添える事でまた新しいものとして使い続けていけるような、そんなものづくりがしたいと作り手として強く思うようになりました。
私がつくった蓋物を、生活に取り入れてもらうことが、またその先のいいことに繋がっていくよう想いを込めてつくっています。

カトラリーについて…
蓋物について熱く語っていながらもカトラリー等の木の小物をつくり続けている理由もあります。
それは完全に自己満足、自分のモチベーションとして。

私が木工をしたいと思ったきっかけは木の匙をつくりたい!という想いからでした。
私にとって初心を忘れないため、木の良さを伝えるために必要な存在なのです。

「工房からの風」当日は、もののストーリーやこれからどう使われていくのかをじっくりお話しながらご覧になっていただければと思っています。
これからどんな方の元で、どんな新しいストーリーが刻まれていくのか。
わくわくして新しい出会いをお待ちしています。

Q2
コタニサツキさんの工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
工房の古い大きな作業台です。
独立して工房を立ち上げる前にまずこの作業台を購入しました。
私は新品にはない、時の経過を感じるものに魅力を感じてしまいます。
この作業台もどこで誰がどの様に使っていたのか。
使い込まれた作業台の上で、新たに私の作品達がまた生まれていきます。

希望と矛盾を抱えながら、希望の光の方へ一歩一歩進んで今のお仕事につなげてこられたコタニさん。
作品である「もの」を介して、コタニさんのテントのもとで豊かな会話、交流が生まれるとよいですね。

作家の方々、来場者の皆さんとの会話をとっても願っています。
ぜひ、臆せず、会話を楽しんでいただければと思います。

コタニサツキさんは、滋賀の川端健夫さんのところで働いていたとのこと。
(マンマミーアさん!)
川端さんが初出展くださったのは2007年のこと。
16年の後、出会いのつながりがあること、とてもうれしく励みに思っています。

コタニサツキさんの出展場所は、おりひめ神社鳥居のふもと。

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