director's voice

絲綴 (庄内刺し子)

Q1
現在は愛知県にお住まいで、庄内刺し子の制作を続ける「絲綴」(いとつづり)さん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
刺し子と布の風景
耐久性や保温性を図るために、布に糸を指し重ねて文様を作る「刺し子」。
寒さから大切な愛する人を守りたい気持ちや、東北の女性が持つ美意識から生み出されました。

自然と人が向き合い、共に生きることで見出された刺し子の美しさ、ひと針ひと針刺された温かな手触りのある布。
人の手を感じ、自然を感じ、どこか自分の内面にも通じるような、そういう風景のあるものを手に取っていただきたいと思います。

刺し子の前掛け
様々な文様を組み合わせて一枚の布に。刺し子の文化が根付いていた時代、女性たちは思い思いの文様を組み合わせて自分の前掛け(エプロン)を作っていたようです。
自己表現をする場がほとんどなかったであろう時代に、文様の選び方、組み合わせ方を工夫した自分だけの前掛けを着けて農作業をするということ。
私は、刺し子が布の修繕や補強の目的だけではなく、自分と向き合い表現する心のよりどころであったのではないかと考えています。

多目的風呂敷布
カゴバックの目隠し布や風呂敷として。
キッチンでは敷物としてもお使いいただけます。
一枚の布から多様な発想が生まれ、使う人の生活にとけ込んでいく。
人の用途に合わせてモノがあるというよりも、人の方がモノに寄っていくという考え方は今よりものが少なかった時代では当たり前だったんだろうと想像します。

ピンクッション
使い込まれた木のパーツを再利用したピンクッション。
子どものおままごと遊びを見ているようなほっこり優しい気持ちに。
大人だっておままごと気分で。針に優しい羊毛入りです。

クリスマスオーナメントカード
私たちの住む地球が愛に包まれ、全ての人々の幸せを願ったメッセージをプリントしたクリスマスカードに刺し子のオーナメントをセットにしました。
クリスマスツリーに飾ったり、チャームとして鍵やかばんにつけても素敵です。
精油を1滴つけて香り袋としてもお使いいただけます。

Q2
絲綴さんの工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A1
針に糸を通してチクチクと同じ目幅で縫い続ける。
ひたすら真っ直ぐ、時には弧を描くように。
1週間、2週間、毎日同じ文様を行ったり来たりしていると、だんだん自分の手が針と一体化した一種の道具のように感じてくるから不思議です。
手に針を委ねると、私の意思からは完全に切り離され、手が生み出した「ありのまま」のものができあがってくる。
チクチクチクチクと今日も私の「手」は軽快に、時につまずきながら働いています。

Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
漆塗りの木箱
私は箱が好きです。
木箱や竹で編まれた箱、紙の箱。たとえ中に何も入っていないと分かっていても、開ける瞬間に思わず心が弾んでしまうのは何故でしょうか。

90年代の名作、映画フォレスト・ガンプに
「Life was like a box of chocolates. You never know what you’re gonna get.
人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみないと分からない。」
という名セリフがあります。
私は箱というものの中に無限の可能性をみているのかもしれません。

古い漆塗りの木箱には日々使う裁縫道具を入れています。
時を経て持ち主が代わりながら使い続けられてきた黒漆塗りの木箱は、チョコレート色に退色して今は私の人生の傍に。

東北地方にお住いの時に出会った庄内刺し子を、ご自身の学びや感性に響かせて綴りあげていくお仕事。
時間、手間のかかる手仕事ですから、展示販売の構成はなかなか難しいかと思いますが、「糸を綴ることが好き」な方々が集える空間、ブースになるといいですね。
そして、糸に親しむ機会がなかった方の心にも新鮮に響くような。

今回は、こぎん刺しの「こぬるこぴあ」さんも出展されているので、ともにゆっくり布の手仕事に触れていただければと思います。

絲綴さんの出展場所は、コルトン広場、スペイン階段前。

絲綴さんのお名前の由来など読み応えあるホームページはこちらです。
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