2012年10月の記事一覧

「出展作家紹介/工房からの風」New

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風の余韻-津田清和さん

11月3日(土)4日(日)にgalleryらふとで開く「風の余韻」展。

『工房からの風-作る・働く・暮らす・生きる-20の工房を訪ねて』
の中から、10人の作家から作品が届きます。
(展示即売となりますが、小さな会場ですので、出展数も少しとなります。
ご了承くださいませ)

開催まで、このブログでは、書籍ではご紹介できなかった写真をご覧いただこうと思います。


手足の長い津田さんは、整理整頓の行き渡ったすっきりとした伸びやかな工房で、
ひとりでの制作に励まれています。

「火の玉」を見るのは目によくありませんから、サングラスも必需品なのですね。

アツアツ、トロトロの状態にして、すでに簡潔で美しいフォルム。

熱して、吹き、熱して、吹き、かたちを整え、
完成すると、徐々にゆっくりと熱を冷ますための窯に入れます。
その後、底の始末などをして完成すると、このような作品となっていきます。

こちらは、箔を用いた津田さんの代表的な作品。
今回、これらがやってくるかは、現在未定なのですが、イナガキ一点持っていますので、
ギャラリーの持ってきておきますね。

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中本純也さん・陶芸・和歌山

最後のご紹介となってしまいました。
中本純也さん。

実は純也さんはpcを使わない。
携帯も持たない。
お風呂は五右衛門風呂。

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2001年、第一回の工房からの風に応募してくださったのが、
中本さんとの出会いです。
それから11年。
はがき、てがみ、で、ゆるやかにやりとりを続けさせていただいています。
(純也さんと夫人の理詠さんのこと、拙著『手しごとを結ぶ庭』で綴らせていただきました)

当時はメールを持っていない人も多かったし、携帯を持っていない人も、
いました、いました。
けれど、今回、メールで連絡が取れない作家は純也さんだけになりました。

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Facebookもはじめましたし、こうしてwebを通しての発信も、
『工房からの風』は力を注いでいます。
かなり、がんばっているかも。
けれど、それが、すべてではないんですね。
それはあくまでの情報のツールにしか過ぎないもの。
げんに、実際の作品よりも、webなどの宣伝力で人気作家になっている人だっているかもしれない。
知るきっかけではあっても、心をコントロールされたくないって思います。
そう、発信している私の発言だって、それはひとつの発信にしかすぎないのです。

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そして、一番変わっていないような中本純也さんが、実は一番変化していました。
南蛮焼き締め一本でやっていたひとが、今年から白磁へと。
一心に打ち込んでいた南蛮焼き締めから、どのような思いを経て白磁へと
制作を変えていかれたのでしょう。
それは、ぜひ、実際の作品を見て、触れて、感じていただけたら、と思います。

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そう、五右衛門風呂の純也さんとか、書いてしまったので、
作務衣を着て、ヒゲ面の気難しい陶芸家、と思わないでくださいね。
(そんな人って、いるのかな?)
たぶん、ジーンズに無地のTシャツで、すらりとした身体を恥ずかしそうに
手持ちぶたさで立っている青年(ではないけれど、そう見える)が、純也さんです。

純也さんの白磁と出合えるのは、おりひめ神社脇、
お稲荷さんの奥。
木漏れ日、白い器に光が揺れるでしょうか。

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Wrap Around R.さん・着物リメイク・大阪

Wrap Around R.(ラップアラウンドローブ)の松下純子さんも二回目の出展です。
2006年以来ですから、6年ぶり!
その間、「型紙いらずの着物リメイク」というご本など、
出版の分野でも活躍されています。

Q
Wrap Around R.さんは、『工房からの風』に、どのような作品を出展されますか?

A
草花や幾何学、なかには壺をモチーフにしたきもの地で、
パンツ、スカートをたくさん。
ワンピース、Tシャツ、アクセサリースカーフなども。

きものの幅を生かし、直線裁断となると、長方形との格闘!になるのですが、
今回は、長方形を4つに割って三角にしたものを組み合わせてかたちを作りました。
長方形と三角の出会いは、見た目も着心地も楽しいものになりました。
ワードローブに付け加えて、スパイスになるような、
日々が楽しくなるようなものを持って行きますね。

着物幅を生かし、再び三度リフォームできるように、
反幅、反幅に裁断して作られる合理的な服づくり。
その考え方と、出来上がった服の素敵さを、
ぜひ、会場で実感していただきたいと思います。
松下さんのふんわりスマートなお人柄にも、きっと惹かれる方が多いのでは。

Q
Wrap Around R.にとって、『工房からの風』は、どんな風ですか?
あるいは、どんな風にしたいですか?


今回2度目の参加で、はじめは、どんな風が吹いているのやら、
はたまた風の中にいるのやらわからずに夢中で参加。
終わってからじわじわと風を実感したという感じでした。

今回は、場・ひとの風を心地良く感じながら、
一緒に『工房からの風』を作っていけたらと、そんな気持ちで参加します。

たくさんの方々が、作品をまといながら、一緒に風を起こしたいですね。

Wrap Around R.(ラップアラウンドローブ)、松下純子さんのホームページはこちら → 
出展場所はコルトン広場『モニュメント周り』です。
お隣は、『kaze books』という名の本屋?さんです。

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大中和典さん・陶芸・山口

大中和典さんは、遠く山口県からの参加。
日本中(世界中)が均一方向に向いているとはいっても、
萩焼など陶芸の文化が根付く地で作陶される大中さんには、
関東近辺の作家とは別の何かがあるように感じています。
二回目の参加となる大中さんからのメッセージをご紹介します。

Q
大中さんは、『工房からの風』に向けて、どのような作品を作られたのでしょうか?

A
今回は、土もので泥彩を施したうつわの作品が主になります。
あとスパイスにオブジェが少し。。。
全体の色調は暗め。
雰囲気は明るめ。
そんな展示になります。

焼き物ならではの静かな躍動感みなぎる作品。
格調ある姿に、どこか朗らかさもひそんでいて。
あれ、それって、大中さんご自身の雰囲気みたいです!

Q
大中さんにとって『工房からの風』はどのような風でしょうか?

A
僕にとっては、工房を吹き抜けていく風です。
どっちに行こうかな、、と迷っているとき、そのタイミングで吹いてきます。
風が通り過ぎた後は、工房の景色も作品も、きっと今までとは違ったものに見えるはず、、、
それを期待しています。

遠方からの参加は大変なことと思いますし、すでにお仕事が満ちている中、
こうして 、この風に吹かれようとやってきてくださること。
うれしく思います。

大中和典さんのホームページはこちら → 
出展場所は、コルトン広場、モニュメント周りです。

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大谷房子さん・染織・愛知

さあ、作家から届いたメッセージをお届けするのも、あと数人となりました。
ここからは複数回出展となるこの場のベテラン?作家の方々。
まずは、染織の大谷房子さんです。


『工房からの風』に房子さんは、どのような作品を出展されますか?

A
『ケの日』の布を展示します。

綿を中心としたストール、バック、ポーチなど、
「あったらいいなこんな布」を織り上げました。
スーピマコットンやシーアイランドコットンといった長繊維の糸を使い、
巻き心地、使い心地を考えました。
当日、いろいろ試して楽しんでいただけたらと思っています。

房子さんの布は、「ほんとうに手織りなの?」
と一瞬思ってしまうほど、細かな糸を丹念に正確に織り上げられたもの。
どれほどの集中力なのだろうかと思ってしまいます。

わたしも房子さんの布を何枚も愛用させていただいているのですが、
使っていくほどに、手織りならではのありがたみ!を感じます。
素材の吟味と手の技と。
へたれない布、といったら、よいでしょうか。
使うほどに風合いが育つ布なのです。

Q
房子さんにとって、『工房からの風』は、どんな風ですか?
そして、どんな風にしたいですか?


響く風です。

つくり手として使い手として、ものが生まれ使う楽しみを毎年感じさせてくれます。
普段の生活の中でお気に入りの暮らしの道具が加われば気持ちも弾み、
毎日を大切に暮らすことを気付かせてくれる場所でもあります。
約50名の作家がそれぞれ同じ方向へ。
その中で私も風を響かせられたらと思っています。

房子さんが前回出展されたのは、2009年。
開催前のミーティングなどでは、風を前にどこか自信なさげな姿が印象的でした。
それが当日。
満面の笑顔に変わっていましたね。
風に乗った瞬間に立ち会えた喜び。
ご来場の方にもきっと伝わったことと思います。
今回は平熱で伸びやかに、さらに風に乗っている感じですね。

大谷房子さんのホームページはこちら → 

出展場所は『コルトン広場』モニュメント周りです。

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mitome tsukasaさん・金属・神奈川

シルバーや真鍮を使って、鋳造による作品制作を進めるmitome tsukasaさん。
さりげないラインの中に、自然の中のゆらぎを感じさせてくれるような心地よさ、
そんな思いに包んでくれるアクセサリーです。

リング 左から
ivy , flow , étamine , line , arabesque , acacia

Q
mitome tsukasaさんは、『工房からの風』に、どのような作品を出展されますか?

A
真鍮とシルバーのピアス・ネックレス・ブローチ・リングが中心です。
少数ですが、イヤリングとイヤークリップも新たに制作しました。
2004年からずっと作りつづけている “flow” のリングにはじまり、
8年の間に少しずつ増えてきたかたちを、ゆっくりご覧いただけたらいいなと思っています。

mitomeさんは、二回目の出展。
前回2008年から新たに加わった作品とあわせて、
mitome tsukasaワールドが堪能できますね。

ピアス 左→右、上中下段の順に
sirakaba , hinagiku , wacca , sizuku
dahlia , genista , lace flower , ohana
lillirose , leaves , ivy , pingpongmum


『工房からの風』は、mitome tsukasaさんにとってどんな風ですか?
そして、どんな風にしたいでしょうか。

A
おだやかで清々しい風に、アクセサリーをたくさんそよがせたいです。
樹木の茂った中で展開するので、いつもとは違う色の、
明るい風を呼びこみたいな、と思っています。
のんびりとしていてさわやかな、そんな風を思い描いています。

mitomeさんの出展場所は、『ニッケ鎮守の杜』
おりひめ神社の脇。
正面向かって右側です。
緑と真鍮色、銀色がどんな風に馴染んでいるでしょうか。
どうぞお楽しみに。。

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山崎裕子さん・陶芸・静岡

陶芸は応募が一番多いジャンルです。
出展に通っていただく倍率もどうしても高くなってしまいます。
狭き門をくぐってくださった作家の方々は、それぞれ個性が輝いています。
朝霧高原で作陶される山崎さんは、
フォルムと色が美しく響いた焼き物を作る方です。

Q
山崎さんは、『工房からの風』に、どのような作品を出展されますか?

A
パステルグリーン、サーモンピンク、、ブルー、クリーム色、しましま・・・
カラフルな釉薬のカップやご飯茶碗、、マグ、ボウルなどを持っていきます。

色は釉薬にほんの少しいれた金属の色です。
それが熱で溶けて、流れたり、結晶ができたり、
釉薬の厚みや窯の中の温度差によって色や表情があらわれてきます。
窯から出たそれらの思いもかけない色や質感に引っ張られて、
少しづつ色を展開してきました。

「日常の器を作りたい!」と美術から陶磁に転向したのに
色を追いかける事はそこから離れてしまうように感じて少し躊躇していました。
でも今回、開き直って、もっと色をよく見て引き出そうと思いました。
美しい金属や何か分からない現象の表出を私は拾っています。
器の形をだらしなくしてそれらの表出を台無しにしないよう気をつけています。

ビビッドな色の器。
色は人の心にダイレクトに訴える力がありますね。
ぱっと心を明るくしたり、落ち着けてくれたり。
食卓やインテリアの中に、気持ちにビタミンとなるような美しい色とかたちの器、
取り入れてみませんか。

Q
『工房からの風』は、山崎さんにとってどんな風ですか?
あるいは、どんな風にしたいですか?

A
「工房からの風」は、今までは私とは関係のないどこか遠くで吹いている風でした。

6年前に埼玉から朝霧高原に工房を移し、
それから生まれた二人の男の子の子育てと
自然の中での初めての生活とその合間の器つくり。
少し余裕がなかったように思います。

初めてのミーティングはいろんな意味でとても新鮮だったんです。
すごく緊張して、その緊張感が直前の今戻ってきています。
当日、他の作家さんの仕事を見るのも、
器を介して色々な人とお話しができるのも楽しみです。

今までこもっていた自分の中を風が吹き抜けて、
家族と生活を大事にしながら、
これからも続けていける力になるといいなと思います。

50人の本気が、ひとつの風を起こしていくのですね。

山崎さんのホームページはこちら → 
出展場所は、『ニッケ鎮守の杜』の奥、
稲荷社のちょこんと前のシイの木の下です。

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後藤睦さん・木工・長野

再びお庭に戻って、出展作家からのメッセージをご紹介しましょう。
木工ロクロを用いて挽きものの仕事をする後藤睦さんです。

Q
後藤さんは、『工房からの風』に、どのような作品を出展されますか?

A
木工ロクロの技術を生かした器や花器をお持ちします。

今回は木の素材を感じるものを作っています。
木は多くの人に普段からなじみがあり身近な存在ですが
知らない表情や質感がまだまだあると思うのです。
こんな表情があったんだ!と感じられるものを心がけて作りました。

丸みをもって木の存在感を穏やかに伝えてくれるのが後藤さんの器。
たっぷりとしていて、静かな印象なのです。

Q
後藤さんにとって、『工房からの風』は、どんな風ですか?

A
実は開催場所の「コルトンプラザ」を「コットンプラザ」と間違えて覚えていて
3年前に工房からの風を見に行った時、初めて間違いに気付きました。
工房からの風もなんだか綿花のようなふわふわとした柔らかい感じがして、
今もそのイメージでいます。

私にとって「風」と聞いて思い浮かべるのは季節を感じるものです。
朝起きて、冬のにおいだ!と感じたり
秋の夕暮れに感じるにおい。
直接的ではないけれど においを感じる風が好きです。

出展者それぞれの風を感じ、自分らしいにおいがする風が起こせればと思います。
開催まで残りわずかですが、精いっぱいの準備をして当日を迎えられるようにしたいと思います。

コットンプラザ!
はい、間違われること、ありますねー。
でも、後藤さんのテントのある場所は、なんと、コットンの花壇のすぐそば。
これも不思議な巡り会わせでしょうか。

後藤睦さんのホームページはこちら →

出展場所は、『ニッケ鎮守の杜』手仕事の庭。
棉、とろろ葵、コウゾなどの植わっている花壇の脇、
陶芸の沖澤真紀子さんがお隣です。

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増子浩代さん・金属・神奈川

今回、金属での作家がとても充実しています。
毎年、ジャンルの当たり年!のようなものがあるのでしょうか。
増子(ますこ)浩代さんは、テーブルウエアや暮らしまわりの道具を中心に、
アクセサリーにも取り組む方。
さあ、どのような作品なのでしょうか?

Q
『工房からの風』に、増子さんはどのような作品を出展されますか?

A
銅、洋白、真鍮、ステンレス、アルミ、ピューター、純銀、
色々な金属で作った茶さじ、スプーン、器等と、
七宝のお皿や蝶のオブジェやブローチ、ゴールドのジュエリーを出展いたします。
色々な金属があり、質感や性質も様々です。
素材感の違いを感じていただきたいです。

カラフルな上の写真の作品が、七宝、エナメルですね。
金属のそれぞれの性質、肌合い、表情、
どれが自分は好みかしら?と比べてみるのも楽しいですね。

Q
『工房からの風』は、増子さんにとってどんな風ですか?
そして、どんな風になったらよいでしょうか?

A
今回、初めて出展させていただきます。
「工房からの風」という晴れやかな場所に参加できることを
大変嬉しく、有り難く思っています。
無事終了した時に、新たなる一歩を踏み出せるような風が
背中に吹いているといいなと思います。

出会いの磁力を高めたい。
そんなことを思って企画しています。
増子さんにとっても、よい磁力が効くといいのですが!

増子浩代さんの出展場所は、『ニッケ鎮守の杜』手仕事の庭の花壇のほとり。
棉の実弾ける空間です。

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平厚志さん・陶芸・千葉

陶芸の平厚志さんは、地元市川在住の方。
けれど陶芸を学んだのは、遠く沖縄という方です。

Q
平さんは『工房からの風』に、どのような作品を出展されますか?

A
赤い土で作って、白い化粧をかけ、灰の釉で艶を出したもの。
絵柄がパリッと浮き出たやきもの。
なるべく同じ柄はつけないようにしています。

食器(皿、飯碗、マグカップ、湯呑み、急須など)をメインに、
陶板、おきもの、花の器などなど。

元気のよい器。
作者、平さんとつながった器ですね。


『工房からの風』は、平さんにとってどんな風になっていますか?

A
昨日より今日つくるものが、もう一歩、もう少し先へ、
よりよいものへ成るように、グイと押してくれる、追い風。

ものを作って生きていくことが、間違ってないぞと肯定してくれる、まっすぐな風。
にしたいと願っています。
いまは受験生のような気持ちで日々を送っています。

平さんは今年の小冊子にも寄稿くださっています。
2012年、今の平さんの心境、通じる方も多いのでは。

平厚志さんのホームページはこちら → 

出展場所はコルトン広場『スペイン階段前』です。