2023年10月の記事一覧

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horieee(装身具)

Q1
二回目の出展となるhorieeeさん。
今回の「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
天然石やアンティークビーズ、ガラスビーズを使った刺繍装身具です。
身に纏う人に寄り添うお守りのような存在であってほしいと願い、仕立てています。

2023年。
今年の夏は例年にも増してとてつもなく暑かったので、室内に篭ってチクチクたくさん仕立てていました。
ほぼ1点もののバングル、ブローチの数々。
ご覧いただけると嬉しいです。

作品のエッセンスになるものは、建物、扉、窓、壁など日常にあふれるものが多く、旅先で出会うことが多いかもしれません。

通りすがりにステキな窓をみると、あ、これブローチのモチーフにしたいな。
と連想する事があります。

Q3
hohieeeさんのお手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
柳のカゴ
ラトビアでカゴ編みの技術を習得されたBasket Moonさんの柳のカゴ
作業道具を入れて、家とアトリエをいつも移動しています。

軽くて丈夫で使いやすく、少しずつ飴色に経年変化をしていくところがとても愛おしいです

腕に集合!したバングル!!
壮観ですね。

これら、ひと針、ひと針、horieeeさんがちくちくビーズを刺して作られているのです。
タイヘンそうとか、キュークツそうに感じさせないところが、horieeeさんらしいかっこよさ、素敵さでもあるのですが、映像もぜひご覧になって見てください。
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horieeeさん、前回はおりひめ神社の真裏でしたが、今回はコルトン広場、モニュメント周りです。
木工の石井宏治さんと陶芸のteteさんの間ですね。

ホームページはこちらになります。
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村上ハルナさん(装身具)

Q1
茨城県石岡市で制作する村上ハルナさん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
海で採集した小石、水牛の角などの自然物と、銀やステンレスなどの金属を組み合わせた装身具やオブジェを出品します。

自然物の粗く素朴な質感と、幾何学的でコンテンポラリーな金属造形を組み合わせ、記憶の中のどこかの何かを思い起こさせる、“情景的なかたち”をコンセプトに装身具やアートピースを制作しています。

海で採集した石や水牛の角などは色も模様も同じものはなく、すべてが1点ものです。
自然の素材のおもしろさはプリミティブな美しさと力強さ、そして一期一会の出会いにあると感じます。
ぜひお気に入りを見つけに来てください。

Q2
村上ハルナさんの工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
中くらいの棒ヤスリです。
大学の授業で真鍮の塊を削るために買ったもので、真鍮の硬さにびっくりしたことを覚えています。
今では銀、ステンレス、水牛の角などたくさんの素材の成形に使用しますが、硬さや粘りなど、それぞれの素材の特性をひしひしと感じます。

Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
お世話になった先生に頂いた拭き漆のお皿です。
会津の職人さんが挽いて、先生が拭き漆をしたもので、軽くて使い勝手のよいお皿です。
一部割れてしまったので、自分で漆継ぎをして大切に使っています。

小石や水牛の角などの自然物と金属を組み合わせた装身具やオブジェ。
村上ハルナさんの生み出すかたちは、ひとつひとつが異なる背景を持ちながら、並べてみると響き合う不思議なハーモニーを感じます。

ニッケ鎮守の杜、galleryらふとと参道をはさんだ木立の中に建つ一基のテント。
物語の中に現れたような空間で、村上ハルナさんの世界をご覧いただきます。

村上ハルナさんのインスタグラムはこちらです。
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amitakahashi(金属装身具)

Q1
都内で金属を用いて装身具を制作するamitakahashiさん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
シルバー素材を中心にブローチ、ピアスなどジュエリー作品を出品します。

「道草」をテーマにジュエリー作品を制作しています。
子供の頃、学校の帰り道によく道草をしました。
道端に生えている草や花、落ちている石ころ、飛び回っているトンボや蝶。
今となっては目もくれないものが遊び相手になったり、時には宝物になったりしていました。
そういった子供の頃の楽しい思い出、感性をジュエリーで表現できたらと思います。


「ゆめのなかのチョウ(ブローチ)」「花摘み(ピアス)」


「石ころの指輪(リング)」


「四つ葉のクローバーを探して(ブローチ)」

Q2
工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
洋彫り用のタガネです。
イタリアで洋彫りを学びました。
洋彫りとは、金属の表面にタガネを用いて模様などを彫る技術です。
短い期間だったので習得したと胸を張って言えませんが、表現の幅がぐっと広がりました。
自信が持てず作ることを諦めかけていた自分に、少しの自信と勇気を与えてくれました。

Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
流木の時計です。
亡くなった祖父が作った時計です。
祖父は指物屋(家具や建具を作る職人)でした。
どこかで拾ってきた木に時計を埋め込んでいるだけなのですが、存在感があり気に入っています。
壁に掛けているのでずっと祖父に見られている気がして…生半可な仕事はできないなといつも気合を入れてもらっています。

高橋亜心さんがかたちづくるamitakahashiの仕事。
イタリアで学んだ洋彫りをはじめ、若々しさの中にも伝統的な表現を駆使した制作が魅力です。

amitakahashiさんの出展場所は、コルトン広場、スペイン階段前。
インスタグラムはこちらです。
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toko aoki(金属装身具)

Q1
都内で金属を素材として装身具を制作する青木東子さん。
toko aoki のブランド名で作品を発表されています。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
自ら作成した編みものや刺繍、そして今回は初めて織物をかたどったシルバーやゴールドの装身具を出品します。

糸に心を寄せながら長年続けてきたテキスタイルの仕事の延長上に生まれたものたちです。
肌には遠い素材と思っていた金属でしたが、元々アクセサリーを積極的に身に付ける方でなかった私でも、糸の質感なら気負いなく自然体で、でも金属の安心感や確かさも身につけられると思い制作を始めました。

装身具がお好きな方はもとより、装身具からしばらく離れてしまっている方、装身具を身に着けることに照れ臭さを感じているという方に是非お手にとって頂きたいです。

糸の質感を写すことに加え、時間の流れ方の違う時代に作られたおおらかで素朴な装身具のイメージももう一つの指標にしています。
スイベルリングは古代エジプトなどで作られていたスカラベリングの作りを写したものです。
大きな石でも素朴なリングが作りたく至ったものでした。

他にもくさり編みの輪が繋がったチェーンのシリーズや、庭に生えている(いた(泣))ものから名前を取った植物をモチーフにしたものなども出品します。

自分が装身具を作り、身に付けるようになって思うことは、ほんの小さなものにでも日常のふとした瞬間に、何とはなく華やいだ楽しい気持ちが持てたり、心を寄せられる拠り所のようにも思えたりするものなのだなということです。
そのような感覚を得て頂けたらこの上ない喜びです。

Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
大切にしている工芸品ということで思い浮かんだのは親から引き継ぎながら、ほぼ50年使い続けられている木の茶筒です。
こちらは私がまだ幼児だった頃に父が旅先で購入したものでした。
そして私がある程度物事が理解できる年になると、やはりそれを気に入っていた母に「この吸い付くように閉まる蓋の精度といったらそうそうできることではないわよね」という自慢話を子供の私は何度も何度も聞かされていたのです。

確かにこれは削ぎ落とされた形の美しさもさることながら、蓋をしようとすると引っかかるでもなく、落ちるでもなく、吸い付くようにゆっくりと滑りながらしまっていく素晴らしい精度の茶筒だったのでした。
そして結果的にこの茶筒によって私にとって工芸とは畏れ多い世界なのだと刷り込まれたような気がします。

そこから数十年経ち、色々経緯はあったのですが、この茶筒は現在私の家にあって、購入から50年たった未だにあの蓋の精度は変わらずなのです。
作家名などはもはや分からないアノニマスなものですが、50年前の両親が感じた驚きはそのまま今の私の日々の小さな感動なのです。

企業でテキスタイルの仕事を続けてこられたキャリアに金工を響かせて、toko aokiの独特な作品がうまれました。

硬質なイメージの金属が、しなやかに揺らめくところも魅力です。
toko aokiひとつでももちろんですが、他の装身具と合わせてもしっくりと馴染むところもテキスタイルの持つ特長を引き継いでいるのかもしれません。

toko aokiの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、入って左側の下草のエリアに進んだところ。
ヒュウガミズキが茂る前に建つテントです。

ホームページはこちらになります。
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ehonno.(金属装身具)

いよいよ開催まであと1週間!ですね。
毎日、天気予報とにらめっこの時期(笑)となりました。
今のところ、お天気はよさそう!ですね。
とはいえ、日々ドキドキしながら過ごしていますが(きっと作家の方々も)。
もちろん、よいに越したことはないのですが、どうであっても最善が尽くせるように準備を進めています。

作家からのメッセージもここからスパートかかっていきます。
ワークショップやデモンストレーション、映像などなどの情報もこれから!ですよ。

Q1
さて、今年も、魅力的な装身具、金属の作家の方々が出展くださいます。
メッセージをご紹介していきますね。
素敵なお名前「ehonno.」さん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
「絵本のようなアクセサリーと雑貨」をコンセプトに、さまざまないきもの(登場人物)をモチーフにして、銀・真鍮・天然石を素材とした、指輪やネックレス・イヤリングなどのアクセサリーと本の栞・お香立てなどの雑貨を、鋳金で制作しています。

それぞれの作品ごとに自作の短い物語があり、その一場面を表現しています。
細かな造形と手足が動く・服が変わるなどの仕掛けによって、今にも動き出しそうな生き生きとした作品にすることを目指しています。

大人になってからも絵本を楽しむことが多いのですが、絵本を読むと、夢を抱いたり、おもしろい想像を膨らませたり、温かな気持ちになったりとポジティブな感情が生まれてきます。
ehonno.の作品を使ってくださる方にも、それらと似た気持ちになっていただきたいと考えています。

Q2
ehonno.さんの工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
アイデアを出す時やデザインを考える時に必ず使用する金属製の文房具を大切にしています。

同じものではありませんが、高校生の頃に、最初に金属の魅力に気づかせてくれたのも真鍮製の筆記具でした。
写真の3点は、長く使っているため、真鍮製の定規は焦茶色に、筆記具はところどころ塗装が剥がれて下地が見えていますが、それを味として楽しめるところが金属製の良さだと思います。

Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
工藝品に分類されるのか悩みますが、商品パッケージである紙箱を大切にしています。

小さい雑貨や置物を集めるのが好きなのですが、中の品物と同じくらいパッケージ(特に紙箱)にも注目しています。
こだわってつくられた紙箱の色や形、質感、ぴたりと閉まる精度に感動することもしばしばです。
いつか、こだわり尽くした紙箱をつくり、作品をその箱に入れてお客さまにお渡ししたいと夢見ています。

大切に使われてきた金属の文房具のように、誰かの手元で愛用されて輝きを深めていくように。
そして、美しい箱に納められた物語のように。

ehonnoさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、おりひめ神社の脇
フェルトと裂織りの小野彩香さんと、キャンドルの落合可南子さんが両隣です。

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tete(陶芸)

Q1
愛知県西尾市で作陶する加藤好康さん、智恵美さん夫妻の工房tete。
「工房からの風」にはどのような作品を出品されますか?

A1
植物などの自然からインスピレーションを得たデザインのテーブルウェアや、シンプルで凛とした佇まいの白磁の器などを製作しています。
主に石膏型を使用し、その中の圧力鋳込みという成型方法を用いて制作しており、例えば器の表面・裏面の両方に装飾を施すといった、この技術に特化したデザインを取り入れています。

元々、やきものの産地で職人として働いており、大量生産のラインにのせられないデザインが数多く存在する事を感じていました。
手間のかかるデザインはコストやロスの割合が高くなるため、そういった企画はメーカーでははじかれてしまいます。
そこで自分達が身につけてきた高い技術、具体的には石膏型という生産力の高い器の成形方法を用いて、一点物のようなデザインを生産します。
こうした方法で、家で過ごす時間をより楽しく華やかにするような、まだ見ぬ新しい作品を出品します。

[三ツ仕切りプレート-kaze-]
スタックを考えた高台にしており収納がしやすくなっています。
我が家では朝食はワンプレート、夜はおつまみを乗せて使用しています。

[フラットプレート-ishi-]
[輪花カップ]
[青白磁 鎬鉢]
自然物からインスピレーションを得てデザインした器です。

[一輪挿し]
野草や小花などを挿して気軽に花を楽しめます。
器の底面に磁石を埋め込んでおり、倒れにくくなっています。

Q2
teteさんの工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
工房で特に大切にしている道具は「石膏鉋」(せっこうがんな)です。
石膏型を製作する会社に勤めていた時に職人の上司からいただいたものです。
様々な形の鉋がある中で、基本となる技術を習得するまで一番使い込んだもので、今でもこの鉋以上に自分の思い通りに削れる鉋はありません。
そのため数ある道具の中でも一番想いの強い道具です。

白磁の造形美を求めた陶芸作品から、日々の器とが制作の両輪のようになっているように感じる加藤好康さん。
工房からの風には、tete名の器を中心に出品くださるように思います。
肌合いとフォルムの美しい器に盛る料理や草花。
そんなあれこれを想い描きながら、作品に触れると心が弾みますね。

teteさんの出展場所は、コルトン広場、
モニュメント周り。

ホームページはこちらになります。
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樋口萌さん(陶芸)

Q1
三重県津市で作陶する樋口萌さん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
染付で唐草文様を描いた器と無地の器を主に出品します。
縄目で生地に凸凹を施し、その上に掛ける釉薬や弁柄の濃淡で模様がはっきりとしたり柔らかくなったりしています。

また、高台部分に縄目文様を施すことで、ひとつの器の中で印象の変化が感じられるようにしています。
手に取った時、表目にはベーシックな印象の器が裏返したとたんにドキッとするような、素材の面白さを感じてもらえたらと思います。

Q2
樋口萌さんの工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
「土練機」(どれんき)です。
作業工程で必ずでてくる、削ったり失敗したりした陶土を練り直して再生させるために使用します。
導入するまでは手作業で再生していました。
当然ながら作れば作るほど再生するべき土は溜まっていきます。

土の再生は体力のいる作業です。
20代のころはできていたことがだんだんできなくなってきている自分を認めつつ、
「これからも陶芸を続けるんだ」
という決意を新たにした、土練機の導入の瞬間でした。
中古で手に入れたので古く見えますが、しっかり働いてくれる大切な道具です。

樋口萌さんの絵付けの光景を映像でご紹介しています。
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丁寧に筆を運ぶ様子。
これが焼かれて、器として私たちの前にやってくるんですね。

樋口萌さん出展場所は、コルトン広場、スペイン階段前。
お隣は、庄内刺し子の糸綴(いとつづり)さん。
お向かいは、革のTSU ZU KUさんです。

樋口萌さんのインスタグラムは、こちらです。
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藤田千絵子さん(陶芸)

Q1
長野県安曇野市で作陶する藤田千絵子さmm。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
今回出品させていただくのは、日用の器や花器です。
うつぎ(うの花)色の半磁器のシリーズを中心に、土に鉱物や砂を混ぜた白、釉薬に表情を持たせた茶色、金属のような黒の、4シリーズを出品いたします。
いずれも主張しすぎないシンプルなラインを意識し、ほぼすべてロクロにて制作しています。
できるだけ手の後を残さないように仕上げていますが、手に取った時の質感や軽やかさには、手仕事ならではのこだわりを感じていただけると思います。

私は次々と新作を生みだせるタイプではなく、じっくりと形にしたアイテムを長く大切に作っています。
独立以来、一貫して変わらないことは、「素朴で使いやすい器」を心がけて、ひとつひとつ丁寧に制作するということです。
それは、自分自身が使いたい器、身の丈にあった器、という想いが原点になっています。

そしてその器が、手に取ってくださる方にとって、特別ではなく、「おだやかな時間」「おだやかな暮らし」を共にできる道具として静かに在ることができれば嬉しいです。

Q2
藤田さんの工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
道具ではないのですが、工房を象徴するものは、窓の外に広がる北アルプスの風景です。
毎日、朝も昼も夜も、山や空や雲を眺め、鳥の声を聴き、季節を感じています。
工房にこもり時間に追われる日も、山の景色と空気で、気持ちが解放されます。
私にとって、暮らし(=制作)の一部です。

「工房からの風」の頃には、アルプスの冠雪を背景に、飛来してきた白鳥たちの声が響きます。
*写真は、これからの季節に見られる雪山の朝焼けです。

Q3
藤田さんのお手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
「工房からの風」にも出展されていた大谷哲也さんのプレートです。

やはりシンプルな器にときめきを覚えます。
大谷さんへのある取材記事に
「僕にとって器作りは、息を吸ってはき出すくらい当たり前のことで、大谷哲也という人間が朝起きて一日生活をしていれば器ができる。
だからこそ、自分が吸い込む空気を常に質の高いものにしておく努力をされている」と、ありました。

自然体でありながら、自分に軸を持っていること、
なんて素敵なんだろう、と思いました。
どんなにシンプルな佇まいであっても、そこには作り手のストーリーがある。
私は独立して17年になりますが、大谷さんのこのプレートを手に取るたびに、自分を見つめなおすきっかけをもらう気がします。

『自分が吸い込む空気を常に質の高いものにしておく努力』
哲也さんの言葉、効きますねー。
そして、それを器を通して、折々心に響かせている藤田さんの心に敬意をいだきます。。

安曇野の山の景色を心に吸い込みながら作られた静かで穏やかな器。
コルトン広場、スペイン階段前のブースで出品されます。

藤田千絵子さんのインスタグラムはこちらです。
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平井亮大さん(陶芸)

Q1
静岡県田方郡で作陶する平井亮大(りょうた)さん。
「工房からの風」にはどのような作品を出品されますか?

A1
私は静岡県の柿農家に生まれ、幼少期から伊豆の豊かな山や海が遊び場でした。
今回出品する作品にはそんな遊び場で出会った自然界の無垢な優しい色合いを表現したいと思っています。

柿農家の剪定作業で出る枝葉と田んぼから取れる藁を灰にして釉薬を作ったり、海で拾った貝殻で模様を付けたりしています。
作品を使って頂けるのが嬉しいので,マグカップなどの食器をメインに、できるだけ自然界では手に入りにくいものは加えない無添加なモノづくりを意識しています。

不安定な原料を使い、手跡の残るように作っているので1つ1つ雰囲気が違います。
是非手に取って選んで頂けたら嬉しいです。

・柿灰釉コーヒーカップ
実家の横にある柿畑は子供の頃の遊び場で5月の若葉の黄緑色が大好きでした。
柿灰釉は酸化焼成で黄色、還元焼成で緑色になります。
日常の中での使いやすさと容量を重視してサイズ展開しています。

・灰釉豆皿
自由度の高い豆皿はあえて不安定な原土や砂などを混ぜたり、柿や藁の灰釉を組み合わせて1つ1つ違う豊かな表情が見られるように作っています。
河原の石を拾って集めたくなるようなそんな気持ちになって頂けたら嬉しいです。

・花器(柿灰釉)
陶芸を始めて花器を作ったりするようになってから花がもっと好きになりました。
主張し過ぎない落ち着いた色とカタチを意識して制作しています。

Q2
平井さんの工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A2
剣先
自身でノコ刃を削って作ったもので陶芸を初めて教わった頃からずっと使っている相棒。
私は自分の手が一番の道具だと思っているのですが,剣先は手ではできない細かい削りや粘土を綺麗に切る作業には欠かせないです。
持ち手の部分がノコギリになっているのでその部分でも作品を削ったりできて大活躍なのです。

自分の手が一番の道具
って言えるのは素晴らしいことですね。
(そういえば、沖縄のnikadoriさんも、言っていました!)

そして、柿農家という生家や、生まれた土地の自然を敬愛し、自らの仕事につなげていること。
30代になったばかりの平井亮大さんの地に足のついたものづくり。
これからの展開も楽しみです。

平井さんの出展場所は、コルトン広場、スペイン階段前。
陶芸の千田徹さんの隣で、もっとも本八幡駅側です。

インスタグラムはこちらになります。
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千田 徹さん(陶芸)

Q1
愛知県で作陶する千田 徹さん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
スリップウェアと錫釉陶器を出品致します。

スリップウェアはイギリスのスリップウェアを軸とした写しのものと、点打したのちピックで引っ掻いて描くハート紋のものと二種類、錫釉の陶器は低火度錫釉を用いたものです。
どちらも西洋工藝を彷彿とするような柔らかで温もりを感じる陶器を目指しております。

東洋の凛とした硬く焼きしまった焼き物も美しいですが、自分がより美しいと思うのは西洋の焼き物の持つ柔らかな肌合、色鮮やかな色彩です。
特にスリップウェアの鮮やかな黄色、錫釉の艶やかな白は格別です。
初めて目にした時の感動は今でも鮮明に覚えており、そうした感動を他者にも伝えたいと思い日々制作しています。

Q2
千田さんが、工房で大切な、あるいは象徴的な、あるいはストーリーのある「道具」について1点教えてください。

A1
日陶産業製の0.1立米のガス窯。

今自分が陶器作りが出来ているのはこの窯のお陰です。
20代の頃自分の窯が欲しいという思いはあるもののほとんど予算のない状況で、そんな時にたまたま見つけ購入できたガス窯です。
ギリギリ自力で運べる重さなのでパワーゲート付の2tトラックを借り友人と2人で運び、自分達で小屋を立て煙突を立てました。
バーナーも大きなバーナーが一本だけなので無料で配管してもらい奇跡的な低予算で今の場所で陶器作りが出来る様になりました。
容量が少なかったりバーナーが一本だけだったりと不便なところも多いですが大切な相棒です。

Q3
お手持ちの「工藝品」で愛用、または大切にされているものついて1点教えてください。

A3
大沼道行さんの織部のリム皿です。
2015年頃だったと思うのですが益子の陶器市に出店した際に交流を持ち、その時いただいたものです。
大沼さんの陶器は用と美を絶妙なバランスで兼ね備えていると思います。
焼き物として力強く美しい、それでいて気がつくと食卓に並んでいる。
美しいが美し過ぎず気兼ねなく使えるというこのバランス感がすごいと思います。
自分の目指す陶器もこういったものであると思います。

陶芸家にとって、焼成窯は工房の要で、皆さんそれぞれにストーリーがあるのだと思います。
作り手としての時間を共に過ごしたまさに相棒。
愛おしい存在ですね。

千田さんの出展場所は、コルトン広場、スペイン階段前。
一番、本八幡駅側です。(反対側は下総中山駅側)
同じく陶芸の平井亮大さんの隣です。

千田徹さんのインスタグラムはこちらです。
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